Archive for the ‘消費者’ Category

心裡留保についての民法の改正

2023-02-20

   心理留保における第三者の保護等について民法は改正を行っています。

   ① 96条1項但書は,「相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り,又は知ることができたときは,その意思表示は,無効とする」と規定して,改正前に「相手方が表意者の真意を知り」としていたのを変更しています。

   ② 同条2項は,「前項ただし書の規定による意思表示の無効は,善意の第三者に対抗することができない」として,善意の第三者の保護についての規定を設けています。


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錯誤の効果等についての民法の改正

2023-02-06

   錯誤の効果等について民法は改正を行っています。

   ① 95条1項は、「取り消すことができる」と規定して錯誤の効果を無効から取消へと変更しています。また、判断の要素について「法律行為の要素」と規定していたのを「その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるとき」へと変更しています。

   ② 同条2項は、「法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」(同条1項2号、動機の錯誤)について「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り」、取り消しが可能となることを規定しています。

   ③ 同条3項は、相手方が悪意・重過失の場合(1号)、共通錯誤の場合(2号)「の場合を除き」「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には」「取消しをすることができない」と規定しています。

   ④ 同条4項は、「取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」として第三者の保護について規定しています。


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詐害行為取消の要件についての民法の改正

2023-01-30

   詐害行為取消の要件について民法は改正を行っています。

   詐害行為取消の要件は,ア「債務者が債権者を害することを知って」「行為」をしたこと,イ「取消しを裁判所に請求」したこと,ウ受益者が「その行為の時において債権者を害することを知らなかった」場合でないこと(以上につき424条1項),エ「財産権を目的としない行為」でないこと(同条2項),オ債権者の債権が詐害行為「の前の原因に基づいて生じたものである場合」であること(同条3項),カ債権者の債権が「強制執行により実現することのできないもの」でないこと(同条4項)であるところ,改正民法は,さらに以下のような規定をおいています。

   1 相当の対価を得てした財産の処分行為(相当価格処分行為)について

   民法424条の2は,相当価格処分行為について,①「その行為が,不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により,債務者において隠匿,無償の供与その他の債権者を害することとなる処分」「をするおそれを現に生じさせるものであること」,②「債務者が,その行為の当時,対価として取得した金銭その他の財産について,隠匿等の処分をする意思を有していたこと」,③「受益者が,その行為の当時,債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと」のすべてに該当していた場合に限り,詐害行為として取消請求できるとしています。

   2 特定の債権者に対する担保の供与等について

   民法424条の3の1項は,既存の債務についての担保の供与又は債務の消滅に関する行為について,①「その行為が,債務者が支払不能」「の時に行われたものであること」,②「その行為が,債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること」のいずれにも該当していた場合に限り,詐害行為として取消請求できるとしています。

また,同条2項は,既存の債務についての担保の供与又は債務の消滅に関する行為が「債務者の義務に属せず,又はその時期が債務者の義務に属しないものである場合」について,①「その行為が,債務者が支払不能になる前三十日以内に行われたものであること」,②「その行為が,債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものである」のいずれにも該当していた場合には詐害行為として取消請求できるとしています。

   3 過大な代物弁済等について

   民法424条の4は,受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるものについて,民法424条に規定する要件に該当するときは,「その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分について」詐害行為として取消請求できるとしています。


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詐害行為取消権の行使の方法等についての民法の改正

2023-01-23

   詐害行為取消権の行使の方法や被告について民法は改正を行っています。

   ① 詐害行為取消権は,「債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求する」権利(424条1項)であるところ,その被告は「受益者」又は「転得者」とされています(424条の7の1項)。

   ② そして,受益者を被告とする場合は,「債務者がした行為の取消しとともに,その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求する」「受益者がその財産を返還することが困難であるときは・・・その価額の償還を請求する」ちし,転得者を被告とする場合は,「債務者がした行為の取消とともに,転得者が転得した財産の返還を請求する」「転得者がその財産の返還をすることが困難であるときは・・・その価額の償還を請求する」とされています(424条の6の1項)。

   ③ また,債権者が詐害行為取消訴訟を提起したときは,「遅滞なく,債務者に対し,訴訟告知をしなければならない」とされています(424条の7の2項)。


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債権の消滅時効についての民法・商法の改正

2023-01-02

   改正前の民法において,債権の消滅時効期間は原則として10年とされ,また,5年,3年,1年を時効期間とする短期消滅時効制度がありました。また,商法は,商事債権の消滅時効期間を5年としていました。さらに,時効の中断という制度がありました。ところが,これらの制度は,大きく改正されました。

① 改正民法166条1項1号は,「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」と規定して,債権の消滅時効期間を5年間としました(なお,債権者が権利行使をできる時をしらない場合については,同条同行2項で「権利を行使することができることを知った時から十年間行使しないとき」と規定して従前と同様に10年間としています)。また,商法における商事債権の消滅時効についての規定が削除されました。

② 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権については,改正民法167条が「二十年間」とすると規定して,消滅時効期間を20年間としました。

