Archive for the ‘個人法務’ Category
民事訴訟のIT化のための民事訴訟法の改正
民事訴訟のIT化を図る改正民事訴訟法が令和4年5月18日に成立しました。
令和4年5月19日付読売新聞が「民事裁判 前面IT化へ」という表題でこのことを報じています。記事は、この改正の内容について「提訴から判決までの手続きをオンライン上でできるようにし、裁判の迅速化や利便性の向上を図る。改正法に基づき、訴状のインターネット提出や口頭弁論を「ウェブ会議」で行うことが可能になる。訴訟記録を原則電子化し、当事者は裁判所のサーバーにアクセスして、判決などを閲覧・ダウンロードできるようにする規定も盛り込まれた」と説明しています。
なお、「弁護士をつけない「本人訴訟」では引き続き、紙での提訴などが可能」とされています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花
労働者の経歴詐称
企業が労働者として採用するかどうかを判断するため、対象者に対しその最終学歴、職歴、犯罪歴などの申告を求めることがあるところ、対象者によるこれらの経歴の詐称が問題となることがあります。
この経歴詐称に関し、東京地裁昭和54年3月8日判決は、労働者の学歴あるいは職歴は労働者の提供する労働力自体の内容、性質、能力等を評価するための重要な要素であるから、労働契約の締結に際し使用者から申告を求められた場合、労働者はこれについて正確に申告すべき信義則上の義務を負うとしています。
なお、大学を除籍中退していた者が履歴書に高卒と記載した事案について、最高裁平成3年9月19日判決は、このような場合も経歴詐称となりうるという前提を取って判断をしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花
予告なしの解雇の効力
使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をし、30日前に予告をしない使用者は、労働者に対し、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない(労働基準法20条1項)とされています。
このように使用者が労働者を解雇しようとする場合に予告期間を置くことや予告手当の支払を要求されているにもかかわらず、本条所定の予告期間を置かず、また、予告手当の支払いをしないで使用者が労働者に対し解雇の通知をした場合について、最高裁昭和35年3月11日判決は、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、通知後本条所定の30日の期間を経過するか又は通知後に本条所定の予告手当の支払いをしたときのいずれかのときから通常解雇の効力が生ずるとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花
営業譲渡と労働契約の承継
労働契約は使用者と労働者との間で締結されるところ、営業が譲渡された場合に労働契約が承継されるかどうかが問題となることがあります。
この問題に関する判例例を見ると、東京高裁平成17年5月31日判決が、営業譲渡に伴い譲渡人がその従業員と締結していた労働契約が当然に譲受人に承継されるものではないから、労働契約が営業譲渡に伴い譲渡人から譲受人に承継されるか否かは譲受人と譲渡人との間でその旨の特別の合意が成立しているか否かによるとし、譲渡人と譲受人の間の合意のうち①賃金等の労働条件を相当程度引き下げる改訂に異議のある従業員については個別に排除する②この目的を達成するために従業員全員に退職届を提出させて譲受人が再雇用するという形式を採り、退職届を提出しない従業員は譲渡人の解散を理由に解雇する旨の合意部分は民法90条に反するものとして無効となるとしています(最高裁平成18年5月16日決定は、この判断をを支持しています)。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花
定年後の再雇用
労働契約の成立する場合として新規採用の他に再雇用の場合があります。
この再雇用が問題となった裁判例を見ると、労働契約の成立時期に関し最高裁昭和51年3月8日判決は、定年年齢到達後も「業務の都合によって会社が特に必要と認めた場合は嘱託として再雇用することがある」との就業規則の規定の下に定年退職後も特段の欠格事由のない限り当該労働者を直ちに嘱託として再雇用するとの労働慣行が確立している場合、営業成績や健康状態で特段の欠格事由のない労働者については定年退職した日の翌日に再雇用契約が成立したものといえるとしています。
なお、65歳までの雇用確保措置を定める高年法9条に関し、大阪高裁平成21年11月27日判決は、同法の改正経緯を踏まえると、事業主が転籍型の継続雇用制度を採用する場合、事業主と転籍先との間に同一企業グループの関係が存在するとともに転籍後も高年齢者の雇用が確保されるような関係性が認められなければならないと解するのが相当である。これらの関係性が認められる本件制度は同条1項2号で定める継続雇用制度に適合するものであり、事業主に同号違反を理由とした債務不履行や不法行為は成立しないとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花
労働者に対する降格・減給
賃金は労働者の生活の糧として労働者に大きな影響を及ぼします。そのため、賃金にかかわる降格・減給が争いになることがあります。
