Archive for the ‘少年事件’ Category

嫡出推定の及ばない子

2021-12-20

   妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定する(民法772条)とされているところ、どのような場合に上記の推定が及ばないかが問題となることがあります。

   この問題に関する裁判例を見ると、最高裁平成10年8月31日判決は、子の出生する九箇月余り前に夫婦が別居していても、別居後出生までの間に性交渉の機会を有したほか、婚姻費用を分担するなどの調停を成立させ夫婦間に婚姻の実態が存しないことが明らかであったとまでは言い難い場合には推定を受けない嫡出子とはいえないとしています。

   また、最高裁平成12年3月14日判決は、夫と妻との婚姻関係が終了してその家庭が崩壊しているとの事情があっても、その一事をもって嫡出否認の訴えの提起期間経過後に親子関係不存在確認の訴えをもって父子関係を争うことはできないとしています。


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自首による刑の減軽

2021-10-18

 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に、自発的に自己の犯罪事実を申告し、その処分を求める意思表示を自首と言います。そして、自首が成立する場合、その刑は、任意的に減軽されます(刑法42条1項)。

 この自首の成否に関する裁判例を見ると、東京高裁平成7年12月4日判決は、人を殺した者が犯行直後に自首を決意しそのまま派出所に赴いたが警察官が不在であったため、さらに110番通報して自己の氏名・犯罪事実を申告した場合には、派出所出頭8分後、電話通報2分前にその妻が通報していたため既に捜査機関に被告人の犯罪事実が発覚していたとしても、自首したものといえるとし、最高裁平成13年2月9日決定は、拳銃所持・発射罪について、捜査機関に発覚する前に申告したときは、使用した拳銃について虚偽の事実を述べたとしても自首が成立するとしています。

 一方、東京高裁平成17年3年31日判決は、強盗の目的で被害者に暴行を加えて死亡させた者が暴行の動機・態様について隠して単なる傷害として警察に申告する行為は自首に当たらないとし、東京高裁平成17年6月22日判決は、自首そのものが犯人隠避行為に該当する場合は実質的にみて自己の犯罪事実の申告があったとは認められず、傷害致死の共同正犯者が他の共犯者の存在を隠ぺいするため単独犯行として警察に申告する行為は自首に当たらないとしています。

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親権者とその子との利益相反行為

2021-05-10

 成年に達しない子は、父母の親権に服する(民法818条1項)とされていますが、親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為について、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない(同法826条1項)とされています。

 この利益相反行為について、大審院大正10年8月10日判決は、単に親権者と未成年の子とが当事者となりその間になす法律行為のみに限らず、親権者のために利益にして未成年者のために不利益な法律行為を包括指称するとしています。

 そして、この利益相反行為への該当性に関し、最高裁昭和37年10月2日判決は、親権者が子の名において金員を借り受け子の不動産に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であっても利益相反行為とはいえないが、親権者自身が金員を借り受けるに当たり子の不動産に抵当権を設定することは、仮に借受金を子の養育費に充当する意図であったとしても利益相反行為に当たるとし、最高裁昭和42年4月18日判決は、親権者が子を代理してした行為自体を外形的・客観的に考察して判定すべきであって、親権者の動機・意図をもって判定すべきでないとしています。

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離婚原因としての不貞行為

2020-12-28

 婚姻の当事者が訴えによって婚姻の解消を求める場合に必要となる離婚原因について民法770条1項が規定しているところ、その中のひとつに不貞行為(同項1号)があります。

 不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思に基づくものであるか否かを問わない(最高裁昭和48年11月15日判決)とされています。

 裁判例を見ると、買春・売春(最高裁昭和38年6月4日判決)、強姦(最高裁昭和48年11月15日判決)も不貞行為になるとされています。

 なお、不貞行為の宥恕に関し、不貞行為の宥恕は民法770条2項の裁量棄却の資料になり得るが、離婚請求権を消滅させるものではないとするもの(東京高裁昭和34年7月7日判決)や宥恕後婚姻が破綻した場合に同条1項5号の離婚原因が認められる余地を認めるもの(東京高裁平成4年2月24日判決)があります。

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親権を行う父または母と子の利益相反行為

2020-12-21

 親権を行う父または母とその子との利益が相反する行為について、親権を行う父または母は、その子のための特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない(民法826条1項)とされています。

 そこで、当該行為がこの利益相反行為に該当するかどうかが問題となった裁判例を見ると、子の財産を親権者に譲渡する行為は該当しますが、親権者から子に無償で財産を譲渡する行為は該当しない(大審院昭和6年3月9日判決等)とされています。

