Archive for the ‘利息’ Category
差押を受けた債権を受働債権とする相殺の禁止
① 民法511条1項は,「差押えを受けた債権の第三債務者は,差押え後に取得した債権をもって差押債権者に対抗することはできないが,差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる」として,差押えと相殺の優劣につき規定しています。
② 同法同条2項は,「差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは,その第三債務者は,その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる」として,相殺をもって差押債権者に対抗することができる場合を規定しています。なお,「第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは,この限りでない」として,このルールが妥当しない場合を規定しています。
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法定利率についての民法の改正
法定利率について民法は改正を行っています。
① 404条1項は,「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは,その利息が生じた最初の時点における法定利率による」とし,同条2項は,法定利率は,「年3パーセント」としています。
② 同条3項は,法定利率は,「3年を一期とし,一期ごとに」「変動する」として変動制を定めています。
③ 同条4項は,「各期における法定利率は」「法定利率に変動があった期のうち直近のもの」「における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合」を直近変動期における法定利率に加算し,又は玄さんした割合」とし,同条5項は,基準割合とは,「各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの各月における短期貸付けの平均利率」「の合計を60で除して計算した割合」としています。
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元本債務・利息債務の承認と相殺と債務の承認
時効の中断事由のひとつとして「承認」(民法147条3号、156条)が規定されているところ、どのような行為がこの「承認」にあたるかが問題となります。
この点、債務の一部の弁済は、債務全体の承認とされます(大審院大正8年12月26日判決)。また、利息の支払いは、元本債務についての承認とされます(大審院昭和3年3月24日判決)。さらに、支払いの猶予や延期の懇請も債務の承認となります(大審院大正10年3月4日判決)。
一方、他の事情が伴わない限り、相殺の意思表示に対し異議を述べなかったとしても債務を承認したことにはならない(大審院大正10年2月2日判決)し、利息債権についての強制執行に対し異議を述べなかったとしても元本債務を承認したことにはならない(大審院大正11年4月14日判決)とされています。
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差押債権者による取立て
差押命令が債務者に送達されて1週間が経過すると、差押債権者は、第三債務者から直接取立てをすることができます(民事執行法155条1項)。そして、この取立権によって、差押債権者は、自己の名において、差押債権に関し債務者の権利を行使できるとされており、最高裁平成11年9月9日判決は、生命保険に関し債務者の有する解約権を行使することができるとしています。
差押債権者が取立権を行使して第三債務者から支払いを受けたときはその限度で弁済を受けたものとみなされます(同法155条2項)。差押債権者は、取立権の行使により第三債務者から支払いを受けたときは直ちにその旨を執行裁判所に届け出なければならないとされています(同法155条3項)。
また、差押債権者が取立権に基づいて取立てをしたが第三債務者が支払わない場合や差押等が競合したのに供託しない場合、差押債権者は、取立訴訟を提起することができます(同法157条)。そして、差押債権者は、取立訴訟の判決に基づいて第三債務者の財産に対して強制執行をすることができます。
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新しい民法(3)法定利率の固定と変動
法定利率について、現行法は年5分と定めています(民法404条)が、改正法では、当初年3%とし、3年を1期として1期ごとに見直される(改正民法404条)ことになりました。また、この改正にあわせて商法514条が削除され、年6分の商事法定利率が廃止されることになりました。
また、現行法における金銭債務の損害賠償額の算定についての特則(民法419条1項)に関して、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率による(改正民法419条1項)ことにして、事後的に法定利率に変更があってもその影響を受けないようにしました。
また、現行法には明文の規定がありませんが、改正法では、損害賠償の額を定める場合に利息相当額を控除するときは法定利率によることが明文化されました(改正民法417条2項)。
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新しい民法(2)保証人の保護の拡充
保証人が過酷な責任を負うことが少なくないところ、保証人の保護という観点からの改正が行われます。
