10月, 2025年
医療関係訴訟における相当程度の可能性の存在
不法行為等による損害賠償責任が認められるためには結果との間の因果関係が必要となるところ,医療関係の訴訟では相当程度の可能性の存在という問題があります。
この相当程度の可能性の存在について,国家賠償請求が問題となった最高裁平成17年12月8日判決は,「勾留されている患者の診療に当たった拘置所の職員である医師が,過失により患者を適時に外部の適切な医療機関へ転送すべき義務を怠った場合において,適時に適切な医療機関への転送が行われ,同病院において適切な医療行為を受けていたならば,患者に重大な後遺症が残らなかった相当程度の可能性の存在が証明されるときは,国は,患者が上記可能性を侵害されたことによって被った損害について国家賠償責任を負うものと解するのが相当である」とした上で「上告人について,速やかに外部の医療機関への転送が行われ,転送先の医療機関において医療行為を受けていたならば,上告人に重大な後遺症が残らなかった相当程度の可能性の存在が証明されたということはできない。そして,本件においては,上告人に重大な後遺症が残らなかった相当程度の可能性の存在が証明されたということができない以上,東京拘置所の職員である医師が上告人を外部の医療機関に転送すべき義務を怠ったことを理由とする国家賠償請求は,理由がない」と判示して相当程度の可能性の存在が証明されていないとして国家賠償請求を否定しています。
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