Archive for the ‘個人法務’ Category

会社が倒産した場合における賃金債権の保護

2018-07-09

1 破産手続
 会社について破産手続が開始した場合、破産手続の開始する前3か月間の使用人(労働者)の給料請求権は、財団債権とされます(破産法149条1項)。
 また、破産手続が終了する前に退職した使用人の退職手当の請求権は、退職する前の3か月間の給料の総額(その総額が破産手続の開始する前3か月間の給料の総額より少ない場合は、破産手続の開始する前3か月間の給料の総額)に相当する額についてのものが財団債権とされます(破産法149条2項)。また、破産手続の開始する前に雇用関係から生じた賃金債権その他の債権で財団債権とならないものは、一般先取特権のある優先的破産債権とされます(破産法98条1項)。

2 会社更生手続
 会社について会社更生手続が開始した場合、更生手続の開始決定前6か月間及び手続の開始後に生じた賃金債権は、共益債権とされます(会社更生法130条、127条2号5号、132条)。
 一方、それ以外の賃金債権は、更生債権とされますが、更生計画の中で更生担保権に次いで優先されます(会社更生法168条1項)。

3 民事再生手続
 会社について民事再生手続が開始した場合、手続の開始決定前に生じた賃金債権等は、一般先取特権のある一般優先債権とされます(民事再生法122条)。一方、手続の開始した後に生じた賃金債権等は、共益債権とされます(民事再生法119条2号、121条)。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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新しい民法(7)債権の消滅時効における時効期間と起算点

2018-06-25

 現行民法では、債権の消滅時効における時効期間と起算点について、「権利を行使することができる時から10年」としています(民法166条1項、167条1項)が、改正法では、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」か、「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」に時効によって消滅する(改正民法166条1項)としています。

 また、現行民法は、170条から174条で短期消滅時効について規定していますが、改正法は、これらの規定を削除しています。

 さらに、改正法は、定期金債権について、行使することができることを知ったときから10年間行使しないときか、これらの各債権を行使することができるときから20年間行使しないときは、時効によって消滅する(改正民法168条1項)とし、生命、身体の侵害による損害賠償請求権について、5年間と20年間のいずれかによって時効消滅する(改正民法167条、724条の2)としています。

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新しい民法(6)賃貸借における敷金と原状回復

2018-06-18

 現行法では、敷金という用語が使われています(民法316条、619条2項)がその意義などについての規定が存在しなかったところ、改正法は、敷金の意義等について規定しています。また、現行法では、内容が不明確であったところ、改正法は、原状回復義務の範囲などについて規定しています。

 まず、改正法は、敷金の意義について、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」としています。

 また、敷金返還債務について、

①賃貸借が終了し、かつ、目的物が返還されたとき、

②別段の合意がない限り、賃借人が適法に賃借権を譲渡したときに生ずるとしています。

 さらに、敷金の充当について、賃貸物の返還時または賃借権の適法な譲渡時において、賃貸借に基づく賃借人の賃貸人に対する金銭債務が残存するときは、敷金はその債務の弁済に当然に充当されるとし、また、敷金返還債務が生ずる前であっても、賃貸人の意思表示により敷金の充当ができるとしています(以上、改正民法622条の2)。

 次に、改正法は、賃借人の収去義務について、使用貸借の規定を準用し、

 ①賃借人が賃借物を受け取った後にこれに附属させたものについては賃借人が収去義務を負うとする一方、附属物を分離することができない場合や附属物の分離に過分の費用を要する場合には、賃借人は、収去義務を負わないとしています(改正民法622条、599条)。

 また、改正法は、原状回復義務について、賃借人は、賃借物に生じた通常損耗については原状回復義務を負わないとし、また、その他の損傷についても賃借人の帰責事由によらないものについては現状回復義務を負わないとしています(改正民法621条)。

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新しい民法(5)売買契約における売主の瑕疵担保責任

2018-06-11

 現行民法における売主の瑕疵担保責任の法的性質については、法定責任説、債務不履行説などが主張されていますが、改正法は、債務不履行説の立場に立って条文を整理したと説明されています。

 まず、責任を負う場合について、改正法は、「瑕疵」という文言を使わず、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない(契約不適合)ものであるときと規定しています。また、契約不適合が「隠れた」ものであること、買主が善意であることを要求していません(以上、改正民法562条1項)。また、現行民法571条を削除して改正民法533条において同時履行の関係に立つ債務として債務の履行に代わる損害賠償債務を規定しています。

 次に、改正法は、契約不適合があった場合に買主は、売主に対し、売主の帰責事由の有無を問わず追完請求権を行使できる(改正民法562条1項、565条)が、履行不能になっている場合や買主に帰責事由がある場合には行使できない(改正民法412条の2、562条2項、565条)としています。なお、追完の方法は、目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡しでその選択は買主が行いますが、売主の選択する方法が買主に不相当な負担を課すものでない場合には、売主は、買主の選択と異なる方法によることができる(改正民法562条1項)とされています。

 また、改正法は、契約不適合があった場合に買主は、売主に対し、売主の帰責事由の有無を問わず代金減額請求権を行使できるとしていますが、追完が不能・売主が追完を拒絶する意思を明確に示した・定期行為の時期が経過した・追完を受ける見込みがないことが明らかであるときを除いて、相当な期間を定めて追完を催告することが必要であり(改正民法563条1項・2項、565条)、また、買主に帰責事由がある場合には行使できない(改正民法563条3項)としています。なお、解除及び損害賠償請求の要件・効果は、債務不履行の一般原則(改正民法564条)によることになります。

 また、改正法は、権利を行使できる期間について、目的物の種類・品質が契約不適合の場合にはそれを知った時から1年(改正民法566条)としましたが、その他の場合については特則を設けていません。