まず、
①保証債務の付従性(改正民法448条2項)、主たる債務者の有する抗弁等(改正民法457条2項・3項)の内容の明文化、保証人の求償権(改正民法459条1項、459条の2、460条3号、462条)、通知義務(改正民法463条)の内容の明確化、連帯保証人に生じた事由の効力の相対的効力への変更(改正民法458条、441条)といった改正が行われます。
また、
②個人根保証契約への極度額の規律の適用(改正民法465条の2、465条の5)、元本の確定事由の規律の適用(改正民法465条の4)の拡大といった改正が行われます。
さらに、
③経営者保証の場合を除いて、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約の締結にあたっての公正証書による保証意思確認手続の義務付け(改正民法465条の6から465条の8)、保証人に対する情報提供の義務付け(改正民法458条の2、458条の3、465条の10)といった改正が行われます。
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消滅時効期間とその起算点
企業法務において管理する債権の時効消滅の防止が問題になることがありますが、適切に対処するためには消滅時効期間とその起算点の理解がまず必要になります。
Ⅰ消滅時効期間
債権の消滅時効期間については民法・商法が定めていて、原則的な消滅時効期間は、民事債権については10年、商事債権は5年とされています。また、例外的な消滅時効期間が民法168条から民法174条までに定められています。
Ⅱ消滅時効の起算点
消滅時効の起算点については民法が「権利を行使することができる時」と定めています。そして、権利の行使に事実上の障害があっても法律上の障害がなければ「権利を行使することができる」というのが原則的な取り扱いですが、「単にその権利の行使につき法律上の障害がないというだけではなく、さらに権利の性質上、その権利行使が現実に期待のできるものであることをも必要と解する」と述べている判例(最高裁昭和45年7月15日大法廷判決)がありますので、法律上の障害がなくても、権利の行使を現実に期待出来ない特段の事情がある場合には、その特段の事情がなくなるまで消滅時効は進行しないということになります。
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企業の倒産
「帝国データバンク」が平成27年4月8日に公表した平成26年度における負債額が1000万円以上の企業倒産の件数は、前年度比10.5%減の9044件で8年ぶりに1万件を下回り、倒産企業の負債総額は31.3%減の1兆8870億円で6年連続で前年度を下回りました。また、業種別で見ると建設業が17.6%減の1800件、製造業が16.4%減の1210件、卸売業が12.5%減の1375件となっています。
日本銀行による金融緩和が継続していることにより企業が資金を調達しやすい環境になっていることと公共工事の増加により建設業の倒産が減ったことなどがこの数字の背景にあると新聞は伝えています。
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債権管理と再度の時効中断
企業法務における債権管理として、その管理する債権の時効消滅を防止する必要があります。そして、消滅時効が進行する場合にその完成を阻止して時効消滅を防止する制度として消滅時効の中断が存在し、民法は、①請求②差押え・仮差押え・仮処分③承認を消滅時効の中断事由としています。
このような消滅時効を中断させる措置を講じることによって、債権の時効消滅を防止することが出来ますが、以上の中断事由によって消滅時効の中断の効力が生じた場合でも、中断事由が終了したときから消滅時効は再び進行しますので、再度の消滅時効の中断が必要になる場合があります。
この点、債務者に対して金銭の支払いを求める訴訟を提起して給付判決を得ている債権者が消滅時効の中断のために再度訴訟を提起することが可能であるのか疑問が生じますが、判例は「確定判決アリタルトキト雖他ニ時効中断ノ方法ナキトキハ再訴ノ提起ハ之ヲ許スヘキモノトス」として給付判決を得ている場合でも再度訴訟を提起することは可能としています(大審院昭和6年11月24日)。債権の時効管理においては、その消滅時効期間や起算点に加えて、中断事由についても十分な理解が必要となります。
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権利の実現と仮差押え・仮処分(民事保全制度)
裁判で勝訴判決を得ると強制執行が可能になりますが、それまでに財産を処分されたり隠されたりするとこの強制執行が難しくなってしまいます。また、判決が出るのを待っていたのでは生活に困窮してしまうような場合も生じます。そこで、このような事態を避けるために民事保全制度が存在します。この民事保全制度は、
①金銭債権を保全するために行う仮差押え
②特定物についての給付請求権を保全するために特定物の処分や占有の移転を禁止したりする係争物に関する仮処分
③著しい損害の発生や急迫の危険を避けるために争いがある権利関係について暫定的な法律上の地位を定める仮の地位を定める仮処分に分けることが出来ます。
問題となっている権利・権利関係やその目的に応じてそのいずれかを利用することになります。上記の機能に加えて、紛争の早期解決を促すこともありますので、その利用価値は極めて大きいと言うことが出来ます。
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