Archive for the ‘雇用・労働’ Category

労働者の人事異動としての降格

2018-07-17

 企業の中における人事異動として昇進・昇格・降格があるところ、降格が認められるかどうかが裁判上問題となっています。

① 役職の引下げとしての降格について、使用者は、就業規則に特別の根拠がなくても人事権により降格を命じることができる(東京高裁平成21年11月4日判決)とされていますが、退職に追い込むことを意図した降格を権利の濫用とした裁判例(東京地裁平成7年12月4日判決)があります。

② 資格の引下げとしての降格を命じるには、労働者の同意または就業規則・給与規程上の根拠が必要とされています(東京地裁平成8年12月11日決定)。

③ 職務等級の引下げとしての降格を命じるにも、労働者の同意または就業規則上の根拠が必要とされ、東京高裁平成23年12月27日判決は、職務の変更と役割グレードの引下げが分離して運用されている場合は、職務の変更が有効でも役割グレードを一方的に引き下げることはできないとしています。

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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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会社が倒産した場合における賃金債権の保護

2018-07-09

1 破産手続
 会社について破産手続が開始した場合、破産手続の開始する前3か月間の使用人(労働者)の給料請求権は、財団債権とされます(破産法149条1項)。
 また、破産手続が終了する前に退職した使用人の退職手当の請求権は、退職する前の3か月間の給料の総額(その総額が破産手続の開始する前3か月間の給料の総額より少ない場合は、破産手続の開始する前3か月間の給料の総額)に相当する額についてのものが財団債権とされます(破産法149条2項)。また、破産手続の開始する前に雇用関係から生じた賃金債権その他の債権で財団債権とならないものは、一般先取特権のある優先的破産債権とされます(破産法98条1項)。

2 会社更生手続
 会社について会社更生手続が開始した場合、更生手続の開始決定前6か月間及び手続の開始後に生じた賃金債権は、共益債権とされます(会社更生法130条、127条2号5号、132条)。
 一方、それ以外の賃金債権は、更生債権とされますが、更生計画の中で更生担保権に次いで優先されます(会社更生法168条1項)。

3 民事再生手続
 会社について民事再生手続が開始した場合、手続の開始決定前に生じた賃金債権等は、一般先取特権のある一般優先債権とされます(民事再生法122条)。一方、手続の開始した後に生じた賃金債権等は、共益債権とされます(民事再生法119条2号、121条)。

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企業における教育訓練・能力開発

2018-07-02

 労働者に必要な職業能力を身につけさせるために企業において教育訓練が行われることがありますが、能力開発促進法は、労働者の職業能力の開発・向上に対する援助を事業主の責務とし(同法4条1項)、そのための機会確保措置として業務の遂行の過程内における職業訓練、業務の遂行の過程外における職業訓練等の訓練(同法9条)、労働者が行う職業能力開発の支援(同法10条の2、10条の3)について規定しています。

 また、使用者は、人事権により教育訓練・能力開発の受講を命じることができるとされ、安全衛生・職場規律に関するものなど業務との関連性の認められる受講命令は認められます(東京高裁昭和52年1月26日判決)が、文化・一般教養研修など業務との関連性が乏しい事項に関する受講命令は許されない可能性があります。

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当ウェブサイト内のサイトページ追加(介護施設)のお知らせについて

2018-06-08

 被介護者虐待が社会問題になっています。当ウェブサイト内の「取扱分野」のカテゴリー内の「社会福祉(旧高齢者)」において、以下のサイトページを追加したのでお知らせします。

介護施設に関する悩み

URL: http://hirama-law.jp/service/troubles-concerning-care-facilities/

今後とも、本サイトをご愛嬌いただけますよう心からお願い申し上げます。
ひらま総合法律事務所

社内メールの私的利用とその閲覧・監視

2018-05-07

 企業内における情報伝達の手段として社内メールが利用されているところ、従業員の了承を得ることなく使用者がこのメールを閲覧・監視することが従業員のプライバシー権の侵害にならないかが問題となります。
この問題に関する裁判例を見ると、東京地裁平成13年12月3日判決は、「監視の目的、手段及びその態様等を総合考慮し、監視される側に生じた不利益とを比較衡量の上、社会通念上相当な範囲を逸脱した監視がなされた場合に限り、プライバシー権の侵害になる」としてプライバシー権の侵害となる場合について述べていますが、誹謗中傷メールの調査においてサーバーに保存されていた電子メールを本人の了承を得ることなく調査したという事案について、東京地裁平成14年2月26日判決は、「ファイルの内容を含めて調査の必要が存する以上、その調査が社会的に許容しうる限界を超えて原告の精神的自由を侵害した違法な行為であるとはいえない」としてプライバシー権の侵害を否定しています。

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年次有給休暇の取得を理由とする不利益取扱い

2018-05-01

 労基法附則136条は、「使用者は、・・・有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と規定しているところ、何が「不利益な取扱い」として許されないのか、また、そのような行為が労基法39条1項違反や民法1条2項の公序に反するものとして無効となるのかが問題となります。

