3月, 2025年
生存配偶者の居住権の保障
2018年における相続法の改正により,生存配偶者に配偶者短期居住権と配偶者居住権という新しい居住権が規定されました。
配偶者居住権について,民法1028条1項は,「被相続人の配偶者」「は,被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において,次の各号のいずれかに該当するときは,その居住していた建物」「の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する」とし,同法1030条は,その存続期間について,「配偶者居住権の存続期間は,配偶者の終身の間とする。ただし,遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき,又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは,その定めるところによる」と規定しています。
また,同法1037条1項は,配偶者短期居住権について,「配偶者は,被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には,次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間,その居住していた建物」「の所有権を相続又は遺贈により取得した者」「に対し,居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては,その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有するとし,その存続期間について,「一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日,二 前号に掲げる場合以外の場合 第三項の申入れの日から六箇月を経過する日」と規定しています。
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ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
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特別受益における具体的相続分
民法903条,904条は,共同相続人のなかに,被相続人から遺贈を受け,または婚姻,養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは,そのような特別受益の持戻しを行うとして相続開始の時に被相続人が有した財産の価格に特別受益財産の価格を加えたものを相続財産とみなし,このみなし相続財産について法定・指定相続分の割合によって算定した相続分から当該遺贈または贈与の価格を控除した残額をその相続人の相続分(具体的相続分)としているところ,この具体的相続分の法的性質という問題があります。
この法的性質との関係で,具体的相続分の価格または割合の確認の利益が問題となった最高裁平成12年2月24日判決は,「具体的相続分は,このように遺産分割手続における分配の前提となるべき計算上の価額又はその価額の遺産の総額に対する割合を意味するものであって,それ自体を実体法上の権利関係であるということはできず,遺産分割審判事件における遺産の分割や遺留分減殺請求に関する訴訟事件における遺留分の確定等のための前提問題として審理判断される事項であり,右のような事件を離れて,これのみを別個独立に判決によって確認することが紛争の直接かつ抜本的解決のため適切かつ必要であるということはできない」として「共同相続人間において具体的相続分についてその価額又は割合の確認を求める訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法である」と判示しています。
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