Archive for the ‘不動産’ Category

意思表示の効力の発生時期、受領能力についての民法の改正

2023-02-27

   意思表示の効力の発生時期,受領能力等について民法は改正を行っています。

   ① 96条2項は,「相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは,その通知は,通常到達すべきであった時に到達したものとみなす」として,意思表示の到達が擬制される場合について規定しています。

   ② 同条3項は,「意思表示は,表意者が通知を発した後に死亡し,意思能力を喪失し,又は行為能力の制限を受けたときであっても,そのためにその効力を妨げられない」と規定して,改正前に「行為能力の喪失」としていたのを変更し,また,「意思能力を喪失し」た場合を加えています。

   ③ 98条の2は,「意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは,その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし,次に掲げる者がその意思表示を知った後は,この限りでない。

   1 相手方の法定代理人

   2 意思能力を回復し,又は行為能力者となった相手方」

と規定して,相手方が意思能力を有していなかった場合を加えています。


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土地工作物責任における瑕疵

2021-11-15

   民法717条1項は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」と規定しています。

   この瑕疵があるかどうかが問題となった裁判例を見ると、大審院昭和12年7月17日判決は、電気事業者が電気工作物規程に従って桑樹の間を通して高圧電流を通ずる電線を架設したところ、後に桑樹が生育したためそれに登った者が感電死した場合には、外部の状況の変化に対応した安全な処置を尽くさなかった点に瑕疵があるとしています。また、最高裁昭和46年4月23日判決は、踏切道の軌道施設は保安設備と併せ一体として考察されるべきであり、見通しが悪く交通・列車回数が多く過去数度に及ぶ事故のあった電車の踏切に保安設備が欠けている場合は、土地の工作物たる軌道施設の設置に瑕疵があるとしています。


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遺留分減殺請求権を行使できる期間

2021-11-01

 被相続人の処分によって奪われることのない相続人に留保された相続財産の一定の割合を遺留分と言いますが、この遺留分に基づく減殺請求については、「遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから一年間行使しないときは、時効によって消滅する」とされています(民法1042条)。

 この遺留分減殺請求権を行使できる期間に関する裁判例を見ると、減殺すべき贈与があったことを知った時の意義について、最高裁昭和57年11月12日判決は、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知った時と解すべきであるから、遺留分権利者が贈与の無効を信じて訴訟上争っているような場合はこれに当たらないとしながら、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されたことを遺留分権利者が認識している場合には、その無効を信じているため遺留分減殺請求権を行使しなかったことがもっともと首肯し得る特段の事情が認められない限り、右贈与が減殺できることを知っていたと推認するのが相当であるとしています。

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参加承継・引受承継

2021-07-12

 訴訟の係属中に一方当事者と第三者との間で権利や義務が移転した場合にその承継人が訴訟に加わる制度として参加承継・引受承継(民事訴訟法49条、50条等)があります。

 この制度に関する裁判例を見ると、土地賃貸借の終了を理由とする建物収去土地明渡請求訴訟の係属中に第三者が当該建物を賃借した場合に関し、最高裁昭和41年3月22日判決は、建物収去義務の一部といえる退去義務に関する紛争が第三者との間に移行し、かつ、従前の訴訟資料を利用して実効的解決を図り得るから当該第三者は承継人といえるとしています。

 また、その申立権者に関し、東京高裁昭和54年9月28日決定は、係争物の譲受人は自ら進んで訴訟参加し得るのであり、譲渡人には譲受人に訴訟を承継させるべく引受申立てをする利益はないとして申立権者にあたらないとしています。

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裁判の土地管轄

2021-02-15

 訴訟を提起する場合にどの裁判所に提起するかを決める基準を管轄と言い、土地との関係で問題となる管轄を土地管轄と言います。

 この土地管轄に関し、民事訴訟法4条1項は、被告の生活の根拠地の裁判所に管轄権が認められる(普通裁判籍)としています。そして、この普通裁判籍は、自然人については住所(同条2項)、法人その他の社団・財団については主たる事務所または営業所の所在地、国については法務大臣の所在地(同条6項等)としています。

 また、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟では不法行為が行われた土地(同法5条9号)、財産権上の訴訟では義務履行地(同法5条1号)を管轄する裁判所にも管轄権が認められます(独立裁判籍)。

