8月, 2017年

労働時間とフレックスタイム制

2017-08-28

労使協定で定める一定の期間(清算期間)につき一定の時間労働することを条件として始業・就業時刻の決定を個々の労働者にまかせる制度をフレックスタイム制(労働基準法32条の3)と言い、管理部門、研究・開発部門などで導入されています。

フレックスタイム制を採用する場合、始業・就業時刻を労働者に決定させることを就業規則等で定め、かつ、過半数組合・過半数代表者との間で労使協定を締結することが必要となります。そして、フレックスタイム制が採用されると時間外労働となるのは労働者が清算期間における法定労働時間を超えて労働する場合となります。

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ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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賃金の調整的相殺

2017-08-21

給与が月の途中に支払われた後において従業員が欠勤した場合に欠勤によって減額される分を使用者が翌月の給与から控除することを賃金の調整的相殺と言いますが、この取り扱いは過払賃金分の不当利得返還請求権と賃金債権との相殺になることから、使用者は原則として賃金の全額を支払わなければならないという「全額払の原則」との関係で適法かどうかが問題となります。

この点、賃金の調整的相殺は、賃金の精算調整にすぎないことから、過払いの時期と相殺の時期が合理的に接近していることや相殺される額が多額にわたらないことを要件として適法とされています(最高裁昭和44年12月18日判決等)。

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不貞行為の相手方の責任

2017-08-14

配偶者が不貞行為を行った場合、そのことが離婚原因となります(民法770条1項1号)が、さらに、その不貞行為の相手方が、他方の配偶者に対して民法709条による損害賠償責任を負うかが問題になります。

この問題に関する裁判例を見ると、最高裁昭和54年3月30日判決は、「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである」と判示して「夫又は妻としての権利」の侵害を理由として民法709条の責任を認めています。

一方、最高裁平成8年3月26日判決は、「婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り」「不法行為責任を負わないものと解するのが相当である」と判示して婚姻関係が破綻していた場合には民法709条の責任を認めていません。

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真実と異なる認知の無効

2017-08-07

婚姻関係にない男女の間に生まれた子との親子(父子)関係を認めるものとして認知という制度がありますが、その認知が真実に反する場合にはその効果を否定する必要があります。そこで、子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができるとされている(民法786条)ところ、真実とは異なることを知りながら認知をした者に認知無効の主張が認められるかという問題があります。

この問題に関する裁判例を見ると、最高裁平成26年1月14日判決は、「認知者は、民法786条に規定する利害関係人に当たり、自らした認知の無効を主張することができる」とした上で、「この理は、認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異なるところはない」と判示しています。
なお、認知が無効であるとしてもその認知が養子縁組を企図したものであった場合にその認知届を養子縁組届として養子縁組を成立させることができるかという問題がありますが、被認知者の法定代理人と婚姻したという事案に関する最高裁昭和54年11月2日判決は、この場合に養子縁組の成立を否定しています。

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