Archive for the ‘雇用・労働’ Category
傷病休職と労働契約の終了
休職とは、労働者に就労させることが適切でない場合に労働契約を存続させつつ労働義務を一時消滅させることで、傷病休職、事故欠勤休職、起訴休職、出向休職などがありますが、傷病休職において、どれ位回復していれば治癒したと判断され、労働契約の終了という効果が発生しないのかという問題があります。
この点、裁判例をみると、従前の職務を支障なく行える状態にまでは回復していなくても、相当期間内に治癒することが見込まれ、かつ、当人に適切なより軽い作業が現に存在するときには、病気が治癒するまでの間、使用者は、労働者をその業務に配置すべき信義則上の義務を負い労働契約の終了という効果は発生しないとされているようです(東京地裁昭和59年1月27日判決、大阪地裁平成11年10月4日判決、大阪地裁平成11年10月18日判決、大阪地裁平成20年1月25日、東京地裁平成22年3月24日判決、東京地裁平成23年2月25日判決など)。
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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
撮影場所 – 地下鉄駅内 (ワシントンD.C. コロンビア特別区)
試用期間の終了時における本採用の拒否
労働者を採用するにあたって3ヶ月から6ヶ月程度の試用期間を設定して使用者がその人の従業員としての適格性を評価することがしばしば行われますが、従業員として不適格であると評価されて本採用を拒否された場合、その人が法的救済を受けることが出来るかが問題となります。
この点につき、最高裁昭和48年12月12日判決は、個々の事案に応じて判断すべきであるとしつつ、当該事案においては、試用期間中も解約権を留保した労働契約が成立しているとした上、本採用の拒否はこの解約権の行使(解雇)にあたるため、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認できる場合にのみ許されるとして本採用の拒否についての法的救済を認めています。
また、東京高裁平成21年9月15日判決は、約3ヶ月半の営業成績をもって従業員としての適格性を有しないと判定することは出来ず、解雇は無効としています。
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資格外活動と刑事処分・退去強制処分
出入国管理及び難民認定法(入管法)の別表第1に記載された「技術・人文知識・国際業務」「技能」などといった専門性のある就労活動をすることを予定する在留資格を認められた外国人による当該在留資格が予定していない就労活動や「留学」「家族滞在」などといった就労を予定していない在留資格を認められた外国人による就労活動(資格外活動)は、刑事処分や退去強制処分の原因となります。
① 入管法70条1項4号、73条により、上記のような資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる者には3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金、専ら行っていると明らかに認められないが資格外活動を行った者には1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金が科されます(懲役等と罰金が併科されることもあります)。
② 資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる場合には、退去強制事由にも該当します(入管法24条4号イ)。また、専ら行っているとまでは認められない場合でも禁錮以上の刑に処せられた場合には、退去強制事由に該当します(入管法24条4号ヘ)。
When a foreign national intends to engage in an activity to operate profit-making businesses or an activity for receiving consideration other than the activity permitted under his/her status of residence, he/she must obtain permission to engage in an activity other than that permitted under* the status of residence previously granted, in advance.
Note:
The following passage was quoted from a Immigration Bureau of Japan web site: (https://www.isa.go.jp/en/).
*See the following ‘Permission to Engage in an Activity Other Than That Permitted by the Status of Residence Previously Granted’ Immigration Bureau of Japan web site: (https://www.isa.go.jp/en/applications/guide/nyuukokukanri07_00045.html) for further information.
