Archive for the ‘企業法務’ Category

車の貸主やレンタカー業者の運行供用者としての責任

2017-09-04

自動車による人身事故について自動車損害賠償保障法(自賠法)3条が「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)の損害賠償責任を定めているところ、有償ないし無償で自動車を貸し出した第三者が事故を起こした場合における所有者の運行供用者としての責任が問題となります。

1 レンタカー業者から自動車をレンタルした借受人が事故を起こした場合についての裁判例を見ると、約定の返還時間の約55時間後に借受人が事故を起こした場合につき和歌山地裁平成6年12月20日判決が業者の運行供用者としての責任を認め、また、約定の返還時間の6時間余り後に借受人の同居人が事故を起こした場合につき神戸地裁平成10年3月19日判決が業者の運行供用者としての責任を認めていますが、返還予定日から25日経過した後に借受人から無断転貸を受けた者が事故を起こした場合につき大阪地裁昭和62年5月29日判決が業者の運行供用者としての責任を否定しています。

2 所有者から自動車を無償で借り受けた借受人が事故を起こした場合についての裁判例を見ると、自動車販売会社が販売した中古車の整備を終えるまでの間に提供した代車で顧客の被用者が事故を起こした場合につき最高裁昭和46年11月16日判決が自動車販売会社の運行供用者としての責任を認め、また、父親が自動車を貸与した息子からさらに貸与を受けた者が事故を起こした場合につき最高裁昭和53年8月29日判決が父親の運行供用者としての責任を認めていますが、2週間後に返還するとの約束で貸与した友人が返還せず約1か月後に事故を起こした場合につき最高裁平成9年11月27日判決が貸与者の運行供用者としての責任を否定しています。

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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
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労働時間とフレックスタイム制

2017-08-28

労使協定で定める一定の期間(清算期間)につき一定の時間労働することを条件として始業・就業時刻の決定を個々の労働者にまかせる制度をフレックスタイム制(労働基準法32条の3)と言い、管理部門、研究・開発部門などで導入されています。

フレックスタイム制を採用する場合、始業・就業時刻を労働者に決定させることを就業規則等で定め、かつ、過半数組合・過半数代表者との間で労使協定を締結することが必要となります。そして、フレックスタイム制が採用されると時間外労働となるのは労働者が清算期間における法定労働時間を超えて労働する場合となります。

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賃金の調整的相殺

2017-08-21

給与が月の途中に支払われた後において従業員が欠勤した場合に欠勤によって減額される分を使用者が翌月の給与から控除することを賃金の調整的相殺と言いますが、この取り扱いは過払賃金分の不当利得返還請求権と賃金債権との相殺になることから、使用者は原則として賃金の全額を支払わなければならないという「全額払の原則」との関係で適法かどうかが問題となります。

この点、賃金の調整的相殺は、賃金の精算調整にすぎないことから、過払いの時期と相殺の時期が合理的に接近していることや相殺される額が多額にわたらないことを要件として適法とされています(最高裁昭和44年12月18日判決等)。

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取締役の解任決議と解任の訴え

2017-07-31

取締役の解任について、会社法は、株主総会において理由のいかんにかかわらず取締役などの役員を解任することが出来る(同法339条1項)としていますが、解任が安易に行われると取締役の地位が不安定になることから、正当な理由のある場合を除き、取締役は、会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求出来る(同法339条2項)とされています。そこで、取締役の解任において正当な理由が認められるかどうかが問題となった裁判例を見ると、持病が悪化したことから療養に専念するためその有する株式全部を譲渡した元代表取締役を経営陣の一新をはかるため総会決議で解任した事案に関する最高裁昭和57年1月21日判決が当該解任には平成17年の改正前の商法257条1項但書にいう正当な事由がないとしています。

また、違法行為を行ったり不適任であったりする取締役であっても、少数株主が株主総会でこの者を解任することは容易ではないため、株主総会における決議のほか、会社法は、解任の訴えによって取締役を解任することを認めています(同法323条)。

