遺族年金の受給要件における男女差
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公務員・民間の労働者が公務・業務が原因で死亡した場合にその公務員等の収入で生計を維持していた遺族に支給されるのが遺族補償年金ですが、その受給要件につき、妻については年齢を問わないにもかかわらず夫については55歳以上でなければならないとする地方公務員災害補償法の規定が法の下の平等を定めた憲法14条に違反しないかどうかが問題となった裁判につき、平成27年6月19日、大阪高等裁判所は、「夫に比べ、妻は独力で生計を維持出来ない可能性が高く、男女差規定には合理性がある」として、違憲・無効とした一審の大阪地裁判決を取り消しました。
一審判決は、共働き世帯の数が専業主婦世帯の数を上回るなど社会情勢が変化していることを重視し、「性別で受給権を分けるのは不合理で差別的取り扱い」として上記規定を違憲と判断しましたが、控訴審判決である大阪高裁判決は、遺族補償年金について「働き手を亡くした利益の喪失を補い、遺族の生活を保護するのが目的」とした上で、「今日の社会情勢でも、妻は年齢を問わず独力で生計を維持するのは困難で、男女の受給要件を区別した規定は憲法に違反しない」と判断しました。地方公務員災害補償法の他、国家公務員災害補償法、労働者災害補償保険法、厚生年金保険法においても遺族年金の受給要件につき男女差がもうけられています。
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