Archive for the ‘不動産’ Category
免責的債務引受の要件と効果、引受人の抗弁
① 民法470条1項は,免責的債務引受について,「引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し,債務者は自己の債務を免れる」と規定しています。
② 同条2項は,「免責的債務引受は,債権者と引受人となる者との契約によってすることができる」とした上で,その効力は,「債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に」生ずると規定しています。
③ 同条3項は,「免責的債務引受は,債務者と引受人となる者」との契約と債権者の「引受人となる者に対」する「承諾」によってすることができると規定しています。
④ 同法472条の2は,「その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる」として,免責的債務引受の効力が生じたときに債務者が主張することができた抗弁によって引受人が債権者に対抗することができることを規定しています。
⑤ 同条2項は,「債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するとき」について,引受人は,「これらの権利の行使によって債務者がその債務を免れることができた限度において,債権者に対して債務の履行を拒むことができる」と規定しています。
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賃貸借における敷金とその取扱い
① 民法622条の2第1項は,「敷金(いかなる名目によるかを問わず,賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で,賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう)として敷金を定義した上で,「1 賃貸借が終了し,かつ,賃貸物の返還を受けたとき。2 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。」に賃貸人は賃借人に対して,賃借人の「債務の額を控除した残額を返還しなければならない」と規定しています。
② 同条2項は,「賃借人は,賃貸人に対し,敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない」と規定して,賃借人から敷金での弁済への充当を請求できないことを定めています。
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売買の目的物の滅失等についての危険の移転
① 民法567条1項は,「売買の目的として特定したもの」が買主に引き渡された後に「当事者双方の責めに帰することができない事由によって」滅失・損傷したときに,買主は,「履行の追完の請求,代金の減額の請求,損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」と規定して,このような場合に売買の目的物の滅失・毀損を理由とする買主による権利主張を否定しています。
② 同条2項は,「売主が契約の内容に適合する目的物をもって,その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず,買主がその履行を受けることを拒み,又は受けることができない場合」に「その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が」滅失・毀損したときも「前項と同様」と規定して,このような場合にも売買の目的物の滅失・毀損を理由とする買主による権利主張を否定しています。
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売買における買主が売主に対して権利を行使できる期間
改正前の民法は,売買の目的物の瑕疵を理由とする権利の行使について買主が事実を知ってから1年と規定していました(改正前民法570条,566条3項)が,改正民法は,これを以下のように変更しています。
改正民法566条は,「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において,買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは,買主は,その不適合を理由として,履行の追完の請求,代金の減額の請求,損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」と規定して,種類・品質に関する契約不適合を知った買主に対して1年以内に不適合であることを売主に通知するよう求め,その期間の始まりを「その不適合を知った時」とした上で,その但書において「売主が引渡しの時にその不適合を知り,又は重大な過失によって知らなかったときは,この限りでない」と規定して,売主が引渡し時に悪意又は重過失であったときは本文の効果を否定しています。
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意思表示の効力の発生時期、受領能力についての民法の改正
意思表示の効力の発生時期,受領能力等について民法は改正を行っています。
① 96条2項は,「相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは,その通知は,通常到達すべきであった時に到達したものとみなす」として,意思表示の到達が擬制される場合について規定しています。
② 同条3項は,「意思表示は,表意者が通知を発した後に死亡し,意思能力を喪失し,又は行為能力の制限を受けたときであっても,そのためにその効力を妨げられない」と規定して,改正前に「行為能力の喪失」としていたのを変更し,また,「意思能力を喪失し」た場合を加えています。
