Archive for the ‘債権回収’ Category

債権に対する強制執行

2019-10-07

 債権に対する執行には、債権執行と債権担保権の実行がありますが、債権執行が利用されることが多いようです。
 債権執行とは、金銭債権や引渡請求権を差し押さえ、換価・配当をする手続です(民事執行法143条等)。強制執行で必要とされる執行費用も、当該手続で取り立てることができる(同法42条)とされています。


 債権執行の申立は、債務者の普通裁判籍の所在地か差し押さえる債権の所在地を管轄する地方裁判所に対して行います(同法144条第1項)。
 強制執行は、請求債権の期限到来後に開始することができるのが原則(同法30条1項)ですので、弁済期がある場合や期限の利益の喪失が条件の場合、弁済期の到来や期限の利益の喪失を主張することになります。
 また、差押債権の特定が必要とされ、差押債権が不特定である債権差押命令は無効とされます(最高裁昭和46年11月30日判決)。


 執行裁判所は、債務者に対して差押債権の処分行為を禁止し、第三債務者に対して債務者への弁済を禁止する命令を発します(同法145条第1項)。そして、差押債権者は、債務者に差押命令が送達されてから1週間が経過すれば差押債権を取立てることができます(同法155条)。



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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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クレジット業者に対する抗弁の対抗

2019-06-17

 クレジット取引における販売契約とクレジット契約は当事者の異なる別個の契約ですが、購入者は、クレジット業者の支払請求に対し、販売契約についての無効・取消・解除等の事由をもって対抗できるとされています(抗弁の対抗、抗弁の接続 同法30条の4、35条の3の19)。
 この規定の性質については争いがありますが、判例は、上記の抗弁の対抗はこの規定によって創設的に認められたという創設的規定説を採用している(最高裁平成23年10月25日判決、最高裁平成2年2月20日判決)と評価されています。



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金融商品取引における消費者保護と金融商品販売法

2019-05-20

 証券取引、保険取引、デリバティブ取引など金融商品取引にはさまざまのものがあるところ、預貯金、保険、証券などの金融商品の販売を規制する法として金融商品の販売等に関する法律(金融商品販売法)が存在し、以下のような規制を行っています。


① 元本欠損・元本を上回る損失発生のおそれがあるときはその旨とその要因、取引の仕組み、権利行使期間等の制限があるときはその旨の説明の義務付けと損害賠償責任(同法3条、5条)


② 断定的判断の提供、確実であると誤認させるおそれのあることの告知の禁止と損害賠償責任(同法4条、5条)。


③ 勧誘方針の策定公表の義務付け(同法8条から10条)。



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金融商品取引業者を規制する金融商品取引法

2019-05-07

 金融商品取引法は、金融商品取引業者の行為ルールと監督を定める法です。証券取引法を改正したもので、以下の事項を規定しています。

 金融商品取引業者は、「金融商品取引について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることとなっており、又は欠けるおそれがあること」のないよう求められています。

目論見書、契約締結前の書面の交付の義務付けに関連するものです。



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新しい民法(7)債権の消滅時効における時効期間と起算点

2018-06-25

 現行民法では、債権の消滅時効における時効期間と起算点について、「権利を行使することができる時から10年」としています(民法166条1項、167条1項)が、改正法では、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」か、「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」に時効によって消滅する(改正民法166条1項)としています。

 また、現行民法は、170条から174条で短期消滅時効について規定していますが、改正法は、これらの規定を削除しています。

 さらに、改正法は、定期金債権について、行使することができることを知ったときから10年間行使しないときか、これらの各債権を行使することができるときから20年間行使しないときは、時効によって消滅する(改正民法168条1項)とし、生命、身体の侵害による損害賠償請求権について、5年間と20年間のいずれかによって時効消滅する(改正民法167条、724条の2)としています。

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新しい民法(1)債権の譲渡禁止特約

2018-05-14

 平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が成立しました。今回の改正は,民法のうち債権関係の規定について,取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に,社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに,民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。今回の改正は,一部の規定を除き,平成32年(2020年)4月1日から施行されます。(抜粋,法務省ホームページ「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」)そこで,改正により大きく変わる箇所を数回に分けて解説します。

 現行法においては,その譲渡を禁止する特約に違反して行われた債権譲渡の効力について,譲受人が譲渡を禁止する特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある場合には譲渡の当事者間においても無効であるとする見解(物権的効力説)が有力ですが,改正法においては,その譲渡を制限する特約があっても債権譲渡は有効(改正民法466条2項)とした上で,特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある譲受人に対しては,債務者は,債務の履行の拒絶権を有し,また,譲渡人に対する弁済その他の債務の消滅事由を対抗することができる(同条3項)とし,さらに,譲受人が特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある場合であっても,譲受人が債務者に対し相当な期間を定めて譲渡人への履行の催告をしてもその期間内に債務者が履行をしないときには,債務者は,譲受人に対し,履行の拒絶権を有さず,また,譲受人に対する債務消滅事由を対抗することができなくなる(同条4項)とされています。

