Archive for the ‘個人法務’ Category

株主総会決議の不存在の確認と決議無効の確認

2016-12-12

 株式会社の株主総会では会社の組織、運営などについて決議をしますが、議事録に総会が開催され決議が行われたと記載されていても実際には招集手続が一切なかったような場合、総会決議は不存在となります。

 そして、会社法は、株主総会の決議について、決議が存在しないことの確認を訴えによって請求できる(会社法830条1項)とし、最高裁平成2年4月17日判決は、取締役を選任する旨の株主総会決議が存在するとはいえない場合には、当該取締役によって構成される取締役会は正当な取締役会とはいえず、その取締役会で選任された代表取締役も正当に選任されたものではなく株主総会の招集権限を有しないので、この代表取締役が招集した株主総会において取締役を選任する旨の決議がなされたとしても、特段の事情がない限り、法律上存在しないものとしています。

 また、株主総会の決議の内容が法令に違反することを理由として決議が無効であることの確認を訴えによって請求できます(会社法830条2項)。

 そして、この確認の利益に関して、東京地裁平成26年11月20日判決は、当該決議の法的効力に関して疑義があり、これが前提となって当該決議から派生した法律上の紛争が現に存在する場合において、当該決議の法的効力を確定することが上記紛争を解決し当事者の法律上の地位ないし利益が害される危険を除去するために必要かつ適切であるときは確認の利益があるとしています。


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少額の紛争を簡易迅速に解決するための少額訴訟手続の特徴

2016-12-05

 訴額が60万円以下の金銭の支払請求事件については少額訴訟による審理と裁判を求めることが出来ます(民訴法368条1項)。

 少額訴訟は、比較的少額の紛争を簡易迅速に解決するための制度です。

 少額訴訟においては、原則として最初の期日の前かその期日にすべての攻撃・防御の方法を提出しなければならず(民訴法370条2項)、原則として1回の期日で審理を終了し(民訴法370条1項)、即日判決の言渡しをします(民訴法374条)。そして、この判決については異議の申し立てをすることはできますが控訴をすることはできないとされています(民訴法377条、378条1項)。

 裁判所は、最初の口頭弁論の期日の呼び出しの際に当事者に対し少額訴訟による審理及び裁判の手続の内容等を教示します(規則222条)、また、この手続きの利用は原告の一方的な意思で決まることから、法は、少額訴訟手続の審理を望まない被告に対し、一定の期限までに通常訴訟での審理・判決を求める旨の申述をすることを認めています(民訴法373条)。


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遺言による遺留分の放棄の依頼

2016-11-28

   相続が開始する前の相続の放棄は無効とされますが、相続開始前の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受ければ有効です(民法1043条第1項)。そして、相続が開始する前に遺留分放棄許可を申し立てられた家庭裁判所は、その申立てが自由な意思に基づくものかどうかなどを考慮して許可あるいは却下の審判をします。

   また、相続が開始した後は家庭裁判所の許可を要することなく遺留分を放棄することが出来ます。そこで、相続が開始した後に争いになるのを避けるため、遺言で遺留分を放棄するよう求めることがありますが、遺言に放棄を強制する効力はないことから、このような遺言は、遺言者の希望を述べるという意味を持つにとどまります。

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遺言による遺産分割の方法の指定・相続分の指定・遺贈

2016-11-21

 遺言をすることによって、遺産分割の方法の指定や相続分の指定、財産上の利益を与える遺贈をすることが出来ますが、「Aという財産を甲に、Bという財産を乙に相続させる」といった遺言が行われた場合、それが遺贈か相続分の指定か遺産分割の方法の指定なのかが問題となることがあります。

 この点に関する裁判例を見ると、東京地裁昭和41年6月25日判決は、特別の事情のない限り遺産分割の方法の指定であって遺贈ないし相続分の指定ではないと判示しています。

 また、最高裁平成3年4月19日判決は、遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特別の事情のない限り、遺贈と解すべきではなく、特定の相続人に特定の財産を取得させるべきことを指示する遺産分割の方法を定めたものであり、もし、その特定の財産の価額が特定の相続人の法定相続分の割合を超えるときは、相続分の指定を伴う遺産分割の方法を定めたものと解するのが相当であると判示しています。

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法定後見と任意後見

2016-11-07

   判断能力に問題がある人を保護する制度として成年後見制度があり、この制度は法定後見と任意後見に分けることが出来ます。法定後見は、民法が定めるもので後見・保佐、補助という類型があり、家庭裁判所の審判によって開始します。

   一方、任意後見は、任意後見契約に関する法律(任意後見契約法)が定めるもので委任者が将来に備えてあらかじめ受任者に代理権を与え自らの保護の方法等を指定しておく契約です。

   法定後見と任意後見の優劣については、任意後見契約が優先されることになっています。任意後見契約を締結した人に法定後見が申し立てられた場合には「本人の利益のため特に必要であると認められるとき」に限り法定後見の審判が行われることになります(任意後見契約法4条1項2号)。

