Archive for the ‘交通事故’ Category

交通事故などの不法行為による年金受給者の死亡

2017-10-16

交通事故などの不法行為によって年金受給者が死亡した場合にその相続人が加害者に対し、この年金受給権の喪失を逸失利益として損害賠償請求できるかという問題があります。そこで、この問題に関する裁判例をみると、

① 地方公務員等共済組合法に基づく退職年金について、最高裁平成5年3月24日判決が「相続人は、加害者に対し、退職年金の受給者が生存していればその平均余命期間に受給することができた退職年金の現在額を同人の損害として、その賠償を求めることができる」と判示しています。

② 普通恩給および国民年金法に基づく国民年金(老齢年金)について最高裁平成5年9月21日判決が「普通恩給は、当該恩給権者に対して損失補償ないし生活保障を与えることを目的とするものであるとともに、その者の収入に生計を依存している家族に対する関係においても、同一の機能を営むものと認められるから」「普通恩給は、その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得する」「国民年金(老齢年金)もまた、その目的・趣旨は右と同様のものと解されるから」「国民年金は、その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得し、加害者に対してその賠償を請求することができる」と判示しています。

③ 国民年金法に基づく障害基礎年金と厚生年金保険法に基づく障害厚生年金について最高裁平成11年10月22日判決が「原則として、保険料を納付している被保険者が所定の障害等級に該当する障害の状態になったときに支給されるものであって・・・程度の差はあるものの、いずれも保険料が拠出されたことに基づく給付としての性格を有している。したがって」「その相続人は、加害者に対し」「障害年金の現在額を同人の損害として、その賠償を求めることができる」と判示しています。

④ 厚生年金保険法に基づく遺族年金について最高裁平成12年11月14日判決が「遺族厚生年金は、受給権者自身の生存中その生活を安定させる必要を考慮して支給するものであるから」「逸失利益には当たらない」と判示しています。

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交通事故によるペットの死傷と慰謝料・治療費の賠償

2017-10-10

交通事故によって人が死傷した場合、財産的損害の賠償や精神的損害についての慰謝料が問題となりますが、飼っているペットが死傷した場合にも治療費の賠償や精神的損害についての慰謝料が問題となります。

そこで、この問題に関する裁判例を見ると、追突事故により飼い犬が負傷して後肢麻痺、排尿障害が残った事案につき、名古屋高裁平成20年9月30日判決が「愛玩動物のうち家族の一員であるかのように遇されているものが不法行為によって負傷した場合の治療費等については、生命を持つ動物の性質上、必ずしも当該動物の時価相当額に限られるとするべきではなく、当面の治療や、その生命の確保、維持に必要不可欠なものについては、時価相当額を念頭に置いた上で、社会通念上、相当と認められる限度において、不法行為との間に因果関係のある損害に当たる」として治療費と慰謝料の請求を認めています。

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交通事故の後発的事情(被害者の自殺、病死)による死亡

2017-10-02

交通事故による後遺障害が残った被害者が後発的事情によって死亡した場合にこの後発的事情が損害の算定においてどのように評価されるかが問題となることがあります。

この点、後遺障害が残った被害者が自殺した場合について、最高裁平成5年9月9日判決は、「本件事故の態様が・・・に大きな精神的衝撃を与え、しかもその衝撃が長い年月にわたって残るようなものであったこと、その後の補償交渉が円滑に進行しなかったことなどが原因となって、・・・が災害神経症状態に陥り、更にその状態から抜け出せないままうつ病になり、その改善をみないまま自殺に至ったこと、自らに責任のない事故で傷害を受けた場合には災害神経症状態を経てうつ病に発展しやすく、うつ病にり患した者の自殺率は全人口の自殺率と比較してはるかに高いなど原審の適法に確定した事実関係を総合すると、本件事故と・・・の自殺との間に相当因果関係があるとした上、自殺には同人の心因的要因も寄与しているとして相応の減額をして死亡による損害額を定めた原審の判断は、正当として是認することができ」ると判示しています。

一方、後遺障害が残った被害者が病死した場合について、最高裁平成8年4月25日判決は、「交通事故の被害者が事故に起因する傷害のために身体的機能の一部を喪失し、労働能力の一部を喪失した場合において、いわゆる逸失利益の算定に当たっては、その後に被害者が死亡したとしても、右交通事故の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り、右死亡の事実は就労可能期間の認定上考慮すべきものではない」と判示しています。

