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借地契約における賃貸人による契約の更新拒絶
借地契約において、賃貸人が期間満了時に借地契約を終了させるためには借地権者からの更新請求や土地の使用の継続に対し遅滞なく異議を述べる必要があり、この異議がなければ借地契約は法定更新されることになります。
そこで、この異議が問題となった裁判例を見ると、契約の締結された時期が当事者双方に曖昧になっていた事案について、最高裁昭和39年10月16日判決は、期間満了から1年半を経過した後に述べた異議につき借地法6条の遅滞なく述べられた異議にあたるとし、また、期間が満了したと考えて異議を述べたが審理の結果賃貸人が主張するより後である訴訟が継続している間に期間が満了するに至った事案について、最高裁昭和56年3月13日判決は、その期間満了後の土地の使用継続についても異議が黙示的に述べられていると解することができ、別個に異議を述べる必要はないとしています。
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借家契約における賃借人の原状回復義務
賃貸借が終了した場合、賃借人は、賃貸人に対し、原状回復義務を負うことになりますが、賃貸借は賃借物を使用収益することを目的とするものであるため、通常の使用収益により生ずる減耗(通常損耗)については原状回復義務を負わないと考えられているところ、賃借人が通常損耗についても原状回復義務を負うとする特約が認められるのかという問題があります。
この問題に関する裁判例を見ると、自然損耗等についての原状回復費用を賃借人に負担させる特約について、消費者契約法10条により無効とした大阪高裁平成16年12月17日判決がありますが、最高裁平成17年12月16日判決は「賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負うためには、賃借人が補修費を負担することになる上記損耗の範囲につき、賃貸借契約書自体に具体的に明記されているか、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識して、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」としてこのような特約が認められる要件を判示しています。
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交通事故などによる死亡と葬儀費・墓碑建立費・香典等
交通事故などで被害者が死亡した場合にその葬儀関係費の処理が問題となります。まず、葬儀費に関する裁判例を見ると、合理的であると考えられる範囲で損害賠償請求としてその支払請求を認めています(最高裁昭和43年10月3日判決等)。
また、墓碑建立費や仏壇購入費についても損害賠償請求としてその支払請求を認めています(最高裁昭和44年2月28日判決等)。なお、香典については、死亡事故を契機とした収入であることから損害から控除されるように思われますが、裁判例を見ると、損害の填補という性質を有しないとして損害額からその額は控除されない(最高裁昭和43年10月3日判決)とされているようです。
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労災事故・不法行為の被害者になった外国人の逸失利益・慰謝料
日本に滞在する外国人の増加に伴い外国人が労災事故や不法行為の被害者となるケースが多くなっているようですが、このような場合の逸失利益や慰謝料をどのように算定するのかということが問題になります。
まず、逸失利益が問題になった裁判例を見ると、最高裁平成9年1月28日判決が「一時的に我が国に滞在し将来出国が予定される外国人の逸失利益を算定するに当たっては、当該外国人がいつまで我が国に居住して就労するか、その後はどこの国に出国してどこに生活の本拠をおいて就労することになるか、などの点を証拠資料に基づき相当程度の蓋然性が認められる程度に予測し、将来のあり得べき収入状況を推定すべきことな」り、「そうすると、予測されうる我が国での就労可能期間ないし滞在可能期間内は我が国での収入等を基礎として逸失利益を算定するのが合理的ということができる」「我が国における就労可能期間は、来日目的、事故の時点における本人の意思、在留資格の有無、在留資格の内容、在留期間、在留期間更新の実績及び蓋然性、就労資格の有無、就労の態様等の事実的及び規範的な諸要素を考慮して、これを認定するのが相当である」と判示しています。
また、慰謝料に関する裁判例を見ると、東京高裁平成13年1月25日判決が「死亡慰謝料の算定にあたっては、日本人と外国人とを問わず、その支払いを受ける遺族の生活の基盤がどこにあり、支払われた慰謝料がいずれの国で消費されるのか、そして当該外国と日本との賃金水準、物価水準、生活水準等の経済的事情の相違を考慮せざるを得ない」と判示しましたが、その後、日本人と同様の取り扱いをした大阪地裁平成20年1月31日判決や横浜地裁平成20年1月24日判決などが出ています。
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有責配偶者からの離婚請求
当事者の婚姻関係が破綻している場合、裁判によって離婚を請求することが考えられるところ、婚姻関係の破綻について責任のある側(有責配偶者)からの離婚請求が認められるのかという問題があります。
この問題に関する裁判例としては、「踏んだり蹴ったり判決」と呼ばれる最高裁昭和27年2月19日判決が破綻について責任のある者からの離婚請求を認めないという考え方(消極的破綻主義)を採用したとされていますが、この判決が出た後、破綻についての責任が双方にある場合に責任の小さい者からの請求を認めるとした最高裁昭和30年11月24日判決や破綻後の異性との関係は有責行為にならないとした最高裁昭和46年5月21日判決を経て、最高裁昭和62年9月2日判決は、「有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚請求を許容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない」と判示しています。
