2月, 2017年
遺言書の検認と執行
遺言書を保管している人や遺言書を発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出してその検認を請求しなければならない(民法1004条)とされています。
検認は、遺言書の現状を確定してその偽造、変造を防止し、その保存を確実にすることを目的としており、公正証書方式以外の方式によって作成された遺言書はすべて検認が必要となります。そして、遺言書の検認を請求する義務を負う相続人が遺言書を隠匿すると相続欠格となり(民法891条5号)、受遺者が遺言書を隠匿すると受遺欠格となります(民法965条、891条5号)。
ただ、遺言書の検認を経ないからといって遺言の効力が左右されるものではないとされており(大審院昭和3年2月2日判決)、検認を経ないで行われた遺言の執行も有効ですが、登記実務では、検認未了の自筆遺言書を相続証明書として添付した相続登記申請書は却下される(平成7年10月18日、法務省民事局第三課長通知)ようです。
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祭祀の主宰者の指定
相続人は、被相続人に属した一切の権利義務を相続によって承継します(民法896条)が、系譜、祭具、墳墓などの祭祀財産は相続の対象からはずされて祭祀の主宰者が承継することになっています(民法897条)。
祭祀の主宰者は、
- ①被相続人による指定
②指定がないときはその地方の慣習
③指定がなく慣習も明らかではないときは家庭裁判所による指定
によって決まります。
そして、被相続人による指定の方法は生前行為でも遺言でもよく、また、書面。口頭のいかんを問わず、指定の意思が外部から推認されればよいとされているようです。
そこで、祭祀の主宰者の指定が問題となった裁判例を見ると、被相続人が生前にその全財産を贈与して家業を継がせた者を祭祀の主宰者と認定した名古屋高裁昭和59年4月19日判決や被相続人はその所有する墓碑に建立者として祭祀を承継させる者の氏名を刻んでその意思を明らかにしているとして墓碑に氏名を刻まれた者を祭祀の承継者とした長崎家裁諫早出張所昭和62年8月31日審判などがあります。
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会計監査人の責任
会社法2条6号所定の大会社は、会計監査人を置かなければならない(会社法328条)とされています。また、大会社以外の株式会社は、定款で会計監査人を設置することが出来る(会社法326条2項)とされています。
そして、会社法では、会計監査人は、役員等に含まれる(会社法423条1項)とされ、会社に対する責任(会社法423条)と第三者に対する責任(会社法429条)を負うとされています。
かつては会計監査人の損害賠償責任が認められるケースは少なかったようですが、近時の裁判例を見ると、企業による不祥事の影響のためか、大阪地裁平成20年4月18日判決は、会計監査人の会社に対する責任を認めており、また、東京地裁平成21年5月21日判決は、会計監査人の投資家に対する責任を認めています。
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2017年2月8日 公布された法令に関するお知らせ
〇地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第1号)
過去に公布された法令に関するお知らせ 取扱分野>>立法の動向>>会社法等
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賃金の支払いにおける全額払の原則と相殺
賃金は労働者の生活を支えるものであることから、労働基準法(労基法)は、賃金が労働者に確実に渡るようにするため賃金の支払いに関するルールを定めており、その賃金の支払いに関するルールのひとつとして全額払の原則(労基法24条1項)があります。
全額払の原則とは、使用者は、法令が認めた例外(給与所得税の源泉徴収や社会保険料の控除)と労使協定による例外を除き、賃金の一部を控除して支払うことは許されずその全額を支払わなければならないというルールです。
そして、この原則との関係で、使用者が労働者に対して有する債権を自働債権とし賃金債権を受働債権として相殺することの可否が問題となるところ、通説・判例(最高裁昭和36年5月31日判決)は、使用者による相殺を24条違反として否定しています。
なお、使用者が労働者との合意によって賃金と相殺する相殺契約について、判例は、全額払の原則は労働者が自由な意思によって同意した場合にまで相殺を禁止する趣旨ではないとしてこれを適法としています(最高裁平成2年11月26日判決)。
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