9月, 2016年

日本に居住する外国人夫婦の離婚

2016-09-26

   日本に住んでいる外国人の夫婦が日本で離婚をしようとする場合、日本の裁判所を利用することが出来ますが、この場合に適用される法律(準拠法)が問題となります。

   離婚の成立要件について適用される法律は、

   ①   その夫婦の本国法が同じであるときはその本国法(共通本国法)

   ②   共通本国法は無いがその夫婦の常居所地法が同じであるときはその常居所地法(共通常居所地法)

   ③   共通本国法、共通常居所地法のいずれも無いときはその夫婦と最も密接な関係のある地の法律(密接関連地法)となります(法の適用に関する通則法25条、27条)。

   また、離婚の方式について適用される法律は、上記の離婚の成立要件について適用される法律か行為地法となります(法の適用に関する通則法34条)。


Divorce between foreign nationals in Japan – Applicable Law of Divorce

If one party is a Japanese residing in Japan, the Japanese civil code applies. How about a couple who are both foreign nationals? Article 27 applied the same provisions as in Article 25, regarding the effectiveness of marriage. According to article 25,

(1) If both party’s home country law is the same, then according that law applies.

(2) If there is no such law, if the couple have a common place of domicile, the law of that country applies.

(3) If neither the above are applicable, then the law of the country the couple has the closest tie to shall apply.

Therefore, if for example, a couple of differing nationalities resides in Japan, even if neither one may be a Japanese national, the Japanese civil code will apply. In cases such as this where the Japanese civil code is applicable, divorce by consent can take place. *Kobori, S. 2008. Living with the Japanese Law A Guide for Foreign Nationals in Japan Q&A107 The 3er edition. Japan: T Sakai.

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株式譲渡の自由と従業員持株制度

2016-09-20

   従業員に対する福利厚生や愛社精神の育成などのために自社の株式を有利な条件で従業員に保有させる従業員持株制度を導入している企業がありますが、株式の自由な譲渡を制限し、退職時には株式を一定額で会社に譲渡すると定められているのが通常であるため、このような譲渡制限契約が株式会社において株式の譲渡は原則として自由(会社法127条)とされていることや公序良俗(民法90条)に違反しないかが問題となります。

   この点につき裁判例を見ると、このような契約を有効としているものがほとんどのようです。従業員が制度の趣旨を了解し毎年8から30%の割合による配当を受けていた事案に関して最高裁平成7年4月25日判決は、退職の際には額面額で取得した株式を額面額で取締役会の指定する者に譲渡するとの合意は、商法204条1項(現会社法127条)や公序良俗に反しないとしています。

   また、日刊新聞を発行する非公開会社の事案に関して最高裁平成21年2月17日判決は、株式の保有資格者を原則として現役の従業員等に限定し、個人的理由により株式を売却する必要が生じたときなどには持株会が額面額で買い戻すとの定めは、その内容に合理性がないとは言えないとして会社法127条や公序良俗に反しないとしています。

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消費者トラブルを救済するための消費者裁判手続特例法

2016-09-12

   消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(消費者裁判手続特例法)が平成28年10月1日から施行されます。

   消費者庁によると、平成27年度の全国の消費生活センターなどに寄せられた消費者トラブルに関する相談件数は約93万件ありましたが、相談者の4割が被害回復のための行動に出ず、訴訟を提起した人は1%に満たなかったところ、この消費者裁判手続特例法により被害者に代わって国が認定する「特定適格消費者団体」が訴訟を提起して損害賠償を請求出来るようになります。

   この裁判は、「共通義務確認訴訟」という第1段階と「対象債権の確定手続」という第2段階に分けて行われます。第1段階では、「特定適格消費者団体」が訴訟を提起して裁判所が企業に賠償義務があるかどうかを判断します。そして、「義務あり」と判断されると「特定適格消費者団体」が被害者に対しホームページなどで裁判への参加を呼びかけて裁判所がそれぞれに対する賠償額を決めます。


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就労可能な在留資格への変更

2016-09-05

   外国人の在留資格には、事業を行って収入を得たり報酬を得たりする就労が可能な「技術・人文知識・国際業務」などと就労が予定されていない「短期滞在」「留学」「家族滞在」などがありますが、就労が予定されていない在留資格から就労が可能な在留資格への変更が問題となることがあります。

   この点、「短期滞在」という在留資格から他の在留資格への変更は、やむを得ない特別の事情がなければ許可しないということになっています(出入国管理及び難民認定法20条3項ただし書)。そのため、実務上、「短期滞在」から他の資格への変更は、ほとんど認められていないようです。

   また、「短期滞在」以外の在留資格から他の在留資格への変更は、変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することが出来るとされています(出入国管理及び難民認定法20条3項)。そして、この判断に関するものとして「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」があります。

   なお、在留資格の変更で就労することが出来ない場合でも、希望する在留資格の「在留資格認定証明書」(出入国管理及び難民認定法7条の2)を取得してから再来日して希望する就労をすることが考えられます。


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