6月, 2022年

労働契約法16条が定める解雇権の濫用法理

2022-06-27

   労働契約法16条は,「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする」と規定しています。

   この規定は,裁判例の蓄積によって確立した解除権濫用法理を明文化したものです。この法理に関する裁判例を見ると,最高裁昭和50年4月25日判決が,「使用者の解雇権の行使も,それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には,権利の濫用として無効になる」としています。また,最高裁昭和52年1月31日判決が,労働者に解雇事由がある場合においても,「当該具体的な事情のもとにおいて,解雇に処することが著しく不合理であり,社会通念上相当なものとして是認することができないときには,当該解雇の意思表示は,解雇権の濫用として無効になる」としています。


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懲役と禁錮を一元化する拘禁刑の創設

2022-06-20

   令和4年6月13日に改正刑法が成立しました。この改正法では,刑務作業を義務づけている懲役刑とこれを義務化していない禁錮刑を廃止して両刑を一元化する「拘禁刑」を創設し,「改善更生を図るため,必要な作業を行わせ,必要な指導を行うことができる」と規定しています。

   令和4年6月14日付読売新聞はこの刑法の改正につき,「拘禁刑 懲役と禁錮一元化」というタイトルでその「導入の背景には再犯状況の悪化と受刑者の高齢化がある。導入後は薬物依存や性犯罪などの矯正プログラムに時間を割いたり,出所後を見据え,高齢者に体力などを向上させるリハビリを重点的に施したりできる。適用対象は施行後の犯罪で,施行前に懲役・禁錮の判決が確定した受刑者などには両刑が執行される」と報じています。


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労働契約の内容となる就業規則の合理性

2022-06-13

   労働者と使用者との間の労働契約について労働契約法7条は、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によるものと規定しています。

   この就業規則の効力について、最高裁昭和61年3月13日判決は、就業規則が労働者に対し一定の事項につき使用者の業務命令に服すべき旨を定めているときは、そのような就業規則の規定内容が合理的なものである限りにおいて当該具体的労働契約の内容をなしているものということができるとしています。

   また、会社の都合による特別な場合のほかは満65歳に達した日以後における最初の雇用契約期間の満了の日が到来したときは、それ以後雇用契約を更新しないと定める就業規則の合理性について、最高裁平成30年9月14日判決は、期間雇用社員について労働契約法にいう合理的な労働条件を定めるものであるとしています。


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時間外・休日・深夜労働についての割増賃金の支払い

2022-06-06

   使用者は、時間外・休日・深夜労働について割増賃金を支払わなければならない(労働基準法37条1項4号)とされています。そして、この割増賃金は、時間外労働の場合は通常の労働時間又は労働日の賃金の25%以上、休日労働の場合は35%以上(同法同条1項2項)、深夜労働の場合は通常の労働時間の賃金の25%以上(同法同条4項)とされています。

   この割増賃金の支払いと通常の労働時間の賃金に支払いについて、裁判例は、支払いが通常の労働時間の賃金と割増賃金部分との判別が不可能な場合には割増賃金が支払われたとはいえないとしています(最高裁平成6年6月13日判決、最高裁平成24年3月8日判決、最高裁平成29年7月7日判決等)。


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