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交通事故と医療過誤が競合する場合の共同不法行為

2017-09-19

複数の者が加害者として交通事故に関与する場合、共同不法行為(民法719条)の成否が問題となるところ、このような類型のひとつとして交通事故と医療過誤が競合する場合があります。

そこで、この問題に関す裁判例を見ると、最高裁平成13年3月13日判決が交通事故により放置すれば死亡するに至る傷害を負ったものの事故後搬入された病院において適切な治療が施されていれば高度の蓋然性をもって被害者を救命することができたと認定された事案について、「本件交通事故と本件医療事故とのいずれもが、・・・死亡という不可分の1個の結果を招来し、この結果について相当因果関係を有する関係にある。したがって、本件交通事故における運転行為と本件医療事故における医療行為とは民法719条所定の共同不法行為に当たるから、各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯して責任を負うべきものである。本件のようにそれぞれ独立して成立する複数の不法行為が順次競合した共同不法行為においても別異に解する理由はないから、被害者との関係においては、各不法行為者の結果発生に対する寄与の割合をもって被害者の被った損害の額を案分し、各不法行為者において責任を負うべき損害額を限定することは許されないと解するのが相当である。」と判示して共同不法行為の成立を認めた上、結果の発生に対する寄与度による責任の限定を否定しています。

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車の貸主やレンタカー業者の運行供用者としての責任

2017-09-04

自動車による人身事故について自動車損害賠償保障法(自賠法)3条が「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)の損害賠償責任を定めているところ、有償ないし無償で自動車を貸し出した第三者が事故を起こした場合における所有者の運行供用者としての責任が問題となります。

1 レンタカー業者から自動車をレンタルした借受人が事故を起こした場合についての裁判例を見ると、約定の返還時間の約55時間後に借受人が事故を起こした場合につき和歌山地裁平成6年12月20日判決が業者の運行供用者としての責任を認め、また、約定の返還時間の6時間余り後に借受人の同居人が事故を起こした場合につき神戸地裁平成10年3月19日判決が業者の運行供用者としての責任を認めていますが、返還予定日から25日経過した後に借受人から無断転貸を受けた者が事故を起こした場合につき大阪地裁昭和62年5月29日判決が業者の運行供用者としての責任を否定しています。

2 所有者から自動車を無償で借り受けた借受人が事故を起こした場合についての裁判例を見ると、自動車販売会社が販売した中古車の整備を終えるまでの間に提供した代車で顧客の被用者が事故を起こした場合につき最高裁昭和46年11月16日判決が自動車販売会社の運行供用者としての責任を認め、また、父親が自動車を貸与した息子からさらに貸与を受けた者が事故を起こした場合につき最高裁昭和53年8月29日判決が父親の運行供用者としての責任を認めていますが、2週間後に返還するとの約束で貸与した友人が返還せず約1か月後に事故を起こした場合につき最高裁平成9年11月27日判決が貸与者の運行供用者としての責任を否定しています。

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交通事故による受傷と高額診療・過剰診療

2017-05-22

交通事故の被害者が医療機関に対して支払った治療費は損害賠償の対象になりますが、その治療費が医学的必要性の無い過剰診療や報酬額が不相当に高額である高額診療における治療費にあたるのでないかが問題となることがあります。

この点、高額診療にあたるかどうかの判断においては、健康保険診療の診療報酬基準が判断の目安となるとされているようです。

また、過剰診療に関しては、柔道整復・針灸・あん摩・マッサージ・指圧などの東洋医学による施術が過剰診療にあたるかどうかが問題となりますが、過剰診療とならないためには施術の必要性や有効性等が必要であるとされています。

なお、高額診療・過剰診療かどうかの判断は必ずしも容易ではないところ、福井地裁武生支部昭和52年3月25日判決が過剰診療の治療費の賠償について、「仮に右治療が過剰診療、過誤診療であったとしても、同原告においてこれを認識してあるいは少なくとも認識しなかったことに過失があって右診療を受けたというような特別な事情がない限り、右診療は、本件事故と因果関係のあるものというべき」と判示しています。