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労働者のプライバシー(人格的利益)の保護
企業の活動と労働者のプライバシー(人格的利益)が衝突することがありますが、労働者のプライバシー(人格的利益)が重視されるようになっており、労働者のプライバシー(人格的利益)に関する裁判例は増加しています。
まず、労働者のプライバシー(人格的利益)への干渉に関するものとして、労働者の思想調査のための監視・尾行が問題となった最高裁平成7年9月5日判決や個人的に賃借している不動産を家主に明け渡すよう上司が部下に強要することが問題となった横浜地裁平成2年5月29日判決などがあります。
また、労働者のプライバシー(人格的利益)にかかわる情報の取得・開示に関するものとして、使用者がHIV抗体検査を行うことが問題となった千葉地裁平成12年6月12日判決やB型肝炎ウィルス感染検査を行うことが問題となった東京地裁平成15年6月20日判決などがあります。
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出勤停止と自宅待機命令
出勤停止とは、制裁として、一定期間、労働者の就労を禁止することです。期間中には賃金が支給されず勤続年数にも通算されないのが通常です。
そこで、その相当性については厳格にチェックする必要があります。 これに対し、自宅待機命令とは、職場の規律に違反した労働者の処分を決めるまで、一定期間、労働者の就労を禁止することです。暫定的措置で期間中も賃金が支払われることから出勤停止とは区別されます。
そこで、使用者は、労務指揮権を行使して自宅待機を命ずることが出来るとされていますが、業務上の必要性を欠いたり不当に長期にわたる場合には違法となる可能性があり、千葉地裁平成5年9月24日判決は、調査を尽くさないまま継続された半年間の自宅待機命令を違法としています。
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定年制と早期退職者優遇制度
定年制とは、労働者が一定の年齢に達したことを理由に労働契約を終了させる制度です。
定年年齢に到達するまでの雇用を保障する機能と定年年齢に到達することで雇用関係を終了させる機能を有することから労使双方にとってメリットのある制度として多くの企業で採用されています。
また、早期退職者優遇制度とは、所定の定年年齢より早期に退職する人に退職金の割増などの優遇措置を講ずることで早期退職を奨励する制度です。
社会の高齢化を背景として高齢者の進路選択とキャリア形成を支援する機能と高齢者の排出という雇用調整的機能を有しますが、退職して欲しくない労働者を慰留するために使用者による制度適用の承認(合意解約による退職)を要件とすることが多く、この場合、労働者の申込みに対する承諾が必要となるため、この制度の適用無しに早期退職した労働者が割増退職金の支給を求めても認められないとした裁判例(東京地裁平成17年10月3日判決)があります。
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非正規雇用とセクシャル・マタニティーハラスメント
職場を労働者にとって働きやすいものにするため、企業によるハラスメント対策が必要になります。
厚生労働省によれば、全国の労働局に寄せられる男女雇用機会均等法関連の相談のうちセクシャルハラスメント(セクハラ)に関するものは毎年1万件前後で平成26年は1万1289件となっており、平成28年4月7日付け新聞は、非正規労働者など弱い立場の人との地位の差がその背景に有るとの識者の見解を紹介しています。
また、厚生労働省が平成27年に行った調査によれば、正社員の約2割、派遣労働者の約5割がマタニティーハラスメント(マタハラ)の被害にあっています。
立法を見ると、マタハラの防止策を企業に義務づける男女雇用機会均等法などの改正案が通常国会で成立し、来年の1月に施行されることになっています。
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社外取締役制度の変更
平成27年6月20日に「会社法の一部を改正する法律」が成立し、同年27日に公布されたところ、この改正法においては社外取締役制度が変更されています。
①範囲の変更
社外取締役の要件が厳格化され、親会社等の関係者及び兄弟会社の業務執行者や株式会社の業務執行者等の近親者は、社外取締役になることが出来ないことになりました。
②対象期間の変更
過去に株式会社又はその子会社の業務執行取締役等になったことがないという要件の対象期間が10年間になりました。
③社外取締役を置いていない場合の理由の開示
事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社で大会社であるもの)であってその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものについて社外取締役を置いていない場合、定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないことになりました。
東京証券取引所によれば、平成26年において社外取締役を選任している上場会社(市場第一部)の比率は、12.0%増加して74.3%となり7割を超えています。
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不法行為による損害賠償額への被害者の身体的特徴の影響
交通事故などの不法行為による損害の発生・拡大に被害者の身体的特徴が影響している場合、損害賠償額の算定においてこのことをどう評価するかが問題となります。
この点、最高裁平成8年10月29日判決が、疾患に該当する身体的特徴に関しては、「被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法722条2項の規定を類推適用して、被害者の疾患を斟酌することができることは、当裁判所の判例(・・・平成4年6月25日第一小法廷判決・・・)とするところである。
そしてこのことは、加害行為前に疾患に伴う症状が発現していたかどうか、疾患が難病であるかどうか、疾患に罹患するにつき被害者の責めに帰すべき事由があるかどうか、加害行為により被害者が被った衝撃の強弱、損害拡大の素因を有しながら社会生活を営んでいる者の多寡等の事情によって左右されるものではないというべきである」とし、疾患に該当しない身体的特徴に関しては、「被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の右身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することはできないと解すべきである」としています。
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中小企業・小規模事業者のマイナンバー アクション!のお知らせ
平成28年1月からマイナンバー制度がスタートしました。事業者の皆さまもマイナンバーに対応することが必要です。そこでどのような準備が必要かなどをパンフレット等を通じてお知らせします。当事務所の顧問先事業者の皆さまはパンフレットを配布していますのでご活用ください。
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