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相続財産と死亡退職金・生命保険金
死亡を原因として遺族などに支払われるものとして死亡退職金と生命保険金がありますが、これらが相続財産に含まれるかどうかが問題になります。
まず、死亡退職金に関する裁判例を見ると、退職金に関する規程において死亡退職金の第1順位の受給権者は配偶者で配偶者がいるときには子は支給を受けないとされていた事案に関する最高裁昭和55年11月27日判決は、「右規程は、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得する」として「右死亡退職金の受給権は相続財産に属さ」ないとしています。また、退職金支給規程の存在しない財団法人の理事長が死亡した事案に関する最高裁昭和62年3月3日判決は、「死亡退職金は」「相続という関係を離れて・・・配偶者であった被上告人個人に対して支給されたものである」とした原判決を維持しています。
次に、生命保険金に関する裁判例を見ると、保険契約者が特定の相続人を受取人として指定している場合について、大審院昭和11年5月13日判決、最高裁昭和40年2月2日判決、最高裁平成16年10月29日判決は、保険契約の効力として、保険金請求権は、相続人の固有財産に属し相続財産にはならないとし、また、保険契約者が受取人を単に相続人と指定している場合について、最高裁昭和48年6月29日判決は、特段の事情がない限り、相続人全員の固有財産となり、相続財産から離脱するとしています。
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賃金と家族手当・住宅手当、ストック・オプション
労働基準法(労基法)11条が「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定めていることから、労基法上の「賃金」は「労働の対償」ということになりますが、家族手当や住宅手当のようなものも一定の要件のもとで「賃金」にあたるとされており(東京地裁平成13年1月29日判決)、「労働の対償」という要件は緩やかに考えられているようです。
そこで、会社が取締役や従業員に対しあらかじめ設定された価格で自社株を購入する権利を付与するストック・オプションも労基法上の「賃金」にあたると考えられそうですが、東京地裁平成24年4月10日判決は、利益性を欠くとして、ストックオプションは、労基法上の「賃金」にあたらないとしています。
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会計帳簿の閲覧・謄写請求とその拒絶事由
株主による経営監督にとって会計帳簿・会計資料が重要な意味を持つことから、会社法は、株主に対し、会計帳簿等の閲覧・謄写請求権を認めていますが、この権利が濫用されると会社や他の株主に損害を与えるおそれがあるため、この権利を少数株主権とし(同法433条1項)、また、会社が閲覧・謄写請求を拒否出来る場合を規定しています(同法433条2項)。
そこで、この拒絶事由が問題となった裁判例を見ると、最高裁平成16年7月1日判決は、株式譲渡を制限している会社における株式等を売却するためにその時価を算定するという目的での閲覧謄写請求につき、特段の事情の存しない限り拒絶事由(商法旧293条の7)に該当しないと判示し、東京地裁平成19年9月20日判決は、「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業」を営む場合(会社法433条2項3号)につき、現に競争関係にある場合の他、近い将来において競争関係に立つ蓋然性が高い場合もこれに含まれると判示しています。
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労働条件の変更と労働契約法
労働契約の継続中に合併、分社化といった企業の再編や定年延長、人事成果主義の導入といった人事制度の変更、経営の悪化などが生じた場合に労働条件の変更が必要になることがあり、
その方法として、
①個々の労働者との合意により変更する方法
②労働組合と団体交渉をして労働協約を締結して変更する方法
③就業規則の変更があります。
そして、労働契約法は、合意原則(同法3条1項、8条)を基本として「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更するすることはできない」と規定(同法9条)した上で、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」と規定(同法10条)しています。
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2017年6月23日 公布された法令に関するお知らせ
〇農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律(平成29年法律 第70号)
〇国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律(平成29年法律 第71号)
〇刑法の一部を改正する法律(平成29年法律 第72号)
〇文化芸術振興基本法の一部を改正する法律(平成29年法律 第73号)
〇農業災害補償法の一部を改正する法律(平成29年法律 第74号)
〇青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第75号)
〇商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律(平成29年法律 第76号)
過去に公布された法令に関するお知らせ 取扱分野>>立法の動向>>会社法等
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2017年6月21日 公布された法令に関するお知らせ
〇公職選挙法の一部を改正する法律(平成29年法律 第66号)
〇組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成29年法律 第67号)
〇ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の一部を改正する法律(平成29年法律 第68号)
〇児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第69号)
過去に公布された法令に関するお知らせ 取扱分野>>立法の動向>>会社法等
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日本人と外国人の間に生まれた子供の国籍
子供の国籍の決め方については
①親の国籍を基準とする血統主義と
②親の国籍にかかわらずその国で生まれたものに国籍を与える生地(出生地)主義があります。
そして、日本の国籍法は、「子の出生の時に父又は母が日本国民であるときに」その間で生まれた子は日本の国籍を取得する(国籍法2条1号)と規定して、この点につき(父母両系)血統主義を採用しています。そこで、父と母のいずれかが日本人であれば、その間に生まれた子供は、日本の国籍を取得します。なお、日本人と外国人の間に生まれた子供が日本の国籍を取得する場合、外国人である配偶者の所属する国の法律によって二重国籍になることがありえます。
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2017年6月16日 公布された法令に関するお知らせ
〇衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第58号)
〇厚生労働省設置法の一部を改正する法律(平成29年法律 第59号)
〇畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律(平成29年法律 第60号)
〇廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第61号)
〇特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第62号)
〇天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律 第63号)
〇電子委任状の普及の促進に関する法律(平成29年法律 第64号)
〇住宅宿泊事業法(平成29年法律 第65号)
過去に公布された法令に関するお知らせ 取扱分野>>立法の動向>>会社法等
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撮影場所 – リバティ・ベル・センター(Philadelphia)
2017年6月14日 公布された法令に関するお知らせ
〇中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律(平成29年法律 第56号)
〇医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律 第57号)
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撮影場所 – リバティ・ベル・センター(Philadelphia)
配転命令権・出向命令権の濫用
企業においては人事異動として、労働者の職種・職務内容または勤務場所を同一企業内において変更する配置転換(配転)や出向先の指揮命令に服して労働することになる出向が行われることがありますが、その配転命令権・出向命令権は無条件に認められるものではなく権利の濫用と評価されないことが必要となります(労働契約法3条5項、14条)。
1 配転命令権
まず、①業務上の必要性を欠いた配転命令は、権利の濫用とされます。この点最高裁昭和61年7月14日判決は、業務上の必要性について「労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化」などがこれにあたると述べています。
また、②労働者に均衡を失するほどの不利益を及ぼすときも権利の濫用とされます。労働者の職種保持の利益・キャリア形成の利益を著しく害する配転命令は権利の濫用と評価されることがあります(東京地裁平成22年2月8日判決)。また、勤務地の変更に関して、上記最高裁判決は、「労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる」場合に権利の濫用となるとしています。
2 出向命令権
出向命令も配転命令と同様に権利の濫用と評価されないことが必要とされます。そして、この点に関し、労働契約法14条は、「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする」と規定しています。
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