Archive for the ‘多重債務>法的整理’ Category

時効の中断事由としての差押え、仮差押え、仮処分

2020-08-03

 時効の中断事由として、差押え、仮差押え、仮処分が規定されている(民法154条等)ところ、差押え等によって時効中断の効力が生じるのはいつか、また、時効中断の効力はいつまで続くのかという問題があります。

 まず、差押え等によって時効中断の効力が生じるのはいつかという問題に関する裁判例を見ると、動産執行に関し、最高裁昭和59年4月24日判決は、債権者が執行官に対し執行の申立をした時としていますが、金銭執行に関し、最高裁昭和43年3月29日判決は、債務名義に表示の住所に執行債務者が所在しないために執行が不能に終わった場合には、同金銭債権について時効中断の効力は生じないとしています。

 次に、時効中断の効力はいつまで続くのかという問題に関する裁判例を見ると、仮差押えに関し、最高裁平成10年11月24日判決は、仮差押えの執行保全の効力が存続する間は継続し、被保全債権につき本案の勝訴判決が確定しても仮差押えによる時効中断の効力が消滅するものではないとしています。また、最高裁平成6年6月21日判決は、仮差押解放金の供託により仮差押執行が取り消されても時効中断の効力は継続するとしています。

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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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元本債務・利息債務の承認と相殺と債務の承認

2020-06-15

 時効の中断事由のひとつとして「承認」(民法147条3号、156条)が規定されているところ、どのような行為がこの「承認」にあたるかが問題となります。

 この点、債務の一部の弁済は、債務全体の承認とされます(大審院大正8年12月26日判決)。また、利息の支払いは、元本債務についての承認とされます(大審院昭和3年3月24日判決)。さらに、支払いの猶予や延期の懇請も債務の承認となります(大審院大正10年3月4日判決)。

 一方、他の事情が伴わない限り、相殺の意思表示に対し異議を述べなかったとしても債務を承認したことにはならない(大審院大正10年2月2日判決)し、利息債権についての強制執行に対し異議を述べなかったとしても元本債務を承認したことにはならない(大審院大正11年4月14日判決)とされています。

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第三者に対する訴訟告知

2019-12-02

 債権者から訴訟を提起された保証人が主たる債務者に対しそのことを通知するといったように当事者が当該訴訟に参加できる第三者に対し訴訟が係属したことを通知する訴訟告知という制度があります。

 告知については当事者にくわえて補助参加人や告知を受けた者も告知できるとされています。また、告知を受けるのは、当該訴訟に参加することができる第三者とされています。

 告知をされても参加を強制されるわけではありませんが、参加人となる利害関係のある被告知者は、参加しなかった場合や遅れて参加した場合でも告知に対応して参加できた時点に参加したものとして参加的効力を受けるとされています。



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他人の訴訟に利害関係を有する者による補助参加

2019-11-25

 債務者が債権者から訴訟を提起された場合にその債務者の保証人がその訴訟に参加するように第三者が自己の利益を守るために他人の訴訟に参加する制度として補助参加があります。

 補助参加人は、被参加人を助けて訴訟を追行することになります。

 この制度を利用するには、①他人の間で既に訴訟が係属していることと②訴訟の結果について法律上の利益である補助参加の利益があることが必要であり、一方の当事者の親友や親せきであるといったことによる感情的な利益はこの補助参加の利益とは認められない(東京高裁昭和50年5月16日決定)とされています。

 また、補助参加人は、原則として訴訟行為をすることができます(独立性)が、被参加人が行うことのできない行為や被参加人の行為と矛盾・抵触する行為はできない(従属性)とされています。

 そして、被参加人が敗訴した場合、一定の事項について、被参加人と補助参加人との間の後訴において被参加人敗訴の確定判決の内容が前提とされます(参加的効力)。



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差押債権者による取立て(2019年8月26日分)

2019-10-07

 差押命令が債務者に送達されて1週間が経過すると、差押債権者は、第三債務者から直接取立てをすることができます(民事執行法155条1項)。そして、この取立権によって、差押債権者は、自己の名において、差押債権に関し債務者の権利を行使できるとされており、最高裁平成11年9月9日判決は、生命保険に関し債務者の有する解約権を行使することができるとしています。

 差押債権者が取立権を行使して第三債務者から支払いを受けたときはその限度で弁済を受けたものとみなされます(同法155条2項)。差押債権者は、取立権の行使により第三債務者から支払いを受けたときは直ちにその旨を執行裁判所に届け出なければならないとされています(同法155条3項)。