そこで、この問題に関する裁判例を見ると、賞与の計算において年休の取得日を欠勤日として扱うことについて、最高裁平成4年2月18日判決は、許されないとしていますが、翌月における勤務予定表の作成後に請求した年休をタクシー運転手の精皆勤手当の算定で欠勤扱いすることについて、最高裁平成5年6月25日判決は、その措置の「趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、年次有給休暇の取得に対する事実上の抑止力」等の事情を総合考慮して、この権利の行使を抑制しこの権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものでない限り、公序に反するとはいえないとしています。

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交通事故などによる死亡と葬儀費・墓碑建立費・香典等

2017-12-11

交通事故などで被害者が死亡した場合にその葬儀関係費の処理が問題となります。

まず、葬儀費に関する裁判例を見ると、合理的であると考えられる範囲で損害賠償請求としてその支払請求を認めています(最高裁昭和43年10月3日判決等)。

また、墓碑建立費や仏壇購入費についても損害賠償請求としてその支払請求を認めています(最高裁昭和44年2月28日判決等)。

なお、香典については、死亡事故を契機とした収入であることから損害から控除されるように思われますが、裁判例を見ると、損害の填補という性質を有しないとして損害額からその額は控除されない(最高裁昭和43年10月3日判決)とされているようです。

労災事故・不法行為の被害者になった外国人の逸失利益・慰謝料

2017-12-04

日本に滞在する外国人の増加に伴い外国人が労災事故や不法行為の被害者となるケースが多くなっているようですが、このような場合の逸失利益や慰謝料をどのように算定するのかということが問題になります。

まず、逸失利益が問題になった裁判例を見ると、最高裁平成9年1月28日判決が「一時的に我が国に滞在し将来出国が予定される外国人の逸失利益を算定するに当たっては、当該外国人がいつまで我が国に居住して就労するか、その後はどこの国に出国してどこに生活の本拠をおいて就労することになるか、などの点を証拠資料に基づき相当程度の蓋然性が認められる程度に予測し、将来のあり得べき収入状況を推定すべきことな」り、「そうすると、予測されうる我が国での就労可能期間ないし滞在可能期間内は我が国での収入等を基礎として逸失利益を算定するのが合理的ということができる」「我が国における就労可能期間は、来日目的、事故の時点における本人の意思、在留資格の有無、在留資格の内容、在留期間、在留期間更新の実績及び蓋然性、就労資格の有無、就労の態様等の事実的及び規範的な諸要素を考慮して、これを認定するのが相当である」と判示しています。

また、慰謝料に関する裁判例を見ると、東京高裁平成13年1月25日判決が「死亡慰謝料の算定にあたっては、日本人と外国人とを問わず、その支払いを受ける遺族の生活の基盤がどこにあり、支払われた慰謝料がいずれの国で消費されるのか、そして当該外国と日本との賃金水準、物価水準、生活水準等の経済的事情の相違を考慮せざるを得ない」と判示しましたが、その後、日本人と同様の取り扱いをした大阪地裁平成20年1月31日判決や横浜地裁平成20年1月24日判決などが出ています。

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交通事故の後発的事情(被害者の自殺、病死)による死亡

2017-10-02

交通事故による後遺障害が残った被害者が後発的事情によって死亡した場合にこの後発的事情が損害の算定においてどのように評価されるかが問題となることがあります。

この点、後遺障害が残った被害者が自殺した場合について、最高裁平成5年9月9日判決は、「本件事故の態様が・・・に大きな精神的衝撃を与え、しかもその衝撃が長い年月にわたって残るようなものであったこと、その後の補償交渉が円滑に進行しなかったことなどが原因となって、・・・が災害神経症状態に陥り、更にその状態から抜け出せないままうつ病になり、その改善をみないまま自殺に至ったこと、自らに責任のない事故で傷害を受けた場合には災害神経症状態を経てうつ病に発展しやすく、うつ病にり患した者の自殺率は全人口の自殺率と比較してはるかに高いなど原審の適法に確定した事実関係を総合すると、本件事故と・・・の自殺との間に相当因果関係があるとした上、自殺には同人の心因的要因も寄与しているとして相応の減額をして死亡による損害額を定めた原審の判断は、正当として是認することができ」ると判示しています。

一方、後遺障害が残った被害者が病死した場合について、最高裁平成8年4月25日判決は、「交通事故の被害者が事故に起因する傷害のために身体的機能の一部を喪失し、労働能力の一部を喪失した場合において、いわゆる逸失利益の算定に当たっては、その後に被害者が死亡したとしても、右交通事故の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り、右死亡の事実は就労可能期間の認定上考慮すべきものではない」と判示しています。

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休職命令の要件

2017-09-11

労働者の就労を一時禁止または免除することを休職といい、これには

①労働者の疾病・負傷を理由とする傷病休職、

②傷病以外の事故を理由とする事故欠勤休職、

③刑事事件で起訴された者を休職させる起訴休職、

④留学等のための自己都合休職、

⑤出向期間中の出向休職

などがありますが、使用者の一方的な休職命令による休職についてはその要件が問題となります。

そこで、この点が問題になった裁判例を見ると、傷病休職に関して、東京高裁平成7年8月30日判決が、傷病によって通常勤務に相当の支障が生ずることを要するとしています。

また、起訴休職に関して、東京地裁平成11年2月15日判決が、傷害事件で起訴された者に対する11か月の無給起訴休職につき処分無効としています。

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