Archive for the ‘刑事事件’ Category

常習累犯窃盗・強盗罪

2021-09-21

 盗犯等の防止及び処分に関する法律3条によって窃盗罪(刑法235条)、強盗罪(同法236条)等の加重事由とされているものとして常習累犯窃盗・強盗罪があります。

 これは、①常習として、窃盗(同法235条)、強盗(同法236条)、事後強盗(同法238条)、昏睡強盗(同法239条)の各罪またはその未遂罪を犯した者で、②その行為の前10年内にこれらの罪またはこれらの罪と他の罪との併合罪について、③3回以上、6月の懲役以上の刑の執行を受けまたはその執行の免除を得た者に対して刑を科すべきときは、④窃盗をもって論ずべきときは3年以上、強盗をもって論ずべきときは7年以上の有期懲役に処するとするものです。

 この常習累犯窃盗・強盗罪に関する裁判例を見ると、東京高裁昭和27年2月21日判決は、刑の執行を受けるという要件について、執行の着手があればよいとしています。また、大審院昭和14年7月14日判決は、犯人の罪が同時に刑法56条の累犯の要件を具備するときは、さらに累犯加重がなされるとしています。

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刑の執行猶予の要件

2021-09-13

 刑の言渡しをする場合において、情状によって一定期間内その執行を猶予し、その期間を無事経過したときに刑の言渡しはその効力を失うとする制度を執行猶予と言います(刑法25条等)。

 この執行猶予は、①前に禁固以上の刑に処せられたことがない者か、②前に禁固以上の刑に処せられたことがあってもその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者が、三年以下の懲役・禁固または五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときに情状により認められます。また、再度の執行猶予の場合はその要件が厳格になり、一年以下の懲役・禁固の言渡しを受けたときに情状に特に酌量すべきものがあるときに認められます。執行猶予の期間は、裁判確定の日から一年以上五年以下とされています(同法同条1項)。

 この執行猶予の要件に関する裁判例を見ると、「前に」の意味について、最高裁昭和31年4月13日判決は、執行猶予を言い渡す判決の以前にという意味であり、既に刑に処せられた罪が現に審判すべき犯罪の前後いずれは問わないとしています。また、「禁固以上の刑に処せられたことがない者」の意味について、最高裁昭和24年3月31日判決は、禁固以上の確定判決を受けたことのない者をいい、その執行を受けなかった者を意味しないとしています。

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未決勾留日数の法定通算

2021-09-06

 上訴提起期間中の未決勾留の日数は、上訴申立後の未決勾留の日数を除き全部これを本刑に通算するとされています。また、上訴申立後の未決勾留の日数も、検察官が上訴を申し立てたときおよび検察官以外の者が上訴を申し立てた場合において、その上訴審において原判決が破棄されたときは、全部本刑に通算するとされています(法定通算、刑事訴訟法495条)。

 この法定通算に関する裁判例を見ると、旧法事件について、最高裁昭和26年7月20日判決は、被告人が控訴し更に上告した事件において、上告審が第一審、控訴審判決を破棄、自判した場合には、第一審判決後の未決勾留日数は、すべて本刑に通算されるとしています。

 一方、最高裁昭和48年11月9日判決は、他事件の裁判確定によりその本刑に法定通算されるべき未決勾留と重複する未決勾留を本件の本刑に算入しても本件の裁判当時他事件の裁判が未確定の状態にあるときは直ちにこれを違法なものとはいえないが、後に他事件の裁判が確定し右勾留が本刑に通算されて刑の執行に替えられたときは、結局違法となるとしています。

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裁判上の自白の無効・取消・撤回

2021-06-28

   裁判所において当事者が自白した事実は証明することを要しない(民事訴訟法179条)とされ、裁判上の自白は、自白された事実についての裁判所の認定権を排除し、自白をした当事者は、自白の内容に矛盾する

   この自白の無効等が問題になった裁判例を見ると、大審院大正11年2月20日判決は、裁判上の自白は原則として取り消すことはできないが、自白した事実が真正の事実に適合せず、かつ、自白が錯誤によることを自白者が証明した場合に限りその取消が許されるとし、また、最高裁昭和33年3月7日判決は、刑法246条2項に当たる詐欺行為により自白がなされた以上、自白は無効であるか又は取り消されるべきである旨の自白者の主張は「刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至った」再審事由を主張するものであり、主張事実が肯認されるならば自白の効力は認められないとしています。