 また,供託に関して,その譲渡を禁止する特約のある金銭債権が譲渡されたときに債務者が供託をすることができる(改正民法466条の2第1項),その譲渡を禁止する特約のある金銭債権が譲渡とされた場合において譲渡人に破産手続開始決定があったときには,譲受人が特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある場合であっても,債務者に供託させることができる(改正民法466条の3)とされています。

 さらに,差押えに関して,その譲渡を禁止する特約のある債権に対する差押債権者に対し,債務者は,履行の拒絶権を有さず,また,債権者に対する債務消滅事由を対抗することができない(改正民法466条の4第1項),特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある譲受人の債権者が差押えをした場合には,債務者は,その差押債権者に対し,履行の拒絶権を有し,また,譲渡人に対する債務の消滅事由を対抗することができる(同条2項)とされています。

 なお,預貯金債権については,特約があることを知っているか,知らないことに重大な過失がある譲受人に対し,譲渡制限の特約を対抗できる(改正民法466条の5第1項)とされています。

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会社についての破産手続の開始決定と取締役の地位

2017-01-10

会社の取締役の終任事由としては、

がありますが、会社について破産手続開始決定があった場合に取締役がその地位を当然に去るのかどうかという問題については争いがあります。

この点、従来の裁判例は、地位喪失説(最高裁昭和43年3月15日判決)と地位残存説(大審院大正14年1月26日判決、最高裁平成16年6月10日判決)に分かれていましたが、最高裁平成21年4月17日判決は、会社が破産手続開始決定を受けた場合、破産財団についての管理処分権限は破産管財人に帰属しますが、役員の選任又は解任のような破産財団に関する管理処分権限と無関係な会社組織に係る行為等は、破産管財人の権限に属するものではなく、破産者たる会社が自ら行うことが出来るというべきであり、会社につき破産手続開始決定があっても直ちに会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではないので、破産手続が開始した当時の取締役らは、破産手続の開始によりその地位を当然には失わず、会社組織に係る行為等については取締役らとしての権限を行使出来ると判示しています。


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少額の紛争を簡易迅速に解決するための少額訴訟手続の特徴

2016-12-05

 訴額が60万円以下の金銭の支払請求事件については少額訴訟による審理と裁判を求めることが出来ます(民訴法368条1項)。

 少額訴訟は、比較的少額の紛争を簡易迅速に解決するための制度です。

 少額訴訟においては、原則として最初の期日の前かその期日にすべての攻撃・防御の方法を提出しなければならず(民訴法370条2項)、原則として1回の期日で審理を終了し(民訴法370条1項)、即日判決の言渡しをします(民訴法374条)。そして、この判決については異議の申し立てをすることはできますが控訴をすることはできないとされています(民訴法377条、378条1項)。

 裁判所は、最初の口頭弁論の期日の呼び出しの際に当事者に対し少額訴訟による審理及び裁判の手続の内容等を教示します(規則222条)、また、この手続きの利用は原告の一方的な意思で決まることから、法は、少額訴訟手続の審理を望まない被告に対し、一定の期限までに通常訴訟での審理・判決を求める旨の申述をすることを認めています(民訴法373条)。


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撮影場所 – リバティ・ベル・センター (ペンシルバニア州フィラデルフィア)

休眠会社のみなし解散

2016-05-09

   休眠会社とは、登記上存在するが実際には事業活動を行っていない会社です。会社法は、これを解散したとみなしています(472条)。

   平成17年における改正前の商法では最後の登記後5年を経過したものが休眠会社とされていましたが、現在の会社法では当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したものとされています。

   非公開会社において取締役の任期が伸び、株式会社が必ず登記をしなければならない間隔が伸びたことがその背景にあります。


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破産手続きにおける財団債権

2016-04-25

   破産手続きでは、債権を区分してそれぞれについて異なった取扱をしています。そして、その債権の区分の中に財団債権と呼ばれるものがあります。

   財団債権は、

   ①破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権、破産財団の管理・換価・配当に関する費用の請求権、破産手続開始前の原因に基づいて生じた破産手続開始当時に納期限が未到来か1年を経過していない租税等の請求権などの一般の財団債権(なお、財団債権にならない租税等の請求権は、優先的破産債権や劣後的破産債権になります。)と、

   ②破産手続開始前の3ヶ月間の給料請求権・退職前の3ヶ月分の給料総額に相当する額の退職手当請求権などの特別の財団債権に分類されます。

   財団債権は、配当手続によらないで破産財団から弁済を受けることが出来ます。


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