③ 98条の2は,「意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは,その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし,次に掲げる者がその意思表示を知った後は,この限りでない。
1 相手方の法定代理人
2 意思能力を回復し,又は行為能力者となった相手方」
と規定して,相手方が意思能力を有していなかった場合を加えています。
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土地工作物責任における瑕疵
民法717条1項は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」と規定しています。
この瑕疵があるかどうかが問題となった裁判例を見ると、大審院昭和12年7月17日判決は、電気事業者が電気工作物規程に従って桑樹の間を通して高圧電流を通ずる電線を架設したところ、後に桑樹が生育したためそれに登った者が感電死した場合には、外部の状況の変化に対応した安全な処置を尽くさなかった点に瑕疵があるとしています。また、最高裁昭和46年4月23日判決は、踏切道の軌道施設は保安設備と併せ一体として考察されるべきであり、見通しが悪く交通・列車回数が多く過去数度に及ぶ事故のあった電車の踏切に保安設備が欠けている場合は、土地の工作物たる軌道施設の設置に瑕疵があるとしています。
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遺留分減殺請求権を行使できる期間
被相続人の処分によって奪われることのない相続人に留保された相続財産の一定の割合を遺留分と言いますが、この遺留分に基づく減殺請求については、「遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから一年間行使しないときは、時効によって消滅する」とされています(民法1042条)。
この遺留分減殺請求権を行使できる期間に関する裁判例を見ると、減殺すべき贈与があったことを知った時の意義について、最高裁昭和57年11月12日判決は、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知った時と解すべきであるから、遺留分権利者が贈与の無効を信じて訴訟上争っているような場合はこれに当たらないとしながら、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されたことを遺留分権利者が認識している場合には、その無効を信じているため遺留分減殺請求権を行使しなかったことがもっともと首肯し得る特段の事情が認められない限り、右贈与が減殺できることを知っていたと推認するのが相当であるとしています。
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参加承継・引受承継
訴訟の係属中に一方当事者と第三者との間で権利や義務が移転した場合にその承継人が訴訟に加わる制度として参加承継・引受承継(民事訴訟法49条、50条等)があります。
この制度に関する裁判例を見ると、土地賃貸借の終了を理由とする建物収去土地明渡請求訴訟の係属中に第三者が当該建物を賃借した場合に関し、最高裁昭和41年3月22日判決は、建物収去義務の一部といえる退去義務に関する紛争が第三者との間に移行し、かつ、従前の訴訟資料を利用して実効的解決を図り得るから当該第三者は承継人といえるとしています。
また、その申立権者に関し、東京高裁昭和54年9月28日決定は、係争物の譲受人は自ら進んで訴訟参加し得るのであり、譲渡人には譲受人に訴訟を承継させるべく引受申立てをする利益はないとして申立権者にあたらないとしています。
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裁判の土地管轄
訴訟を提起する場合にどの裁判所に提起するかを決める基準を管轄と言い、土地との関係で問題となる管轄を土地管轄と言います。
この土地管轄に関し、民事訴訟法4条1項は、被告の生活の根拠地の裁判所に管轄権が認められる(普通裁判籍)としています。そして、この普通裁判籍は、自然人については住所(同条2項)、法人その他の社団・財団については主たる事務所または営業所の所在地、国については法務大臣の所在地(同条6項等)としています。
また、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟では不法行為が行われた土地(同法5条9号)、財産権上の訴訟では義務履行地(同法5条1号)を管轄する裁判所にも管轄権が認められます(独立裁判籍)。
さらに、他の事件との関連から、本来管轄権の無い裁判所に管轄権が認められる場合があります(関連裁判籍、同法7条等)。
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遺産分割の効力
遺産の分割は、相続の開始した時に遡ってその効力を生ずる(遡及効、民法909条本文)とされています。また、この遺産分割の遡及効は、第三者の権利を害することができない(同条但書)とされています。そして、遺産の相続によって不動産に関する権利を取得した相続人は、登記を経なければ遺産の分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分を超える権利の取得を対抗できない(最高裁昭和46年1月25日判決)とされています。
なお、登記実務では、遺産分割の合意があったときは、被相続人の登記名義のままで、直ちに各人名義の相続登記をすることができる(昭和19年10月19日民事甲692号回答)とされています。
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