新しい民法(1)債権の譲渡禁止特約

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2018-05-14

 平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が成立しました。今回の改正は,民法のうち債権関係の規定について,取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に,社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに,民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。今回の改正は,一部の規定を除き,平成32年(2020年)4月1日から施行されます。(抜粋,法務省ホームページ「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」)そこで,改正により大きく変わる箇所を数回に分けて解説します。

 現行法においては,その譲渡を禁止する特約に違反して行われた債権譲渡の効力について,譲受人が譲渡を禁止する特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある場合には譲渡の当事者間においても無効であるとする見解(物権的効力説)が有力ですが,改正法においては,その譲渡を制限する特約があっても債権譲渡は有効(改正民法466条2項)とした上で,特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある譲受人に対しては,債務者は,債務の履行の拒絶権を有し,また,譲渡人に対する弁済その他の債務の消滅事由を対抗することができる(同条3項)とし,さらに,譲受人が特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある場合であっても,譲受人が債務者に対し相当な期間を定めて譲渡人への履行の催告をしてもその期間内に債務者が履行をしないときには,債務者は,譲受人に対し,履行の拒絶権を有さず,また,譲受人に対する債務消滅事由を対抗することができなくなる(同条4項)とされています。

 また,供託に関して,その譲渡を禁止する特約のある金銭債権が譲渡されたときに債務者が供託をすることができる(改正民法466条の2第1項),その譲渡を禁止する特約のある金銭債権が譲渡とされた場合において譲渡人に破産手続開始決定があったときには,譲受人が特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある場合であっても,債務者に供託させることができる(改正民法466条の3)とされています。

 さらに,差押えに関して,その譲渡を禁止する特約のある債権に対する差押債権者に対し,債務者は,履行の拒絶権を有さず,また,債権者に対する債務消滅事由を対抗することができない(改正民法466条の4第1項),特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある譲受人の債権者が差押えをした場合には,債務者は,その差押債権者に対し,履行の拒絶権を有し,また,譲渡人に対する債務の消滅事由を対抗することができる(同条2項)とされています。

 なお,預貯金債権については,特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある譲受人に対し,譲渡制限の特約を対抗できる(改正民法466条の5第1項)とされています。

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