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相続財産と死亡退職金・生命保険金

2017-07-18

死亡を原因として遺族などに支払われるものとして死亡退職金と生命保険金がありますが、これらが相続財産に含まれるかどうかが問題になります。

まず、死亡退職金に関する裁判例を見ると、退職金に関する規程において死亡退職金の第1順位の受給権者は配偶者で配偶者がいるときには子は支給を受けないとされていた事案に関する最高裁昭和55年11月27日判決は、「右規程は、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得する」として「右死亡退職金の受給権は相続財産に属さ」ないとしています。また、退職金支給規程の存在しない財団法人の理事長が死亡した事案に関する最高裁昭和62年3月3日判決は、「死亡退職金は」「相続という関係を離れて・・・配偶者であった被上告人個人に対して支給されたものである」とした原判決を維持しています。

次に、生命保険金に関する裁判例を見ると、保険契約者が特定の相続人を受取人として指定している場合について、大審院昭和11年5月13日判決、最高裁昭和40年2月2日判決、最高裁平成16年10月29日判決は、保険契約の効力として、保険金請求権は、相続人の固有財産に属し相続財産にはならないとし、また、保険契約者が受取人を単に相続人と指定している場合について、最高裁昭和48年6月29日判決は、特段の事情がない限り、相続人全員の固有財産となり、相続財産から離脱するとしています。

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賃金と家族手当・住宅手当、ストック・オプション

2017-07-10

   労働基準法(労基法)11条が「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定めていることから、労基法上の「賃金」は「労働の対償」ということになりますが、家族手当や住宅手当のようなものも一定の要件のもとで「賃金」にあたるとされており(東京地裁平成13年1月29日判決)、「労働の対償」という要件は緩やかに考えられているようです。

   そこで、会社が取締役や従業員に対しあらかじめ設定された価格で自社株を購入する権利を付与するストック・オプションも労基法上の「賃金」にあたると考えられそうですが、東京地裁平成24年4月10日判決は、利益性を欠くとして、ストックオプションは、労基法上の「賃金」にあたらないとしています。


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当事務所内で咲く花

会計帳簿の閲覧・謄写請求とその拒絶事由

2017-07-03

株主による経営監督にとって会計帳簿・会計資料が重要な意味を持つことから、会社法は、株主に対し、会計帳簿等の閲覧・謄写請求権を認めていますが、この権利が濫用されると会社や他の株主に損害を与えるおそれがあるため、この権利を少数株主権とし(同法433条1項)、また、会社が閲覧・謄写請求を拒否出来る場合を規定しています(同法433条2項)。

そこで、この拒絶事由が問題となった裁判例を見ると、最高裁平成16年7月1日判決は、株式譲渡を制限している会社における株式等を売却するためにその時価を算定するという目的での閲覧謄写請求につき、特段の事情の存しない限り拒絶事由(商法旧293条の7)に該当しないと判示し、東京地裁平成19年9月20日判決は、「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業」を営む場合(会社法433条2項3号)につき、現に競争関係にある場合の他、近い将来において競争関係に立つ蓋然性が高い場合もこれに含まれると判示しています。

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2017年6月23日 公布された法令に関するお知らせ

2017-06-23

〇農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律(平成29年法律 第70号)

〇国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律(平成29年法律 第71号)

〇刑法の一部を改正する法律(平成29年法律 第72号)

〇文化芸術振興基本法の一部を改正する法律(平成29年法律 第73号)

〇農業災害補償法の一部を改正する法律(平成29年法律 第74号)

〇青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第75号)

〇商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律(平成29年法律 第76号)

過去に公布された法令に関するお知らせ 取扱分野>>立法の動向>>会社法等

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2017年6月21日 公布された法令に関するお知らせ

2017-06-21

〇公職選挙法の一部を改正する法律(平成29年法律 第66号)

〇組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成29年法律 第67号)

〇ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の一部を改正する法律(平成29年法律 第68号)

〇児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第69号)

過去に公布された法令に関するお知らせ 取扱分野>>立法の動向>>会社法等

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2017年6月16日 公布された法令に関するお知らせ

2017-06-16

〇衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第58号)

〇厚生労働省設置法の一部を改正する法律(平成29年法律 第59号)

〇畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律(平成29年法律 第60号)

〇廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第61号)

〇特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律 第62号)

〇天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律 第63号)

〇電子委任状の普及の促進に関する法律(平成29年法律 第64号)

〇住宅宿泊事業法(平成29年法律 第65号)

過去に公布された法令に関するお知らせ 取扱分野>>立法の動向>>会社法等

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撮影場所 – リバティ・ベル・センター(Philadelphia)

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