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権利変換手法を使う都市計画事業(市街地再開発など)

2018-02-13

都市計画事業には土地上に都市計画施設を整備する都市計画施設整備事業と市街地の整備をする市街地開発事業があります。そして、市街地開発事業には収用という手法を使うものと公用権利変換という手法を使うものがあり、公用権利変換は、公用換地と狭義の公用権利変換とにさらに分けることができるところ、公用換地という手法を使う事業として土地区画整理事業(土地区画整理法)と住宅街区整備事業(大都市における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法)、狭義の公用権利変換という手法を使う事業として第一種市街地再開発事業(都市再開発法)、換地と収用を併用する事業として新都市基盤整備事業(新都市基盤整備法)があります(なお、第二種市街地再開発事業では任意買収と収用という手法が使われます)。

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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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虚偽の嫡出子・認知の届出と養子縁組

2018-02-05

夫婦が自分たちの子でない者を嫡出子として届け出たり、父が自分の子でない者を認知して届け出た場合、そのような嫡出子届・認知届は虚偽のものとして無効ですが、事実上親子として生活している場合、そのような届出を養子縁組の届出とみなすことができないかという問題があります。
 この問題に関する裁判例を見ると、最高裁昭和25年12月28日判決、最高裁昭和49年12月23日判決、最高裁昭和50年4月8日判決は、そのような届出について養子縁組届とみなすことを認めていませんが、両親の相続をめぐる確執から、実子がその両親及び実子と長年にわたって子として生活してきた者に対して提起した親子関係不存在確認の訴えについて最高裁平成18年7月7日判決は、「実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすものといえるときには、当該確認請求は権利の濫用に当たり許されない」と判示しています。

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離婚届等と不受理申出制度

2018-01-29

夫婦の一方が相手方の意に反して離婚届を提出しようとしているときにその届出を受理しないよう申し出るものとして不受理申出制度(戸籍法27条の2第3項)があります。
この申出がなされると、市町村長は、出頭者が本人であることを確認できない場合にはその届出を受理することが出来ません(同条4項)。そして、この場合、市町村長は、不受理申出者に対し、遅滞なく届出があったことを通知しなければならない(同条5項)とされています。
なお、この効力は、本人が死亡するか不受理申出の取下書が提出されるまで継続します。

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借地・借家に関する特約と消費者契約法

2018-01-22

借地・借家契約における特約については借地借家法上の強行法規や民法上の一般原則(公序良俗、信義則、権利濫用)との関係の他、消費者契約法との関係が問題となります。
 この点に関する裁判例を見ると、建物の賃貸借契約における自然損耗等についての原状回復義務を賃借人に負担させる旨の特約を同法10条により無効とした大阪高裁平成16年12月17日判決、更新料を支払うとの約定を同法10条より無効とした大阪高裁平成21年8月27日判決、更新料特約及び敷引特約をいずれも同法10条により無効とした京都地裁平成21年7月23日判決などがありましたが、最高裁平成23年3月24日判決が敷引特約について敷引金の額が高額に過ぎると評価されない限り同法10条に該当せず有効であるとし、また、最高裁平成23年7月15日判決が更新料支払特約について更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、同法10条に該当せず有効であるとしています。

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借家契約における迷惑行為防止特約

2018-01-15

マンションやアパートなどの賃貸借契約において、賃借人とその他当該建物を使用する者による近隣の居住者等に対し迷惑をかける行為を禁止する旨の特約が定められ、このような特約の違反が契約解除の原因として問題となることがあります。
このような特約に基づく契約の解除が問題となった裁判例を見ると、賃借人がショッピングセンターの秩序を乱したりすることを特約で禁止している場合に賃借人が他の賃借人と争ったことから賃貸人が賃借人に注意をしたところ、賃借人が賃貸人に対し暴言を吐いて暴行を加える等の事情があるときに賃貸人は契約を無催告で解除できるとした最高裁昭和50年2月20日判決、賃借人が共同生活上の秩序を乱し近隣の迷惑となる行為をしたことを理由とする契約解除を認めた東京地裁平成10年5月12日判決などがあります。

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建物賃貸人・賃借人の地位の移転

2018-01-08

建物の所有者が賃貸人である場合、建物の所有権が移転するとこれに伴って賃貸人の地位も新所有者に承継されるのが原則ですが、旧賃貸人に差し入れられた敷金は未払賃料に充当され、その残額が新賃貸人に承継されます(最高裁昭和44年7月17日判決等)。そして、この建物所有権の移転及び賃貸人の地位の移転について、当事者間において特別の定めがない限り、賃借人の承諾は不要と解されています。
これに対し、賃借人の地位の移転については、これを可能とする特別の定めがない限り、賃貸人の承諾が必要と解されており、賃貸人の承諾を得ずになされた賃借権の譲渡は賃貸人に対して効力を生ぜず、また、契約解除の理由となります。なお、賃貸人は、無断で譲り受けた者に対し、契約を解除しなくても建物の明渡を請求することができます(最高裁昭和26年5月31日判決)。

