Archive for the ‘企業法務’ Category
2016年12月16日 公布された法令に関するお知らせ
- 道路運送法及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(平成28年法律 第106号)
- がん対策基本法の一部を改正する法律(平成28年法律 第107号)
- 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成28年法律 第108号)
- 部落差別の解消の推進に関する法律(平成28年法律 第109号)
- 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(平成28年法律 第110号)
- 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(平成28年法律 第111号)
- 無電柱化の推進に関する法律(平成28年法律 第112号)
- 自転車活用推進法(平成28年法律 第113号)
過去に公布された法令に関するお知らせ 取扱分野>>立法の動向>>会社法等
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
撮影場所 – リバティ・ベル・センター (ペンシルバニア州フィラデルフィア)
株主総会決議の不存在の確認と決議無効の確認
株式会社の株主総会では会社の組織、運営などについて決議をしますが、議事録に総会が開催され決議が行われたと記載されていても実際には招集手続が一切なかったような場合、総会決議は不存在となります。
そして、会社法は、株主総会の決議について、決議が存在しないことの確認を訴えによって請求できる(会社法830条1項)とし、最高裁平成2年4月17日判決は、取締役を選任する旨の株主総会決議が存在するとはいえない場合には、当該取締役によって構成される取締役会は正当な取締役会とはいえず、その取締役会で選任された代表取締役も正当に選任されたものではなく株主総会の招集権限を有しないので、この代表取締役が招集した株主総会において取締役を選任する旨の決議がなされたとしても、特段の事情がない限り、法律上存在しないものとしています。
また、株主総会の決議の内容が法令に違反することを理由として決議が無効であることの確認を訴えによって請求できます(会社法830条2項)。
そして、この確認の利益に関して、東京地裁平成26年11月20日判決は、当該決議の法的効力に関して疑義があり、これが前提となって当該決議から派生した法律上の紛争が現に存在する場合において、当該決議の法的効力を確定することが上記紛争を解決し当事者の法律上の地位ないし利益が害される危険を除去するために必要かつ適切であるときは確認の利益があるとしています。
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少額の紛争を簡易迅速に解決するための少額訴訟手続の特徴
訴額が60万円以下の金銭の支払請求事件については少額訴訟による審理と裁判を求めることが出来ます(民訴法368条1項)。
少額訴訟は、比較的少額の紛争を簡易迅速に解決するための制度です。
少額訴訟においては、原則として最初の期日の前かその期日にすべての攻撃・防御の方法を提出しなければならず(民訴法370条2項)、原則として1回の期日で審理を終了し(民訴法370条1項)、即日判決の言渡しをします(民訴法374条)。そして、この判決については異議の申し立てをすることはできますが控訴をすることはできないとされています(民訴法377条、378条1項)。
裁判所は、最初の口頭弁論の期日の呼び出しの際に当事者に対し少額訴訟による審理及び裁判の手続の内容等を教示します(規則222条)、また、この手続きの利用は原告の一方的な意思で決まることから、法は、少額訴訟手続の審理を望まない被告に対し、一定の期限までに通常訴訟での審理・判決を求める旨の申述をすることを認めています(民訴法373条)。
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2016年11月28日 公布された法令に関するお知らせ
- 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律(平成28年法律 第85号)
- 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成28年法律 第86号)
- 教育公務員特例法等の一部を改正する法律(平成28年法律 第87号)
- 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成28年法律 第88号)
- 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律 第89号)
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2016年11月16日 公布された法令に関するお知らせ
- 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(平成28年法律 第76号)
- 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律(平成28年法律 第77号)
- 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律(平成28年法律 第78号)
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当事務所内で咲く花
通勤災害に対する保険給付
労働者災害補償保険法(労災保険法)において「通勤」とは、労働者が就業に関し
① 住居と就業場所との往復
② 就業場所から他の就業場所への移動
③ ①の往復に先行または後続する住居間の移動を合理的な経路及び方法により行うこと(同法7条2項)とされています。