この降格・減給に関する裁判例を見ると、東京地裁平成12年1月31判決は、備っていると判断された職務遂行能力が営業成績や勤務評価が低い場合にこれを備えないものとして降格させることを予定していない一般的な職能資格制度の下では、労働者の自由意思に基づいてなされた同意等の法的根拠なく、使用者が降格や職能給の減額措置を行うことはできないとしています。
また、東京地裁平成16年3月31日判決は、労働契約の内容として成果主義による基本給の降給が定められている場合であっても降給が許容されるためには、さらに降給が決定される過程に合理性があること、その過程が従業員に告知されてその言い分を聞く等の公正な手続が存することが必要である。降給の仕組み自体に合理性と公正さが認められその仕組みに沿った降給の措置が採られた場合には、個々の従業員の評価の過程に特に不合理ないし不公正な事情が認められない限り、当該降給の措置は当該仕組みに沿って行われたものとして許容されるとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花
採用の内々定とその取消
企業による採用において内定の前の状態として内々定というものが問題となることがあります。
この内々定の取消に関する裁判例として、福岡地裁平成22年6月22日判決は、内々定通知によって始期付解約権留保付労働契約が成立したとはいえないが、会社が行った内々定の取消通知は、経営環境の急速な悪化により新規学卒者の採用計画を取り止めるなどという極めて簡単なものであり、その後も会社が誠実な態度で対応をしたとはいい難いことからすると、本件内々定取消は、労働契約締結過程における信義則に反し、内々定者の就労への期待利益を侵害する不法行為を構成するとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花
出向命令・復帰命令に対する労働者の同意の要否
労働者の人事異動として、元の企業に在籍したまま他の企業で働く出向があるところ、この出向命令や出向からの復帰命令に対する労働者の同意の要否という問題があります。
この問題に関する裁判例を見ると、復帰命令に関し、最高裁昭和60年4月5日判決は、出向元が当該労働者に命ずる復帰は、指揮監督の変更を伴うが出向元での労務提供という当初の雇用契約の合意内容にかなうところであるから、これについては将来再び出向元に復帰することがない旨の合意が成立していたなどの特段の事由のない限り、当該労働者の同意を得る必要はないとしています。
また、出向命令に関し、最高裁平成15年4月18日判決は、入社時及び出向発令時の就業規則に社外勤務条項(出向条項)があり、また当該労働者に適用される労働協約にも同様の社外勤務条項(出向条項)があり、さらに労働協約である社外勤務協定において出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられていたという事情の下では、会社は労働者の個別的同意なしに出向を命じることができるとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花
試用期間と本採用の拒否
企業による労働者の採用において試用期間と本採用の拒否という問題があります。
この問題に関する裁判例を見ると、最高裁昭和48年12月12日判決(三菱樹脂事件)が、一定の合理的な期間解約権を留保する試用期間を定めることも合理性をもち有効であるとした上で、いったん特定企業との間で試用期間を付して雇用関係に入った者は、当該企業との雇用関係の継続の期待の下に他企業への就職の機会と可能性を放棄したものであることを考慮すると、右の留保解約権の行使は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認される場合にのみ許されるとしています。なお、契約の期間の定めか試用期間であるかが問題となった事案について、最高裁平成2年6月5日判決は、労働者の新規採用に当たり、その適性を評価・判断するために雇用契約に期間を設けた場合に、右期間の満了により契約が当然に終了する旨の明確な合意が成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく試用期間であると解するのが相当であるとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花
採用内定とその取消の可否
企業による労働者の採用過程にはいくつかの段階があるところ、いわゆる採用内定という段階の法的性質やその取消の可否が問題となることがあります。
この問題に関する裁判例を見ると、最高裁昭和54年7月20日判決は、本件採用内定通知と誓約書の提出があいまって、企業と採用内定者との間に、就労の始期を大学卒業直後とし、それまでの間誓約書記載の取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したといえるとした上で、右の留保解約権に基づく採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であってこれを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できるものに限られるとしています。そして、最高裁昭和55年5月30日判決は、市公安条例等違反の現行犯として逮捕され、起訴猶予処分を受ける程度の違法行為をした事実が判明しこのことを理由になされた採用内定の取消しは、解約権留保の趣旨、目的に照らして社会通念上相当として是認することができるとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)
当事務所内で咲く花