   そして、法定後見が「特に必要である」と認められる場合としては、任意後見契約法4条1項3号ロ、ハ所定の事由がある場合や任意後見受任者の適格性に問題がある場合などが考えられます。


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単元株制度

2016-10-17

 単元株制度とは、定款で決めた一定数を1単元とし、1単元に満たない株式については株主権を制限する制度です。

 単元未満株式には議決権などが認められません。株主に関する事務管理のコストを削減するという観点から株式の単位を調整するものです。

 これと類似するものとして、平成13年に法が改正される前に単位株制度が存在しましたが、単位株制度は株式の単位を引き上げるためのものであるのに対し、単元株制度はそのようなものではないと説明されています。


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株式譲渡の自由と従業員持株制度

2016-09-20

   従業員に対する福利厚生や愛社精神の育成などのために自社の株式を有利な条件で従業員に保有させる従業員持株制度を導入している企業がありますが、株式の自由な譲渡を制限し、退職時には株式を一定額で会社に譲渡すると定められているのが通常であるため、このような譲渡制限契約が株式会社において株式の譲渡は原則として自由(会社法127条)とされていることや公序良俗(民法90条)に違反しないかが問題となります。

   この点につき裁判例を見ると、このような契約を有効としているものがほとんどのようです。従業員が制度の趣旨を了解し毎年8から30%の割合による配当を受けていた事案に関して最高裁平成7年4月25日判決は、退職の際には額面額で取得した株式を額面額で取締役会の指定する者に譲渡するとの合意は、商法204条1項(現会社法127条)や公序良俗に反しないとしています。

   また、日刊新聞を発行する非公開会社の事案に関して最高裁平成21年2月17日判決は、株式の保有資格者を原則として現役の従業員等に限定し、個人的理由により株式を売却する必要が生じたときなどには持株会が額面額で買い戻すとの定めは、その内容に合理性がないとは言えないとして会社法127条や公序良俗に反しないとしています。

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消費者トラブルを救済するための消費者裁判手続特例法

2016-09-12

   消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(消費者裁判手続特例法)が平成28年10月1日から施行されます。

   消費者庁によると、平成27年度の全国の消費生活センターなどに寄せられた消費者トラブルに関する相談件数は約93万件ありましたが、相談者の4割が被害回復のための行動に出ず、訴訟を提起した人は1%に満たなかったところ、この消費者裁判手続特例法により被害者に代わって国が認定する「特定適格消費者団体」が訴訟を提起して損害賠償を請求出来るようになります。

   この裁判は、「共通義務確認訴訟」という第1段階と「対象債権の確定手続」という第2段階に分けて行われます。第1段階では、「特定適格消費者団体」が訴訟を提起して裁判所が企業に賠償義務があるかどうかを判断します。そして、「義務あり」と判断されると「特定適格消費者団体」が被害者に対しホームページなどで裁判への参加を呼びかけて裁判所がそれぞれに対する賠償額を決めます。


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上場会社における一般株主を保護する独立役員

2016-08-29

   独立して経営監督機能を発揮することを期待されるものとして社外取締役が存在しますが、東京証券取引所(東証)では、一般株主保護の見地からより強い独立性を求めるため、上場会社に対し、一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役または社外監査役である独立役員を1名以上確保することを企業行動規範の遵守すべき事項としています。また、当該企業行動規範の遵守状況を確認するため、東証への独立役員届出書の提出を求めています。


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撮影場所  –  地下鉄駅内  (ワシントンD.C.  コロンビア特別区)

資格外活動と刑事処分・退去強制処分

2016-08-01

   出入国管理及び難民認定法(入管法)の別表第1に記載された「技術・人文知識・国際業務」「技能」などといった専門性のある就労活動をすることを予定する在留資格を認められた外国人による当該在留資格が予定していない就労活動や「留学」「家族滞在」などといった就労を予定していない在留資格を認められた外国人による就労活動(資格外活動)は、刑事処分や退去強制処分の原因となります。

   ①   入管法70条1項4号、73条により、上記のような資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる者には3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金、専ら行っていると明らかに認められないが資格外活動を行った者には1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金が科されます(懲役等と罰金が併科されることもあります)。

   ②   資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる場合には、退去強制事由にも該当します(入管法24条4号イ)。また、専ら行っているとまでは認められない場合でも禁錮以上の刑に処せられた場合には、退去強制事由に該当します(入管法24条4号ヘ)。


When a foreign national intends to engage in an activity to operate profit-making businesses or an activity for receiving consideration other than the activity permitted under his/her status of residence, he/she must obtain permission to engage in an activity other than that permitted under* the status of residence previously granted, in advance.

Note:
The following passage was quoted from a Immigration Bureau of Japan web site: (https://www.isa.go.jp/en/).

*See the following ‘Permission to Engage in an Activity Other Than That Permitted by the Status of Residence Previously Granted’ Immigration Bureau of Japan web site: (https://www.isa.go.jp/en/applications/guide/nyuukokukanri07_00045.html) for further information.


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