MBOと取締役の善管注意義務
2018-07-23
MBOとは、M&A(企業の合併・買収)の一形態で、平成19年9月4日に経済産業省が発表した「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」では、「現在の経営者が資金を出資し、事業の継続を前提として対象会社の株式を購入すること」とされていますが、取締役である経営者は善管注意義務を負うことから、MBOと取締役としての善管注意義務との関係が問題となります。
この点に関し、東京地裁平成23年2月18日判決は、取締役は、善管注意義務の内容として「株主の共同利益に配慮する義務」を負うとしています。また、神戸地裁平成26年10月16日判決は、取締役は、MBOの実施にあたり、善管注意義務の一環として「企業価値の向上に資する内容のMBOを立案、計画した上で、その実現に向け、尽力すべき義務」を負うとし、これに由来するものとして「自己または第三者の利益を図るために、その職務上の地位を利用してMBOを計画、実行したり、あるいは著しく合理性に欠けるMBOを実行しない義務」を負うとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
←「このたびの西日本を中心とした大雨により被害を受けられた皆さまに心からお見舞い申し上げます。」前の記事へ 次の記事へ「労働組合に対する便宜供与としてのチェック・オフ」→