9月, 2025年
不動産の買戻しと譲渡担保の区別
担保のために財産を売却した上で買い戻すということが行われることがありますが,担保のために財産の所有権を移転するものとして譲渡担保が存在することからその財産の移転がそのどちらにあたるのかが問題となることがあります。
買戻特約付の売買契約の形式をとりながら目的不動産の占有移転を伴わない契約が問題となった最高裁平成18年2月7日判決は,「真正な買戻特約付売買契約においては,売主は,買戻しの期間内に買主が支払った代金及び契約の費用を返還することができなければ,目的不動産を取り戻すことができなくなり,目的不動産の価額(目的不動産を適正に評価した金額)が買主が支払った代金及び契約の費用を上回る場合も,買主は,譲渡担保契約であれば認められる清算金の支払義務」「を負わない(民法579条前段,580条,583条1項)。このような効果は,当該契約が債権担保の目的を有する場合には認めることができず,買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産を何らかの債権の担保とする目的で締結された契約は,譲渡担保契約と解するのが相当である。そして,真正な買戻特約付売買契約であれば,売主から買主への目的不動産の占有の移転を伴うのが通常であり,民法も,これを前提に,売主が売買契約を解除した場合,当事者が別段の意思を表示しなかったときは,不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなしている(579条後段)。そうすると,買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は 譲渡担保契約と解するのが相当である」と判示して占有が移転しない場合は譲渡担保であるとしています。
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