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遺言書の偽造・変造等による相続欠格
民法891条は、相続人となる資格を失う相続欠格事由につき定めているところ、遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿がこの相続欠格事由のひとつとされています(同条5号)。
そこで、この遺言書の偽造等が問題となった裁判例をみると、最高裁昭和56年4月3日判決は、「被相続人の遺言書がその方式を欠くために無効である場合又は有効な遺言書についてされている訂正がその方式を欠くために無効である場合に、相続人がその方式を具備させることにより有効な遺言書としての外形又は有効な訂正としての外形を作出する行為は、同条5号にいう遺言書の偽造又は変造にあたるけれども、相続人が遺言者たる被相続人の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨で右の行為をしたにすぎないときは、右相続人は同号所定の相続欠格者にはあたらない」と判示しています。
また、最高裁平成9年1月28日判決は、「相続人の右行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、右相続人は、民法891条5号所定の相続欠格者には当たらない」「遺言書の破棄又は隠匿行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、これを遺言に関する著しく不当な干渉行為ということはできず、このような行為をした者に相続人となる資格を失わせるという厳しい制裁を課することは、同条5号の趣旨に沿わないからである」と判示しています。
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みなとタバコルール宣言について
東京都港区の「みなとタバコルール宣言」に、ひらま総合法律事務所は登録を行い、『みなとタバコルール』の趣旨を理解し、賛同し、ルールを守るため、行動することを宣言しました。
みなとタバコルールとは
港区公式ホームページ「たばこ対策」(外部リンク)をご覧ください。
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親権者の子に対する監護教育権と医療行為への同意
親権者は、子供の利益を図るために子の監護及び教育を行う権利を有し、また、義務を負う(民法820条)ところ、この監護教育の権利・義務に基づいて子に対する医療行為について同意する権限が認められると考えられていますが、親権者の宗教上の理由による子に対する手術への同意拒否は親権の濫用に当たるとして児童相談所長が親権喪失宣告を申し立てた事例につき名古屋家裁平成18年7月25日審判は、手術の拒否に合理的理由を認めることはできないとして親権者の職務の執行を停止して職務代行者として選任した弁護士の同意によって手術を行わせています。また、手術をしなければ数ヶ月以内に死亡するが手術により視力が失われるとして親権者が子に対する手術への同意を拒否した事案につき津家裁平成20年1月25日審判も、親権の濫用の可能性が高いとして同様の対応をしています。
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身寄りや資力のない人による成年後見制度の利用
成年後見制度を利用する場合、費用を負担できる資力や申立てを行ってくれる親族などが必要になりますが、費用の負担が難しい人や身寄りのいない人が少なくありません。そこで、4親等内の親族がいない場合、市区町村長が申し立てをすることができるとされているところ、国民年金等を受給して特別養護老人ホームに入所している人につき成年後見を開始して社会福祉士を成年後見人に選任した事案につき非訟事件手続法26条により手続費用を市長に負担させている(大阪家裁平成14年5月8日審判)一方で、弁護士を成年後見人に選任した事案につき本人の資産内容を考慮して非訟事件手続法28条により手続費用を申立人である区長ではなく本人に負担させています(東京家裁平成14年5月14日審判)。
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離婚後における親子の面会交流の方法
離婚により親権者・監護者でなくなった親が子と会ったり手紙・電話等で交流することを面会交流と言います(民法766条)が、父母の葛藤が激しかったり信頼関係の再構築が十分でない場合などには家庭裁判所調査官の指導(大阪家裁昭和54年11月5日審判)、弁護士の付き添い(名古屋家裁平成2年5月31日審判)などといった第三者の指導や立会いがその条件とされることがあります。また、子が別居している親と会いたがらない場合などには直接会うのではなく手紙、写真、ビデオの送付などによる間接的な交流にとどめる(浦和家裁平成12年10月20日、京都家裁平成18年3月31日等)ことがあります。
なお、面会交流の合意が履行されない場合に家庭裁判所による履行勧告や強制執行が問題となるところ、強制執行につき大阪高裁平成14年1月15日決定は、「面接交渉義務を負う者が、正当の理由がないのに義務を履行しない場合には、面接交渉権を行使できる者は、特別の事情のない限り、間接強制により、権利の実現を図ることができる」とし、最高裁平成25年3月28日決定は、間接強制が認められるために必要な給付内容の特定につき、面会交流の日時または頻度、各回の面会交流時間の長さ等が具体的に定められていることとしています。
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