Archive for the ‘雇用・労働’ Category

アルバイトによる収入と個人再生手続の利用

2018-08-20

 個人再生手続を利用しようとする場合、小規模個人再生手続については「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」こと(民事再生法221条1項)、給与所得者等再生手続については上記の要件をみたす者で「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込み」があり、かつ、「その額の変動幅が小さいと見込まれる」こと(民事再生法239条1項)が要件とされるところ、アルバイトによって収入を得ている人がこれらの要件をみたして個人再生手続を利用できるかが問題となることがあります。

 この点、アルバイトであることによって制度の利用を否定されることはなく、源泉徴収票や給与明細書などによって収入を得る見込みを検討しその利用要件をみたすかどうかを判断することになります。

 なお、アルバイトにより収入を得ている場合に限りませんが、個人再生手続が開始した後にこれらの利用要件を欠くことになると再生手続の廃止事由(民事再生法191条1号)や再生計画不認可事由(民事再生法231条2項1号、241条2項1号)が生じることになります。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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外国人の退去強制と収容

2018-08-13

 入国警備官は、退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは収容令書により外国人を収容することができます(入管法39条)。そして、収容令書による収容期間は30日でやむをえない事由があるときは30日の延長が可能で、この間に退去強制令書を発布するかどうかを決定することになります(入管法41条1項)。なお、退去強制令書の執行を受けるまでの間、収容の効力を停止する仮放免という制度があります(入管法54条1項)。

 この収容に関する裁判例をみると、収容令書により外国人を収容するためには、退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当な理由があるだけでは足りず、収容を必要とする合理的な理由が存在することが必要としたもの(東京高裁昭和47年4月15道判決)があります。

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取締役の報酬の決定方法

2018-08-06

 指名委員会等設置会社以外の株式会社においては、取締役の報酬等に関する所定の事項につき定款に定めがない場合には株主総会決議で定めなければならない(会社法361条1項)とされていますが、株主総会においては報酬の総額のみを決め、その配分を一任された取締役会がこの配分決定をさらに代表取締役に一任することが適法かという問題があります。

 そこで、この問題に関する裁判例をみると、最高裁昭和31年10月5日判決がこのような一任を適法としています。なお、定款または株主総会の決議によって報酬の金額が定められていない場合について、最高裁平成15年2月21日判決は、具体的な報酬請求権は発生せず、取締役が会社に対して報酬を請求することはできないとしています。

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労働組合に対する便宜供与としてのチェック・オフ

2018-07-30

 労働組合との協定に基づいて、使用者が組合員の賃金から組合費を控除して組合に引き渡すことをチェック・オフと言います。

 このチェック・オフは、労働者の賃金にかかわることから、労基法の賃金全額払の原則(同法24条1項)との関係が問題となり、最高裁平成元年12月11日判決は、チェック・オフについて全額払原則の適用を認め労使協定の締結を要件としています。

 また、チェック・オフが有効となるには、使用者が個々の組合員から組合費支払いの委任を受けることが必要とされ、最高裁平成5年3月25日判決は、チェック・オフについて、組合員が使用者に組合費の支払いを委任し、使用者が組合に対し組合費を支払う一方、組合員との間で組合費相当額を賃金から控除する関係としています。

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労働者の人事異動としての降格

2018-07-17

 企業の中における人事異動として昇進・昇格・降格があるところ、降格が認められるかどうかが裁判上問題となっています。

① 役職の引下げとしての降格について、使用者は、就業規則に特別の根拠がなくても人事権により降格を命じることができる(東京高裁平成21年11月4日判決)とされていますが、退職に追い込むことを意図した降格を権利の濫用とした裁判例(東京地裁平成7年12月4日判決)があります。

② 資格の引下げとしての降格を命じるには、労働者の同意または就業規則・給与規程上の根拠が必要とされています(東京地裁平成8年12月11日決定)。

③ 職務等級の引下げとしての降格を命じるにも、労働者の同意または就業規則上の根拠が必要とされ、東京高裁平成23年12月27日判決は、職務の変更と役割グレードの引下げが分離して運用されている場合は、職務の変更が有効でも役割グレードを一方的に引き下げることはできないとしています。