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借地契約における賃貸人による契約の更新拒絶

2017-12-25

借地契約において、賃貸人が期間満了時に借地契約を終了させるためには借地権者からの更新請求や土地の使用の継続に対し遅滞なく異議を述べる必要があり、この異議がなければ借地契約は法定更新されることになります。
そこで、この異議が問題となった裁判例を見ると、契約の締結された時期が当事者双方に曖昧になっていた事案について、最高裁昭和39年10月16日判決は、期間満了から1年半を経過した後に述べた異議につき借地法6条の遅滞なく述べられた異議にあたるとし、また、期間が満了したと考えて異議を述べたが審理の結果賃貸人が主張するより後である訴訟が継続している間に期間が満了するに至った事案について、最高裁昭和56年3月13日判決は、その期間満了後の土地の使用継続についても異議が黙示的に述べられていると解することができ、別個に異議を述べる必要はないとしています。

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借家契約における賃借人の原状回復義務

2017-12-18

賃貸借が終了した場合、賃借人は、賃貸人に対し、原状回復義務を負うことになりますが、賃貸借は賃借物を使用収益することを目的とするものであるため、通常の使用収益により生ずる減耗(通常損耗)については原状回復義務を負わないと考えられているところ、賃借人が通常損耗についても原状回復義務を負うとする特約が認められるのかという問題があります。
この問題に関する裁判例を見ると、自然損耗等についての原状回復費用を賃借人に負担させる特約について、消費者契約法10条により無効とした大阪高裁平成16年12月17日判決がありますが、最高裁平成17年12月16日判決は「賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負うためには、賃借人が補修費を負担することになる上記損耗の範囲につき、賃貸借契約書自体に具体的に明記されているか、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識して、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」としてこのような特約が認められる要件を判示しています。

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交通事故などによる死亡と葬儀費・墓碑建立費・香典等

2017-12-11

交通事故などで被害者が死亡した場合にその葬儀関係費の処理が問題となります。まず、葬儀費に関する裁判例を見ると、合理的であると考えられる範囲で損害賠償請求としてその支払請求を認めています(最高裁昭和43年10月3日判決等)。

また、墓碑建立費や仏壇購入費についても損害賠償請求としてその支払請求を認めています(最高裁昭和44年2月28日判決等)。なお、香典については、死亡事故を契機とした収入であることから損害から控除されるように思われますが、裁判例を見ると、損害の填補という性質を有しないとして損害額からその額は控除されない(最高裁昭和43年10月3日判決)とされているようです。

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労災事故・不法行為の被害者になった外国人の逸失利益・慰謝料

2017-12-04

日本に滞在する外国人の増加に伴い外国人が労災事故や不法行為の被害者となるケースが多くなっているようですが、このような場合の逸失利益や慰謝料をどのように算定するのかということが問題になります。

まず、逸失利益が問題になった裁判例を見ると、最高裁平成9年1月28日判決が「一時的に我が国に滞在し将来出国が予定される外国人の逸失利益を算定するに当たっては、当該外国人がいつまで我が国に居住して就労するか、その後はどこの国に出国してどこに生活の本拠をおいて就労することになるか、などの点を証拠資料に基づき相当程度の蓋然性が認められる程度に予測し、将来のあり得べき収入状況を推定すべきことな」り、「そうすると、予測されうる我が国での就労可能期間ないし滞在可能期間内は我が国での収入等を基礎として逸失利益を算定するのが合理的ということができる」「我が国における就労可能期間は、来日目的、事故の時点における本人の意思、在留資格の有無、在留資格の内容、在留期間、在留期間更新の実績及び蓋然性、就労資格の有無、就労の態様等の事実的及び規範的な諸要素を考慮して、これを認定するのが相当である」と判示しています。

また、慰謝料に関する裁判例を見ると、東京高裁平成13年1月25日判決が「死亡慰謝料の算定にあたっては、日本人と外国人とを問わず、その支払いを受ける遺族の生活の基盤がどこにあり、支払われた慰謝料がいずれの国で消費されるのか、そして当該外国と日本との賃金水準、物価水準、生活水準等の経済的事情の相違を考慮せざるを得ない」と判示しましたが、その後、日本人と同様の取り扱いをした大阪地裁平成20年1月31日判決や横浜地裁平成20年1月24日判決などが出ています。

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