   また、東京高裁平成元年10月31日判決は、自白が真実に反するが錯誤によらない場合であっても、自白に対する相手方の信頼をあくまで保護するのを正当とする事由に乏しいときは自白の撤回が許されるとしています。


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裁判所による書類の送達

2020-08-18

裁判所が当事者その他の訴訟関係人に一定の方式により書類を交付する行為を送達と言います。

 送達は、送達名宛人に交付して行ない(交付送達、民事訴訟法101条)ますが、交付送達ができない場合は書留郵便で所定の場所宛に発送します(郵便に付する送達、同法107条)。そして、送達場所が不明など一定の場合には公示送達が認められます(同法110条)。

 名宛人や方法を誤ると送達は無効となります。

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矯正施設からの仮釈放・仮出場

2020-01-20

 矯正施設に収容されている者を期間満了前に仮に釈放し、残りの期間を無事に経過した場合に刑の執行を免除する仮釈放・仮出場という制度があります。

1 懲役・禁固の受刑者は、改悛の情があるとき、有期刑はその刑期の三分の一、無期刑は10年を経過した後、地方更生保護委員会の処分で釈放を許します(刑法28条)。また、

2 拘留に処せられた者は、情状により地方更生保護委員会の処分で出場を許します(同法30条)。



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自首による刑の減軽

2020-01-14

 犯罪には刑罰が科されることになりますが、刑法42条1項が「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したとき」にその刑を減軽することを認めています。

 この自首の成否が問題となった裁判例を見ると、犯人が発覚しているが所在不明であった場合に自首は成立しないとしています(最高裁昭和24年5月14日判決)。 

 一方、取調において犯罪を隠蔽する供述をし、その後犯罪事実が具体的に発覚する前に自ら進んで申告した場合(最高裁昭和60年2月8日判決)や他の事件で逮捕勾留中に申告した場合(東京地裁平成10年5月26日判決)に自首は成立するとしています。



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児童の虐待に対する法規制

2020-01-06

 身体的・精神的傷害、わいせつ行為、監護を怠ることを児童虐待として、これらについて法的規制をおこなうものとして児童虐待の防止に関する法律(児童虐待防止法)があります。

 同法は、児童虐待を禁止し、このような行為を受けた児童を教職員等が発見した場合に児童相談所に通告することを義務としています。また、平成12年に成立した後、同法について何度か改正が行われ、立入調査権の強化や児童虐待の予防や虐待に対する迅速な対応が図られています。



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刑の一部執行猶予

2019-12-23

 刑の言渡しをする場合でも、刑の現実の執行が必要でないと判断される場合に一定期間その執行を猶予する執行猶予という制度が存在するところ、施設内での処遇に引き続いて社会内での十分な期間の処遇を可能にするため、刑の一部の執行を受けた後、残りの刑の執行を一定期間猶予する一部執行猶予という制度が平成25年に導入され、平成28年6月に施行されました。

①  前に禁固以上の刑に処せられたことがない者か、 前に禁固以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者、前に禁固以上の刑に処せられたことがあってもその刑の執行を受け終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者が

② 3年以下の懲役又は禁固の言渡しを受けた場合に

③ 犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して再犯防止に必要でかつ相当と認められるときは

④ 1年以上5年以下の期間、その刑の執行の一部を猶予することができます(刑法27条の2)。



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刑の執行猶予

2019-12-16

 刑事裁判において犯罪が認定されると刑が言渡されるところ、その刑の執行を一定期間猶予し、猶予期間を無事に経過したときは刑罰権を消滅させる執行猶予という制度があります。

 ①前に禁固以上の刑に処せられたことのない者、または、その執行の免除を受けた日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことのない者が

 ②3年以下の懲役・禁固または50万円以下の罰金の言渡しを受けたとき、

 ③情状により裁判確定の日から1年以上5年以下の期間内その執行を猶予することができます(刑法25条1項)。

また、①前に禁固以上の刑に処せられたがその執行を猶予された者が

 ②1年以下の懲役・禁固の言渡しを受け、③特に酌量すべき情状がある場合にもその執行を猶予することができます(同法25条2項、再度の執行猶予)。

 なお、一般の執行猶予では任意的に、再度の執行猶予では必要的に保護観察に付されます(同法25条の2)。



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