 また、遺産分割は該当します(最高裁昭和49年7月22日判決)が、親権者が未成年者全員を代理して相続を放棄することは該当しない(最高裁昭和53年2月24日判決)とされています。

 また、子のための特別代理人の権限が問題となった裁判例を見ると、親権者の一方のみと利益相反する場合、特別代理人と他方の親権者との共同代理となる(最高裁昭和35年2月25日判決)、選任された特別代理人と未成年者との間で利益が相反する場合、その特別代理人は付与された権限を行使できない(最高裁昭和57年11月18日判決)とされています。

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裁判所による書類の送達

2020-08-18

裁判所が当事者その他の訴訟関係人に一定の方式により書類を交付する行為を送達と言います。

 送達は、送達名宛人に交付して行ない(交付送達、民事訴訟法101条)ますが、交付送達ができない場合は書留郵便で所定の場所宛に発送します(郵便に付する送達、同法107条)。そして、送達場所が不明など一定の場合には公示送達が認められます(同法110条)。

 名宛人や方法を誤ると送達は無効となります。

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いじめと不法行為責任

2020-02-17

 児童・生徒によるいじめについては児童・生徒の不法行為とその親(親権者)の不法行為が問題となります。

1 いじめを行った児童・生徒に不法行為が成立するためには、その児童・生徒に責任能力が備わっていることが必要になります(民法712条)。

 そこで、責任能力に関する裁判例を見ると、小学4年生につき大阪地裁昭和58年1月27日判決が、小学5年生につき最高裁昭和58年6月7日判決が、小学6年生につき長野地裁昭和60年2月25日判決が、それぞれ、責任能力を否定しています。

 また、中学2年生につき東京地裁昭和60年5月31日判決は、責任能力を否定していますが、大阪地裁昭和59年12月25日判決は、責任能力を肯定しています。

2 いじめを行った児童・生徒に責任能力が認められない場合、その親などの親権者は民法714条の不法行為責任を負います。そして、具体的な加害行為について認識がなくても、非行歴等についての認識があれば加害行為を予見することが可能でありそれを回避できたとして監督義務の懈怠を認めた裁判例があります(静岡地裁沼津支部平成13年4月18日判決等)。



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児童の虐待に対する法規制

2020-01-06

 身体的・精神的傷害、わいせつ行為、監護を怠ることを児童虐待として、これらについて法的規制をおこなうものとして児童虐待の防止に関する法律(児童虐待防止法)があります。

 同法は、児童虐待を禁止し、このような行為を受けた児童を教職員等が発見した場合に児童相談所に通告することを義務としています。また、平成12年に成立した後、同法について何度か改正が行われ、立入調査権の強化や児童虐待の予防や虐待に対する迅速な対応が図られています。



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刑の執行猶予

2019-12-16

 刑事裁判において犯罪が認定されると刑が言渡されるところ、その刑の執行を一定期間猶予し、猶予期間を無事に経過したときは刑罰権を消滅させる執行猶予という制度があります。

 ①前に禁固以上の刑に処せられたことのない者、または、その執行の免除を受けた日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことのない者が

 ②3年以下の懲役・禁固または50万円以下の罰金の言渡しを受けたとき、

 ③情状により裁判確定の日から1年以上5年以下の期間内その執行を猶予することができます(刑法25条1項)。

また、①前に禁固以上の刑に処せられたがその執行を猶予された者が

 ②1年以下の懲役・禁固の言渡しを受け、③特に酌量すべき情状がある場合にもその執行を猶予することができます(同法25条2項、再度の執行猶予)。

 なお、一般の執行猶予では任意的に、再度の執行猶予では必要的に保護観察に付されます(同法25条の2)。



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携帯電話に関する法規制

2019-11-18

 スマートフォンを含む携帯電話が普段の生活に普及していますが、振り込め詐欺などで利用されるといった問題も生じており、このような問題点に対応するための法律が作られています。

 まず、携帯電話不正利用防止法をあげることができます。携帯電話の不正利用を防止することを狙った法で、契約に際しての本人の確認義務(同法3条)などを定めています。

 また、青少年インターネット環境整備法をあげることができます。青少年を有害情報から守ることを狙った法で、暴力、ポルノ、薬物などに関する情報を有害情報として事業者に対しフイルタリングサービスを提供するなどの義務を課しています。



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出会い系サイトに関するトラブル

2019-10-28

 インターネットに関するトラブルの中にいわゆる出会い系サイトについてのトラブルがありますが、この出会い系サイトを規制するものとしてインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(出会い系サイト規制法)があります。
 この法律の内容をみると、