そして、保険給付の対象となる「通勤災害」とは、この「通勤による負傷、疾病、障害又は死亡」(同法7条1項2号)で、通勤駅の階段で転倒したことによる負傷などがこれに該当すると考えられますが、通勤に通常伴う危険が現実化したものと考えられているため、通勤中殺害されても、たまたま犯行の機会が通勤中であったという場合には「通勤災害」には当たらないとした裁判例(大阪高裁平成12年6月28日判決)があります。
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住宅等の建物に瑕疵がある場合における責任追及
住宅等の建物について漏水、有害物質の発生等といった不具合がある場合、契約関係にある当事者間においては瑕疵担保責任(売買契約であれば民法570条、請負契約であれば民法634条以下)を、契約関係にない当事者間においては不法行為責任(民法717条等)を追及することが考えられますが、当該不具合が条文でいうところの「瑕疵」にあたるかどうかが問題となります。
まず、売買契約における「瑕疵」に関する裁判例を見ると、大審院昭和8年1月14日判決が「売買ノ目的物ガアル性能ヲ有スルコトヲ売主ニオイテ特ニ保証シタルニカカワラズ之ヲ具備セザル場合ハ瑕疵ナルモノトスル」とし、最高裁平成22年6月1日判決が「売買契約の当事者間において目的物がどのような品質・性能を有することが予定されていたかについては、売買契約締結当時の取引観念をしんしゃくして判断すべき」と判示しています。
次に、請負契約における「瑕疵」に関する裁判例を見ると、最高裁平成15年10月10日判決が「本件請負契約においては、上告人及び被上告人間で、本件建物の耐震性を高め、耐震性の面でより安全性の高い建物にするため、南棟の主柱につき・・・を使用することが、特に約定され、これが契約の重要な内容になっていたものというべきである。そうすると、この約定に違反して、・・・を使用して施工された南棟の主柱の工事には、瑕疵がある」と判示しています。
最後に、民法717条の不法行為(土地工作物責任)における「瑕疵」に関する裁判例を見ると、最高裁平成19年7月6日判決が「建物は、その利用者や隣人、通行人等の生命、身体又は財産を危険にさらすことがないよう基本的な安全性を備えていなければならず」とし、最高裁平成23年7月21日判決が「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵とは、居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する」と判示しています。
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単元株制度
単元株制度とは、定款で決めた一定数を1単元とし、1単元に満たない株式については株主権を制限する制度です。
単元未満株式には議決権などが認められません。株主に関する事務管理のコストを削減するという観点から株式の単位を調整するものです。
これと類似するものとして、平成13年に法が改正される前に単位株制度が存在しましたが、単位株制度は株式の単位を引き上げるためのものであるのに対し、単元株制度はそのようなものではないと説明されています。
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再入国の許可・みなし再入国の許可
日本に在留する外国人が再び日本に入国する予定で出国するときにあらかじめ再入国の許可を得るという再入国許可制度があります(出入国管理及び難民認定法26条)。そこで、日本に在留する外国人が再び日本に入国する予定で出国する場合、出国前に地方入国管理局に対し申請書、旅券等を提出して再入国許可を申請します。
また、平成24年7月から、有効な旅券、在留カードを有する中長期在留の外国人が再入国の意図を表明して出国すれば再入国許可を得たものとみなされるみなし再入国許可という制度の運用が開始されました(出入国管理及び難民認定法26条の2)。
ただし、「1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある」といった上陸拒否事由に該当する(出入国管理及び難民認定法5条1項4号)場合には、あらかじめ再入国許可を申請して許可を受けることが必要(上陸拒否の特例、出入国管理及び難民認定法5条の2)で、上陸拒否の特例に該当すると判断されるとこの特例に該当する旨の通知書が交付されます。
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株式譲渡の自由と従業員持株制度
従業員に対する福利厚生や愛社精神の育成などのために自社の株式を有利な条件で従業員に保有させる従業員持株制度を導入している企業がありますが、株式の自由な譲渡を制限し、退職時には株式を一定額で会社に譲渡すると定められているのが通常であるため、このような譲渡制限契約が株式会社において株式の譲渡は原則として自由(会社法127条)とされていることや公序良俗(民法90条)に違反しないかが問題となります。
この点につき裁判例を見ると、このような契約を有効としているものがほとんどのようです。従業員が制度の趣旨を了解し毎年8から30%の割合による配当を受けていた事案に関して最高裁平成7年4月25日判決は、退職の際には額面額で取得した株式を額面額で取締役会の指定する者に譲渡するとの合意は、商法204条1項(現会社法127条)や公序良俗に反しないとしています。
また、日刊新聞を発行する非公開会社の事案に関して最高裁平成21年2月17日判決は、株式の保有資格者を原則として現役の従業員等に限定し、個人的理由により株式を売却する必要が生じたときなどには持株会が額面額で買い戻すとの定めは、その内容に合理性がないとは言えないとして会社法127条や公序良俗に反しないとしています。
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