9月, 2022年

有期労働契約と無期労働契約における労働者の辞職の要件の違い

2022-09-26

①  有期労働契約の場合

   労働者も期間の定めに拘束されることから、有期労働契約を締結している労働者が辞職しようとする場合には「やむを得ない事由」が必要となります(民法628条)。ただ、1年を超える期間の定めのある有期労働契約を締結している労働者は、その労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては自由に辞職することができる(労基附則137条)とされています。


②  無期労働契約の場合

   この場合には、2週間前に予告すればいつでも労働者は辞職することができる(民法627条1項)とされています。


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期間の定めのある労働契約における期間途中の解雇

2022-09-19

   使用者は,期間の定めのある労働契約において,やむを得ない事由がある場合でなければ労働者を解雇することができない(民法628条,労働契約法17条1項)とされていることから,やむを得ない事由が認められて期間途中の解雇ができるかどうかが問題となることがあります。

   この期間途中の解雇に関する裁判例を見ると,福岡高裁平成14年9月18日決定は,期間の定めのある労働契約は,民法628条によりやむを得ない事由があるときに限り期間内解除ができるにとどまり,就業規則の解雇事由の解釈に当たっても雇用期間の中途でなされなければならないほどのやむを得ない事由の発生が必要であるとしています。また,宇都宮地裁栃木支部平成21年4月28日決定は,本条1項の「やむを得ない事由」は期間の定めのない労働契約の解雇の有効要件である「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合」よりも厳格なものであるとしています。


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使用者の安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効

2022-09-12

   使用者は、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働をすることができるよう必要な配慮をするとされている(労働契約法5条)ところ、この安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効という問題があります。

   この損害賠償請求権の消滅時効に関する裁判例を見ると、時効期間について、最高裁昭和50年2月25日判決は、民法167条1項により10年と解されるとしています。

   また、その起算点について、最高裁平成6年2月22日判決は、安全配慮義務違反によりじん肺に罹患したことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効は、最終の行政上の決定を受けた時から進行するとし、最高裁平成16年4月27日判決は、じん肺によって死亡した場合の損害については、死亡の時から進行するとしています。


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労働契約の内容の合意による変更

2022-09-05

   労働者及び使用者は,その合意により,労働契約の内容である労働条件を変更することができます(労働契約法8条)。

   この労働条件変更の合意に関し,大阪高裁平成3年12月25日判決は,使用者が一方的に賃金を減額したのに対して労働者が不満ながら異議を述べずにこれを受領してきたからといってこれをもって賃金の減額に労働者が黙示の承諾をしたとはいえないとしています。また,東京高裁平成20年3月25日判決は,期間の定めのない雇用契約から1年の有期契約への変更,賃金の減額,退職金制度の廃止,生理休暇・特別休暇の無給化等多岐にわたる労働条件の変更につき,数分の社長説明及び個別面談での口頭説明によってその全体及び詳細を理解し記憶に留めることは到底不可能であり,使用者による労働条件の変更合意の申込みの内容の特定が不十分であるから口頭による労働条件の変更の合意が成立したと認めることはできないとしています。


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