 また、差押債権者が取立権に基づいて取立てをしたが第三債務者が支払わない場合や差押等が競合したのに供託しない場合、差押債権者は、取立訴訟を提起することができます(同法157条)。そして、差押債権者は、取立訴訟の判決に基づいて第三債務者の財産に対して強制執行をすることができます。



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債権に対する強制執行

2019-10-07

 債権に対する執行には、債権執行と債権担保権の実行がありますが、債権執行が利用されることが多いようです。
 債権執行とは、金銭債権や引渡請求権を差し押さえ、換価・配当をする手続です(民事執行法143条等)。強制執行で必要とされる執行費用も、当該手続で取り立てることができる(同法42条)とされています。


 債権執行の申立は、債務者の普通裁判籍の所在地か差し押さえる債権の所在地を管轄する地方裁判所に対して行います(同法144条第1項)。
 強制執行は、請求債権の期限到来後に開始することができるのが原則(同法30条1項)ですので、弁済期がある場合や期限の利益の喪失が条件の場合、弁済期の到来や期限の利益の喪失を主張することになります。
 また、差押債権の特定が必要とされ、差押債権が不特定である債権差押命令は無効とされます(最高裁昭和46年11月30日判決)。


 執行裁判所は、債務者に対して差押債権の処分行為を禁止し、第三債務者に対して債務者への弁済を禁止する命令を発します(同法145条第1項)。そして、差押債権者は、債務者に差押命令が送達されてから1週間が経過すれば差押債権を取立てることができます(同法155条)。



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クレジット業者に対する抗弁の対抗

2019-06-17

 クレジット取引における販売契約とクレジット契約は当事者の異なる別個の契約ですが、購入者は、クレジット業者の支払請求に対し、販売契約についての無効・取消・解除等の事由をもって対抗できるとされています(抗弁の対抗、抗弁の接続 同法30条の4、35条の3の19)。
 この規定の性質については争いがありますが、判例は、上記の抗弁の対抗はこの規定によって創設的に認められたという創設的規定説を採用している(最高裁平成23年10月25日判決、最高裁平成2年2月20日判決)と評価されています。



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クレジットに関するトラブル

2019-03-18

 購入した商品の代金の決算については現金決済のほかにクレジット決済がありますが、このクレジット決済において消費者から名義を借りて販売業者が立替金を不正に取得することがあります。

 このような名義貸しの事案について、最高裁平成29年2月21日判決は、立替払契約の締結の判断に影響を及ぼす重要事項の不実告知にあたるのであれば不実告知による取消を認めることができるとしています。

 なお、クレジットの不正利用としては特約があるのに契約書や電話応対では商品販売のみであるように表示するというものやモニター料を支払うので支払いの負担はないと言ってクレジット契約を締結させるというものもあります。



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アルバイトによる収入と個人再生手続の利用

2018-08-20

 個人再生手続を利用しようとする場合、小規模個人再生手続については「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」こと(民事再生法221条1項)、給与所得者等再生手続については上記の要件をみたす者で「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込み」があり、かつ、「その額の変動幅が小さいと見込まれる」こと(民事再生法239条1項)が要件とされるところ、アルバイトによって収入を得ている人がこれらの要件をみたして個人再生手続を利用できるかが問題となることがあります。

 この点、アルバイトであることによって制度の利用を否定されることはなく、源泉徴収票や給与明細書などによって収入を得る見込みを検討しその利用要件をみたすかどうかを判断することになります。

 なお、アルバイトにより収入を得ている場合に限りませんが、個人再生手続が開始した後にこれらの利用要件を欠くことになると再生手続の廃止事由(民事再生法191条1号)や再生計画不認可事由(民事再生法231条2項1号、241条2項1号)が生じることになります。

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取締役の報酬の決定方法

2018-08-06

 指名委員会等設置会社以外の株式会社においては、取締役の報酬等に関する所定の事項につき定款に定めがない場合には株主総会決議で定めなければならない(会社法361条1項)とされていますが、株主総会においては報酬の総額のみを決め、その配分を一任された取締役会がこの配分決定をさらに代表取締役に一任することが適法かという問題があります。

 そこで、この問題に関する裁判例をみると、最高裁昭和31年10月5日判決がこのような一任を適法としています。なお、定款または株主総会の決議によって報酬の金額が定められていない場合について、最高裁平成15年2月21日判決は、具体的な報酬請求権は発生せず、取締役が会社に対して報酬を請求することはできないとしています。

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