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会社が倒産した場合における賃金債権の保護

2018-07-09

1 破産手続
 会社について破産手続が開始した場合、破産手続の開始する前3か月間の使用人(労働者)の給料請求権は、財団債権とされます(破産法149条1項)。
 また、破産手続が終了する前に退職した使用人の退職手当の請求権は、退職する前の3か月間の給料の総額(その総額が破産手続の開始する前3か月間の給料の総額より少ない場合は、破産手続の開始する前3か月間の給料の総額)に相当する額についてのものが財団債権とされます(破産法149条2項)。また、破産手続の開始する前に雇用関係から生じた賃金債権その他の債権で財団債権とならないものは、一般先取特権のある優先的破産債権とされます(破産法98条1項)。

2 会社更生手続
 会社について会社更生手続が開始した場合、更生手続の開始決定前6か月間及び手続の開始後に生じた賃金債権は、共益債権とされます(会社更生法130条、127条2号5号、132条)。
 一方、それ以外の賃金債権は、更生債権とされますが、更生計画の中で更生担保権に次いで優先されます(会社更生法168条1項)。

3 民事再生手続
 会社について民事再生手続が開始した場合、手続の開始決定前に生じた賃金債権等は、一般先取特権のある一般優先債権とされます(民事再生法122条)。一方、手続の開始した後に生じた賃金債権等は、共益債権とされます(民事再生法119条2号、121条)。

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企業における教育訓練・能力開発

2018-07-02

 労働者に必要な職業能力を身につけさせるために企業において教育訓練が行われることがありますが、能力開発促進法は、労働者の職業能力の開発・向上に対する援助を事業主の責務とし(同法4条1項)、そのための機会確保措置として業務の遂行の過程内における職業訓練、業務の遂行の過程外における職業訓練等の訓練(同法9条)、労働者が行う職業能力開発の支援(同法10条の2、10条の3)について規定しています。

 また、使用者は、人事権により教育訓練・能力開発の受講を命じることができるとされ、安全衛生・職場規律に関するものなど業務との関連性の認められる受講命令は認められます(東京高裁昭和52年1月26日判決)が、文化・一般教養研修など業務との関連性が乏しい事項に関する受講命令は許されない可能性があります。

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当ウェブサイト内のサイトページ追加(介護施設)のお知らせについて

2018-06-08

 被介護者虐待が社会問題になっています。当ウェブサイト内の「取扱分野」のカテゴリー内の「社会福祉(旧高齢者)」において、以下のサイトページを追加したのでお知らせします。

介護施設に関する悩み

URL: https://hirama-law.jp/service/troubles-concerning-care-facilities/

今後とも、本サイトをご愛嬌いただけますよう心からお願い申し上げます。
ひらま総合法律事務所

社内メールの私的利用とその閲覧・監視

2018-05-07

 企業内における情報伝達の手段として社内メールが利用されているところ、従業員の了承を得ることなく使用者がこのメールを閲覧・監視することが従業員のプライバシー権の侵害にならないかが問題となります。
この問題に関する裁判例を見ると、東京地裁平成13年12月3日判決は、「監視の目的、手段及びその態様等を総合考慮し、監視される側に生じた不利益とを比較衡量の上、社会通念上相当な範囲を逸脱した監視がなされた場合に限り、プライバシー権の侵害になる」としてプライバシー権の侵害となる場合について述べていますが、誹謗中傷メールの調査においてサーバーに保存されていた電子メールを本人の了承を得ることなく調査したという事案について、東京地裁平成14年2月26日判決は、「ファイルの内容を含めて調査の必要が存する以上、その調査が社会的に許容しうる限界を超えて原告の精神的自由を侵害した違法な行為であるとはいえない」としてプライバシー権の侵害を否定しています。

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年次有給休暇の取得を理由とする不利益取扱い

2018-05-01

 労基法附則136条は、「使用者は、・・・有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と規定しているところ、何が「不利益な取扱い」として許されないのか、また、そのような行為が労基法39条1項違反や民法1条2項の公序に反するものとして無効となるのかが問題となります。

そこで、この問題に関する裁判例を見ると、賞与の計算において年休の取得日を欠勤日として扱うことについて、最高裁平成4年2月18日判決は、許されないとしていますが、翌月における勤務予定表の作成後に請求した年休をタクシー運転手の精皆勤手当の算定で欠勤扱いすることについて、最高裁平成5年6月25日判決は、その措置の「趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、年次有給休暇の取得に対する事実上の抑止力」等の事情を総合考慮して、この権利の行使を抑制しこの権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものでない限り、公序に反するとはいえないとしています。

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