③ 短期消滅時効についての規定は削除され,債権の消滅時効期間は5年間に統一されました。

④ 時効の中断が時効の完成猶予及び更新に変わりました(改正民法147条)。そして,同条は,その事由について「裁判上の請求」「支払督促」等と規定しました。

⑤ 改正民法151条が,「権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは」「時効は完成しない」と規定して協議を行う旨の合意による時効の完成猶予の制度を導入しました。

⑥ 改正民法161条が,「その障害が消滅した時から三箇月を経過するまでの間は,時効は,完成しない」と規定して天災等の場合における時効の完成猶予期間を3か月としました。


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将来の証拠調べが不可能・困難となる場合の証拠保全

2021-08-30

 裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは証拠保全をすることができます(民事訴訟法234条等)。

 この証拠保全に関する裁判例を見ると、広島地裁昭和61年11月21日決定は、証拠保全の事由について、当該事案に即して具体的に主張され、かつ、疎明されることを要するとし、診療録の改ざんのおそれを右事由とする場合にも具体的な改ざんのおそれを一応推認させるに足る事実を疎明する必要があるとしています。

 また、広島高裁平成3年1月31日判決は、送達について、国立病院に対する医療過誤訴訟にかかる診療録等の証拠保全手続では、国の利害に関係ある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律に従って法務大臣が相手方に当たり、国立病院は呼出状の送達場所ではないとしています。

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当事者尋問における当事者の不出頭等と虚偽の陳述に対する過料

2021-06-21

 民事裁判において、当事者本人に尋問をする手続を当事者(本人)尋問と言い、民事訴訟法207条1項は、裁判所は、申立て又は職権で当事者本人を尋問することができるとしています。そして、同法208条は、その当事者が正当な理由なく出頭や宣誓・陳述を拒否したときに、裁判所は尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができるとし、同法209条1項は、宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは過料の制裁をうけるとしています。

 この当事者尋問に関する裁判例を見ると、当事者の不出頭に関し、東京地裁平成14年10月15日判決が、尋問の必要性を判断するのは裁判所であり、不当な質問は裁判長の訴訟指揮によって制限できるのだから、原告の不出頭に正当な理由はなく尋問事項に関する被告の主張を真実と認めることができるとしています。また、過料の裁判を求める申立権に関し、最高裁平成17年11月18日決定は、過料の裁判は裁判所が職権によって行うものであり、訴訟当事者はその裁判を求める申立権を有しないとしています。

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証拠の申出とその撤回

2021-05-31

 裁判所に対し、証拠方法の取調べを要求する当事者の申立てを証拠の申出と言います。そして、この証拠の申出は、証明すべき事実を特定してしなければならない(民事訴訟法180条1項)とされています。

 この証拠の申出に関する裁判例を見ると、最高裁昭和32年6月25日判決が、証人尋問の終了後は、その申請を撤回することができないとしています。また、最高裁昭和58年5月26日判決は、いったん裁判所の心証形成の資料に供された証拠について、その申出を撤回することは許されず、裁判所は申出人に有利か否かにかかわらず当事者双方に共通する証拠としてその価値を判断しなければならないとしています。

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時機に遅れた攻撃防御方法の却下

2021-05-17

 民事訴訟法156条は、攻撃又は防御の方法は「訴訟の進行状況に応じ適切な時期」に提出しなければならない(適時提出主義)とし、同法157条は、当事者が「故意又は重大な過失」によって「時機に遅れて提出した攻撃又は防御の方法」について、これを審理したのでは「訴訟の完結を遅延させる」場合に申立または職権で却下しうるとしています。

 この「故意又は重過失」について、大審院昭和6年11月4日判決は、第一審の口頭弁論期日に出頭しなかったために主張しなかった抗弁を控訴審で提出したのに対し、その不出頭に対する帰責事由の有無を判断せずに右抗弁を却下した原判決は違法としています。また、「訴訟の完結を遅延させる」場合について、

 東京高裁平成元年3月27日判決は、自白後弁論終結までの間にこれを撤回する機会が十分ありながら格別の措置をとることなく弁論の終結を迎え、その後弁論再開の申請と共にした自白撤回の申出は訴訟の完結を著しく遅延させる時機に遅れたものとしています。なお、最高裁昭和30年4月27日判決は、申請された検証がたとえ一定の要証事実に対する唯一の証拠方法であったとしても、本条に該当するときはこれを却下することができるとしています。

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文書の提出命令・送付嘱託

2020-09-07

 裁判においては所持している文書を提出してその取り調べをしてもらうことになるところ、文書を所持していなくても文書提出命令や文書送付嘱託を申し立て証拠となる文書を取り調べることが考えられます(民事訴訟法219条、226条)。

 相手方当事者または第三者が提出義務を負う場合にはその相手方当事者または第三者に対し文書提出命令を申し立てることができます。また、文書の所持者に提出義務がなくても文書の送付嘱託を申し立てることができます。

 なお、文書提出命令の申立ては、文書の表示・趣旨・証明すべき事実・提出義務の原因を明らかにしてしなければならないとされています(同法221条1項)が、文書の表示・趣旨を明らかにすることが「著しく困難な場合」には文書の特定に必要な情報を開示する手続き(同法222条1項)の利用が可能です。

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