遺留分の侵害とその額の算定
被相続人による贈与や遺贈によって奪われることのない相続人に留保される相続財産についての一定の割合を遺留分と言います。
兄弟姉妹以外の相続人は、 ① 直系尊属だけが相続人となる場合は3分の1、 ② それ以外の場合は2分の1が遺留分とされています(民法1028条)。
この遺留分は、相続の開始した時に被相続人が有していた財産の価額に贈与した財産の価額を加えた額から債務の額を控除した額に基づいて算定されます(同法1029条1項)。
ここで算入される贈与は、相続が開始する前1年間にされたものですが、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは1年前に行われたものも算入されます(同法1030条)。
そして、遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で遺贈及び贈与の減殺を請求することができます(同法1031条)。
遺留分権利者及びその承継人の取得する額が遺留分の額に達しないときにその不足額が侵害額となります。この遺留分の侵害額の算定に関する裁判例を見ると、相続人のうちの一人に対し財産の全部を相続させる旨の遺言がなされた場合に関し、最高裁平成21年3月24日判決は、特段の事情のない限り、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されないとしています。
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