12月, 2014年
親子会社、兄弟会社と不当な取引制限
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)ではカルテルや入札談合といった不当な取引制限の禁止や企業結合の規制が定められていますが、ある会社が他の会社の議決権の過半数を保有する関係にある親子会社や親会社が同じである兄弟会社の間で事業を再編するために合併・会社分割・事業譲渡や事業の生産、販売拠点の統合等を行おうとする場合、公正取引委員会への届出の要否や不当な取引制限の成否などが問題となります。
この点、独禁法上の同一の「企業結合集団」内の会社であれば、合併・会社分割・事業譲渡について公正取引委員会への届出は不要とされています。また、学説に争いはありますが、親子会社や兄弟会社の間での事業の生産、販売拠点の統合等については不当な取引制限は成立しないとする見解が有力なようです。
このような問題を適切に解決するためには、判例・学説に加えて行政処分や公正取引委員会のガイドラインなどの検討も必要になります。
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ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
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知的財産制度と「知的財産立国」
知的創造活動によって生み出されたものを財産として保護するものが知的財産制度ですが、この知的財産制度を規律する特許法、意匠法、商標法、弁理士法、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律を改正することを内容とする「特許法等の一部を改正する法律」が平成26年4月25日に成立し、同年5月14日に公布されました。改正の主な内容は以下のようなものです。
Ⅰ特許法の改正
①手続期間の延長・優先権主張・特許出願審査の請求期間の徒過に係る規定の整備による救済措置の拡充
②特許異議の申立て制度の創設
Ⅱ意匠法の改正
ジュネーブ改正協定に基づき複数の国に対して意匠を一括出願するための規定の整備
Ⅲ商標法の改正
①色彩や音からなる商標を保護の対象に追加する保護対象の拡充
②商工会・商工会議所・特定非営利活動法人・これらに相当する外国の法人を地域団体商標の登録主体に追加する地域団体商標の登録主体の拡充
③国際機関の紋章等と類似する商標の保護
Ⅳ弁理士法の改正
①弁理士の使命の明確化
②意匠に係る国際登録出願に関する代理業務や出願以前のアイデア段階での相談業務等の弁理士の業務の拡大
③利益相反行為の緩和
④経済産業大臣の役員解任権の廃止
Ⅴ特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律の改正
特許の国際出願に関する手数料を一括で納付するための規定の整備
日本政府は、世界最高の「知的財産立国」を目指してさまざまな施策を推進しており、この改正もその一環と言えます。
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フランチャイジーに対する情報提供義務
居酒屋やコンビニエンスストアなどさまざまな事業においてフランチャイズビジネスが行われていますが、業績が低迷して、フランチャイザーのフランチャイジーに対する売上予測や予想収益等に関する情報提供義務違反が問題とされることがあります。この義務について明示的に定めた条文はありませんが、判例において、フランチャイザーはフランチャイジーになろうとする者がフランチャイズ契約を締結するか締結しないかについて的確な判断が出来るように正確な情報を提供すべき信義則上の義務を負うとされています。
そして、この義務違反に当たるかどうかは、裁判例を見ると①売上予測等の手法の合理性②基礎情報の客観性・正確性とその情報に基づく分析過程の相当性によって判断されているようです。そこで、フランチャイザーとしては、売上予測や予想収益等に虚偽や人為的操作が加わらないようにし、また、基礎情報の客観性・正確性とその情報に基づく分析過程の相当性を確保するための管理体制を作って情報提供義務違反が生じないようにすることが必要になってきます。
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錯誤などによるインターネット上のトラブル
相手方と顔をあわせて行う対面取引において誤解・誤信があった場合、意思表示の要素に錯誤があれば意思表示は無効とする一方で意思表示をした人に重大な過失があれば無効主張は出来ないとする民法95条が問題となりますが、インターネット上で商品を購入したりサービスの提供を受けたりする電子商取引に関しては民法95条の特則である電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(電子契約法)3条が問題となります。
そして、電子商取引においてはクリックミス(miss-click)やサイトで使われている省略表現の理解不足などによるトラブルが生じやすいと考えられることから、電子契約法3条では、消費者が事業者に対し電子契約について真意と異なる申込みを行ってしまった場合、①事業者が確認措置を講じている場合と②消費者が確認措置は必要無いとの意思を表明した場合を除いて、重大な過失があったとしても消費者は無効主張をすることが出来る。とされています。
消費者の側から見ればその保護が手厚くなっていると言えますが、事業者の側から見れば無効主張をされるリスクが高くなっていると言えます。そこで、多くの事業者は、確認措置として最終確認画面が表示されるようにしていますが、画面の小さいモバイル端末の利用者に対応するため、最終確認画面の無いサイトもあるようですので、今後、この規定がどのように運用されていくのかに注目したいと思います。
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被害の救済と製造物責任法(PL法)
製造業者などが製造、加工、輸入又は一定の表示をして引き渡した製造物の欠陥によって生命、身体又は財産を侵害した場合、製造物責任法(PL法)を根拠として、その製造業者、輸入業者、製造物に氏名などを表示した事業者は、過失の有無にかかわらず、この欠陥によって生じた損害を賠償する責任を負うことになります。
この法律における「欠陥」とは製造物が通常有すべき安全性を欠いていることを意味します。そして、この製造物の「欠陥」によって人の生命、身体や製造物以外の財産に損害(拡大損害)が生じた場合、過失が無くても、製造業者などはその賠償責任を負うことになりますので、このような「欠陥」の無い安全な製品を消費者に提供するよう求められることになります。
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