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交通事故における被害車両の修理費・買替え費用

2017-05-08

交通事故によって損傷した車両について修理が相当な場合には適正な修理費相当額が損害として認められます。また、損傷した車両が修理不能と認められる状態になった場合には最高裁昭和49年4月15日判決が「交通事故により自動車が損傷を被った場合において、被害車輛の所有者が、これを売却し、事故当時におけるその価格と売却代金との差額を事故と相当因果関係のある損害として加害者に対し請求しうるのは、被害車輛が事故によって、物理的又は経済的に修理不能と認められる状態になったときのほか、被害車輛の所有者においてその買替えをすることが社会通念上相当と認められるときをも含むものと解すべきであるが、被害車輛を買替えたことを社会通念上相当と認めうるがためには、フレーム等車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められることを要する」と判示していることから、被害車輌が①物理的・経済的に修理不能と認められる状態になったときと、②車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められ、買替えをすることが社会通念上相当と認められるときには、当該被害車両の事故当時における取引価格と売却代金との差額が損害として認められます。

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交通事故における慰謝料の算定基準

2017-04-24

不法行為によって被った損害の賠償としては財産的損害に対する賠償の他に精神的損害(精神的苦痛)に対する賠償としての慰謝料がありますが、算定基準がないと不公平が生じるおそれがあり、また、予測が困難になることから、交通事故においては慰謝料の算定基準が作成され利用されています。

①裁判基準
裁判基準としての性格を有するものとして公益財団法人日弁連交通事故相談センター編の「交通事故損害額算定基準」(いわゆる青い本)と公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編の「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(いわゆる赤い本)があります。

②自賠責保険基準
自賠責保険では「自動車損害賠償保険の保険金等及自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」において、慰謝料の額の算出方法が定められています。

③任意保険基準
保険会社ごとに支払基準が定められています。なお、保険会社が示談のために提示する額は「青い本」「赤い本」に記載されている額より低いことが多いようです。

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自賠責の支払基準と裁判所の判断

2017-03-27

自動車損害賠償保障法(自賠法)16条の3第1項は、「保険会社は保険金等を支払うときは、死亡、後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払基準(以下「支払基準」という。)に従ってこれを支払わなければならない」と規定しているところ、この支払基準が裁判所を拘束するかどうかという問題があります。

この問題に関する裁判例を見ると、最高裁平成18年3月30日判決が「法16条の3第1項の規定内容からすると、同項が、保険会社に、支払基準に従って保険金等を支払うことを義務付けた規定であることは明らかであって、支払基準が保険会社以外の者も拘束する旨を規定したものと解することはできない。

支払基準は、保険会社が訴訟外で保険金等を支払う場合の支払額と訴訟で支払を命じられる額が異なることがあるが、保険会社が訴訟外で保険金等を支払う場合には、公平かつ迅速な保険金等の支払の確保という見地から、保険会社に対して支払基準に従って支払うことを義務付けることに合理性があるのに対し、訴訟においては、当事者の主張立証に基づく個別的な事案ごとの結果の妥当性が尊重されるべきであるから、上記のように額に違いがあるとしても、そのことが不合理であるとはいえない」と判示して、自賠責の支払基準は裁判所を拘束しないとし、また、最高裁平成24年10月11日判決も、上記最高裁平成18年3月30日判決を引用して「16条1項に基づいて被害者が保険会社に対して損害賠償額の支払いを請求する訴訟において、裁判所は、法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく損害賠償額を算定して支払を命じることができる」と判示しています。

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飲酒を共にした者の交通事故についての不法行為責任

2017-03-21

飲酒運転による交通事故においてその飲酒を共にした者がいる場合、運転者に加えてその飲酒を共にした者の不法行為責任も問題となります。

1) 飲酒を共にしたが車に同乗しなかった者の責任についての裁判例を見ると、責任を否定するもの(東京地裁平成18年2月22日判決)と責任を肯定するもの(東京地裁平成18年7月28日判決)があります。

2) 飲酒を共にした後に車に同乗した者の責任についての裁判例を見ると、責任を否定するもの(京都地裁昭和61年1月30日判決)もありますが、責任を肯定するものが多く(最高裁昭和43年4月26日判決、福岡高裁昭和54年10月25日判決、東京地裁八王子支部平成15年5月8日判決、山形地裁米沢支部)平成18年11月24日判決、仙台地裁平成19年10月31日判決など)、近時の裁判例を見ても、東京地裁平成24年3月27日判決は、運転者が正常な運転をすることが困難であることを認識していたにもかかわらずその運転を了解して同乗した者につきその運転を制止すべき注意義務に違反して危険運転を幇助したとして民法719条2項の責任を肯定しています。

3) 飲酒を共にした後に車に同乗したが事故時には同乗していなかった者の責任についての裁判例を見ると、福島地裁昭和51年2月6日判決は、その責任を肯定しています。

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