 さらに、他の事件との関連から、本来管轄権の無い裁判所に管轄権が認められる場合があります(関連裁判籍、同法7条等)。

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遺産分割の効力

2021-02-01

 遺産の分割は、相続の開始した時に遡ってその効力を生ずる(遡及効、民法909条本文)とされています。また、この遺産分割の遡及効は、第三者の権利を害することができない(同条但書)とされています。そして、遺産の相続によって不動産に関する権利を取得した相続人は、登記を経なければ遺産の分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分を超える権利の取得を対抗できない(最高裁昭和46年1月25日判決)とされています。

 なお、登記実務では、遺産分割の合意があったときは、被相続人の登記名義のままで、直ちに各人名義の相続登記をすることができる(昭和19年10月19日民事甲692号回答)とされています。

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遺留分の減殺請求

2020-11-02

 遺留分の減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始および減殺すべき贈与・遺贈のあったことを知ったときから1年で消滅し、10年の除斥期間にかかる(民法1042条)とされていますが、遺留分の減殺請求は裁判外で行うことも可能とされています(最高裁昭和41年7月14日判決)。そして、遺贈、死因贈与、生前贈与という順序で減殺されます(同法1033条)。

 なお、被相続人の全財産が遺贈されたのに対し遺留分権利者が遺贈の効力を争わないで遺産分割を申入れた場合に関し、最高裁平成10年6月11日判決は、特段の事情がない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれているとしています。

 減殺請求を受けた受遺者・受贈者は、現物返還に代えて価額弁償をすることができる(同法1041条)とされ、最高裁平成12年7月11日判決は、価額賠償は、目的財産の各個につき許されるとしています。

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地代借賃増減請求事件における調停前置主義

2020-08-31

 借地借家法11条の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求や同法32条の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てしなければならない(調停前置主義)とされ(民事調停法24条1項)、同項の事件について調停の申立てをすることなく訴えが提起された場合に受訴裁判所はその事件を調停に付さなければならないとされています(同法24条2項本文)。

 このように地代借賃増減請求事件において調停前置主義が採用されているのは、少額訴訟が多いことや専門的な知識経験を有する調停委員の活用の必要性などに鑑み、訴訟による前にまず調停手続きを活用するのが好ましいためなどと言われています。

 なお、受訴裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときはこの限りではないとして(同法24条2項但書)、調停前置主義の例外を認めています。

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時効の中断事由としての差押え、仮差押え、仮処分

2020-08-03

 時効の中断事由として、差押え、仮差押え、仮処分が規定されている(民法154条等)ところ、差押え等によって時効中断の効力が生じるのはいつか、また、時効中断の効力はいつまで続くのかという問題があります。

 まず、差押え等によって時効中断の効力が生じるのはいつかという問題に関する裁判例を見ると、動産執行に関し、最高裁昭和59年4月24日判決は、債権者が執行官に対し執行の申立をした時としていますが、金銭執行に関し、最高裁昭和43年3月29日判決は、債務名義に表示の住所に執行債務者が所在しないために執行が不能に終わった場合には、同金銭債権について時効中断の効力は生じないとしています。

 次に、時効中断の効力はいつまで続くのかという問題に関する裁判例を見ると、仮差押えに関し、最高裁平成10年11月24日判決は、仮差押えの執行保全の効力が存続する間は継続し、被保全債権につき本案の勝訴判決が確定しても仮差押えによる時効中断の効力が消滅するものではないとしています。また、最高裁平成6年6月21日判決は、仮差押解放金の供託により仮差押執行が取り消されても時効中断の効力は継続するとしています。

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土地区画整理法上の仮換地の取得時効

2020-07-20

 土地の所有権は取得時効の対象となるところ、その土地が土地区画整理法上の仮換地であるような場合、取得時効の成否はどうなるのかという問題があります。

 この問題に関する裁判例を見ると、最高裁昭和45年12月18日判決が、同法による仮換地の指定の後にこれを従前の土地所有の意思をもって占有をし始めたという事案に関し、換地処分が施行され同法所定の公告がなされる日までに要件を満たしたときは、時効によりその従前の土地の所有権を取得するとしています。

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