① 事業者に対する規制として、児童利用禁止の明示(同法10条)、児童でないことの確認(同法11条)、都道府県公安委員会の是正命令(同法13条、14条)、

② 利用者に対する規制として、性交等の相手方となるように誘引する行為の禁止(同法6条)

などが定められています。



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危険運転致傷罪の行為態様

2019-10-07

 2013年の法改正により、刑法208条の2の危険運転致致死傷罪や同法211条2項の自動車運転過失致死傷罪などが「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転死傷行為処罰法)に移り、また、準危険運転致死傷罪が新設(同法3条)されました。

 危険運転致死傷罪の行為態様は、アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で運転し人を死傷させた場合の

 ①酩酊運転致死傷(同法2条1号)、進行を制御することが困難な高速度で運転し人を死傷させた場合の

 ②高速度運転致死傷(同法2条2号)、進行を制御する技能を有しないで運転し人を死傷させた場合の

 ③未熟運転致死傷(同法2条3号)、人または車の通行を妨害する目的で著しく接近しかつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転し人を死傷させた場合の

 ④妨害運転致死傷(同法2条4項)、赤色信号等をことさらに無視しかつ重大な危険を生じさせる速度で運転し人を死傷させた場合の

 ⑤信号無視運転致死傷(同法2条5号)、通行禁止道路を進行したりしかつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転し人を死傷させた場合の

 ⑥通行禁止道路運転致死傷(同法2条6号)です。そして、これらにおいて死傷の結果についての故意は不要とされています。



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協議・合意手続

2019-09-24

 2016年における法改正により一定の財政経済犯罪と薬物銃器犯罪を対象(刑訴法350条の2第2項)として協議・合意手続が導入されました。

1 合意手続 合意の内容となる被疑者・被告人の行為は、他人の刑事事件について、取調べ・証人尋問の際に真実の供述をすること、証拠の提出その他必要な協力をすること、検察官の処分は、被疑者・被告人の事件ついて公訴を提起しないこと・取り消すこと、特定の訴因・罰条により公訴を提起・維持すること、特定の訴因・罰条の追加・撤回・変更を請求すること、論告で特定の刑を科すべき旨の意見を陳述することとされています。

2 協議手続 検察官は、協議において、被疑者・被告人に対し、他人の刑事事件について供述を求めることができる(聴取手続)とされています。

3 合意が成立した場合には合意内容書面が作成されます。そして、合意をした被疑者の事件について公訴を提起したとき、検察官は、公判において遅滞なく合意内容書面の取調べを請求しなければならない、また、合意に基づく被疑者・被告人の供述が証拠として用いられる他人の刑事事件の公判においても、合意内容書面の取り調べを請求しなければならないとされています。

 なお、合意の当事者が合意に違反した場合、合意の相手方は合意から離脱することができる、検察官が合意に基づいた求刑をしたものの裁判所がこれより重い刑を言い渡した場合等、被疑者・被告人の供述内容が真実でないことが明らかになった場合等に検察官は合意から離脱することができるとされています。



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刑事免責手続

2019-09-24

 2016年における法改正において協議・合意手続とともに導入されたものとして刑事免責手続があります。

 1 刑事訴追を受ける等のおそれのある事項についての尋問を予定している場合、検察官は、裁判所に対し、刑事免責決定を請求することができます(刑事訴訟法第157条の2)。

 なお、免責決定をする理由がないことが明らかな場合には、裁判所は、免責決定をしないことになります。

 2 その効果は、

 ①証人の供述及びこれにもとづいて得られた証拠を証人の不利益な証拠とすることができないこと、

 ②証人は証言拒絶権を行使できないことです。証人が証言を拒めば過料や証言拒絶罪の対象となります。



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成年被後見人が他人に損害を与えた場合における成年後見人の責任

2018-12-03

 責任無能力者が第三者に与えた損害について、責任無能力者を監督する義務を負う者が賠償責任を負う(民法714条1項)とされているところ、成年被後見人が第三者に損害を与えた場合に成年後見人がこの責任を負うかどうかが問題となります。

 そこで、この問題に関する裁判例を見ると、鉄道駅構内に立ち入って轢死した認知症高齢者の遺族に対し鉄道会社が損害賠償を請求した事案について、最高裁平成28年3月1日判決は、「保護者や成年後見人であることだけでは直ちに法定の監督義務者に該当するということはできない」とした上で、「法定の監督義務者に該当しない者であっても、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、衡平の見地から法定の監督義務を負う者と同視してその者に対し民法714条に基づく損害賠償責任を問うことができるとするのが相当であり、このような者については、法定の監督義務者に準ずべき者として、同条1項が類推適用される」と判示しています。

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