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新しい民法(4)事業者が作成した約款に基づく取引

2018-06-04

 現行民法には約款に関する規定がありませんが、事業者が作成した約款に基づく取引が広く行われていることから、改正法では定型約款に関する規定が設けられます。

 まず、適用の対象となる定型約款について、定型取引において契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体、定型取引について、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものと定義(改正民法548条の2第1項)しています。

 また、定型約款が契約の内容になる場合について、
①定款約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき、
②定款約款の準備者があらかじめその定款約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときのいずれかを満たす状況で定型取引合意がなされた場合としています(改正民法548条の2第1項)。

 なお、定型約款の準備者は、定型取引合意前か定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、定型約款の内容を開示しなければならない(改正民法548条の3)とされています。

 また、定款約款の効力について、
①相手方の権利を制限し、または相手方の義務を加重する条項であり、
②その定型取引の態様およびその実状並びに取引上の社会通念に照らして信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められる定款約款の条項は、合意をしなかったものとみなす(改正民法548条の2第2項)とされています。

 さらに、定款約款の変更について、
①相手方の一般の利益に適合するときか
②契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性などの変更に係る事情に照らして合理的なもので、効力の発生時期を定め、約款変更する旨、変更後の約款内容、その効力の発生時期を周知しなければならない(改正民法548条の4第2項)とされています。

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新しい民法(3)法定利率の固定と変動

2018-05-28

 法定利率について、現行法は年5分と定めています(民法404条)が、改正法では、当初年3%とし、3年を1期として1期ごとに見直される(改正民法404条)ことになりました。また、この改正にあわせて商法514条が削除され、年6分の商事法定利率が廃止されることになりました。

 また、現行法における金銭債務の損害賠償額の算定についての特則(民法419条1項)に関して、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率による(改正民法419条1項)ことにして、事後的に法定利率に変更があってもその影響を受けないようにしました。

 また、現行法には明文の規定がありませんが、改正法では、損害賠償の額を定める場合に利息相当額を控除するときは法定利率によることが明文化されました(改正民法417条2項)。

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新しい民法(2)保証人の保護の拡充

2018-05-21

 保証人が過酷な責任を負うことが少なくないところ、保証人の保護という観点からの改正が行われます。

まず、
①保証債務の付従性(改正民法448条2項)、主たる債務者の有する抗弁等(改正民法457条2項・3項)の内容の明文化、保証人の求償権(改正民法459条1項、459条の2、460条3号、462条)、通知義務(改正民法463条)の内容の明確化、連帯保証人に生じた事由の効力の相対的効力への変更(改正民法458条、441条)といった改正が行われます。

また、
②個人根保証契約への極度額の規律の適用(改正民法465条の2、465条の5)、元本の確定事由の規律の適用(改正民法465条の4)の拡大といった改正が行われます。

さらに、
③経営者保証の場合を除いて、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約の締結にあたっての公正証書による保証意思確認手続の義務付け(改正民法465条の6から465条の8)、保証人に対する情報提供の義務付け(改正民法458条の2、458条の3、465条の10)といった改正が行われます。

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借家の明渡しと立退料の支払い

2018-04-23

 建物を賃貸している家主が借家契約を解約あるいはその更新を拒絶して借家人に対して家屋からの立退きを請求する場合に家主から借家人に対し立退料(移転料・明渡料)として金銭が支払われることがあります。

立退料は、
①移転費用の補償

②失う利益の補償

③消滅する利用権の補償を内容とするというのが一般的であり、

①としては梱包、運送、移転通知費用等の引越費用、敷金、不動産業者に対し支払う仲介料等の移転先取得のための費用、増加した賃料の差額の補償、

②としては移転先で同一の営業を開始するための費用、休業期間中の損失や減収分の補償、

③としては消滅する借家権の補償などが問題となります。

 なお、裁判例においても立退料は認められており、相当額の立退料を支払うことと引換えに家主からの明渡請求を認めています(最高裁昭和38年3月1日判決、最高裁昭和46年11月25日判決等)。

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不貞の相手方に対する他方の配偶者からの損害賠償請求

2018-04-16

 夫婦の一方が不貞行為を行った場合、他方の配偶者に対する貞操義務違反となりますが、さらに、不貞の相手方に対する損害賠償請求が問題になります。
 この点、裁判例を見ると、明治民法の頃から、他方の配偶者による不貞の相手方に対する損害賠償請求を認めています。最高裁昭和34年11月26日判決は、夫のいることを知りながら妻と肉体関係を結んだ相手方に対する損害賠償請求を認め、また、最高裁昭和54年3月30日判決は、「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意又は過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず」夫又は妻としての権利を侵害するとし、他方の配偶者の苦痛を慰藉すべき義務があるとしています。

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離婚原因としての浮気・不倫などの不貞行為

2018-04-02

 夫婦の間で協議が調わず、また、家庭裁判所の調停によっても離婚の合意に至らなかった場合、民法770条1項が規定する離婚原因を主張して裁判所に対して離婚を請求することが考えられるところ、同条1項1号は、不貞行為を離婚原因としています。
 そこで、不貞行為に関する裁判例を見ると、夫が知人と共謀して女性を強姦した場合について、最高裁昭和48年11月15日判決は、相手方の女性に自由な意思はないがこのような夫の行為も不貞行為になるとしています。
 また、妻が売春をした場合について、最高裁昭和38年6月4日判決は、売春をした妻の行為は不貞行為にあたるが、夫からの離婚請求が認められるためには、離婚請求を肯定するに足りる特段の事情の存在が必要であるとしています。
 なお、相手方に不貞行為が存在する場合でも、裁判所の裁量によって離婚請求を棄却することができ(同条2項)、離婚請求を棄却した裁判例(東京地裁昭和25年12月6日判決)もあります。

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