Archive for the ‘お知らせ’ Category

離婚に伴う財産分与と退職金

2019-01-28

 夫婦が離婚する場合、婚姻中に形成した財産が財産分与の対象となりますが、将来支給される退職金がこの財産分与の対象となるのか、なる場合にその支払時期はいつになるのかという問題があります。

 この問題に関する裁判例を見ると、東京高裁平成10年3月13日決定は、「将来支給を受ける退職金であっても、その支給を受ける高度の蓋然性が認められるときには、これを財産分与の対象とすることができる」とした上で、退職金が支給されたときに支払うものとしていますが、東京地裁平成11年9月3日判決は、「中間利息(法定利率年5パーセント)を複利計算で控除して現在の額に引き直し、その5割に相当する額を」即時に支払うものとしています。



【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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養育費の変更

2019-01-21

 夫婦は、離婚した後も子を扶養する義務を負い(民法877条1項)、当事者間の合意、調停、審判等で子の養育費が決められることがありますが、事情の変更によって決められた養育費が変更されることがあります。

 大阪家裁平成元年9月21日審判は、「合意後に事情の変更を生じたときは・・・その内容の変更を求め、協議が調わないときはその変更を家庭裁判所に請求することができる」として合意によって定めた額を変更した額の支払請求を認めています。

また、東京家裁平成2年3月6日審判は、「本件公正証書で成立した本件合意事項に基づく養育費の支払ないし負担義務を現在もそのまま」「負わせることは、これが今後も相当長期間にわたる継続的給付を内容とするものであることにも照らした場合、客観的に相当性を失した状況になっていることは否定し得ない」として、東京家裁平成18年6月29日審判は、「養育費は、その定期金としての本質上、毎月ごとに具体的な養育費支払請求権が発生するものであるから、そもそも本件期限の利益喪失約定に親しまない性質のものというべきであり、また、養育費の庭訓としての本質から生じる事情変更による減額変更が、本件期限の利益喪失約定により許されなくなくなる理由もない」として公正証書によって定めた養育費の減額を認めています。



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不動産の借主による迷惑行為

2019-01-15

 不動産の賃貸借、使用貸借における借主の迷惑行為によってトラブルになることがあります。

 借主の迷惑行為が問題となった裁判例を見ると、野鳩の餌付け・飼育による障害に基づく損害の賠償請求等が問題となった事案について、東京地裁平成7年11月21日判決は、「区分所有者の共同の利益に反する行為であり、その行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難な場合に当たる」として損害賠償請求を認めています。

 また、騒音等の迷惑行為による契約の解除、競売請求等が問題となった事案について、東京地裁平成17年9月13日判決は、被告が「本件専有部分等を所有し続けることは、必然的に本件マンションの区分所有者の共同の利益に反することになる」「区分所有権及び敷地利用権の競売以外の方法によってはその障害を除去して共用部分の維持を図ることが困難である」として競売請求等を認めています。



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管理組合の役員に対する誹謗中傷と共同の利益に反する行為

2019-01-07

 マンション等の区分所有者が複数存在する不動産では「区分所有者の共同の利益に反する行為」(区分所有法6条1項)について差止請求(同法57条)等が考えられるところ、管理組合の役員に対する誹謗中傷がこの「区分所有者の共同の利益に反する行為」にあたるかどうかが問題となったことがあります。

 最高裁平成24年1月17日判決は、「マンションの区分所有者が、業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し、マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為は、それが単なる特定の個人に対するひぼう中傷等の域を超えるもので、それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には、法6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある」と判示しています。



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2019 新年のご挨拶

2019-01-01

 
 新年、明けましておめでとうございます。
皆様におかれましてはつつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 社会の変化に伴って生じてきた新たな法的ニーズに適切・迅速に対応して社会に貢献できるように、ひらま総合法律事務所は、今後も研鑽を続けます。

【国際社会への貢献】
 グローバル化が進む中、国際的なルール作りのための法改正や海外事業の拡大、海外在留の邦人や在留外国人がかかわる問題などに適切に対応するためには国内法についての理解だけにととどまらず外国の法制度についての知識・理解が必要になってきます。
 ひらま総合法律事務所では、海外の法制度やグローバル化に対応するための法改正に注目し、これらに関する情報を積極的に発信していきます。

【国内経済への貢献】
 日本経済の再興に向けての経済政策の実施や2020年の東京でのオリンピック・パラリンピックの開催決定等が企業に新たなビジネスチャンスをもたらすことが期待されますが、一方で、企業活動に伴う様々な法的リスクの回避・低減が重要になってきます。
 ひらま総合法律事務所では、法的な視点でビジネスに対する支援を行い、活躍する経営者や起業を目指す皆さんのニーズに応えます。

【国内社会への貢献】
 個人の日常生活においても相続に関する争い、家族に関する問題、労働問題、住居に関するトラブル、逮捕、犯罪による被害など様々な法的問題に直面することがありますが、法律問題の専門家によるサポートを受けることでこのような法的トラブルを解決出来ることがあります。
 ひらま総合法律事務所では、法的なサポートを行ってこのような法的トラブルの解決のお手伝いをします。

ひらま総合法律事務所
所長弁護士 平 間 民 郎
職員一同

2018-2019 冬季休業のお知らせ Schedule the winter holidays

2018-12-27

当事務所の冬季休業日を以下のとおりお知らせします。

平成30年12月27日 ~ 平成31年1月4日まで 終日休業

よろしく、お願い申し上げます。

Our office will be closed for winter holidays during the following period:

From December 27, 2018 to January 4, 2019.

不動産の利用と民法570条の瑕疵担保責任

2018-12-25

 購入したマンション等の不動産に瑕疵があった場合、民法570条の責任が問題になるところ、不動産の利用に関する迷惑行為が同条の「瑕疵」にあたるかどうかが問題になったケースがあります。


 マンションの区分所有者の関係者がマンションに出入りしていた事案につき、東京地裁平成9年7月7日判決は、「建物は継続的に生活する場であるから、その居住環境として通常人にとって平穏な生活を乱すべき環境が売買契約時において当該目的物に一時的ではない属性として備わっている場合には、同条にいう瑕疵にあたる」とした上で、関係者「を多数出入りさせ、更に夏には深夜にわたり大騒ぎし、管理費用を長期間にわたって滞納する等、通常人にとって明らかに住み心地の良さを欠く状態に至っているものと認められ、右状態は、管理組合の努力によっても現在までに解消されていないことに加え、本件売買契約締結前の経緯に照らし、右事情はもはや一時的な状態とはいえないから、本件事情は本件不動産の瑕疵である」と判示しています。



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不動産の管理業者とのトラブル

2018-12-17

 マンション等の不動産の管理を管理業者に依頼することがありますが、この管理業者との間でトラブルが生じることがあります。

 漏水事故について管理業者の債務不履行責任が問題になった事案について、 東京地裁平成5年1月28日判決は、給水管が「本件管理契約にいう共有部分ないし共用施設に当たらない」として管理会社の責任を否定しています。

 一方、管理組合が管理業者との間で締結されたエレベーターの保守契約を契約期間の途中に解除した事案について、東京地裁平成15年5月21日判決は、「本件解約に伴って発生した不利益は、事務処理とは別の報酬の喪失に外ならず・・・本件解約は「不利な時期」においてなされた場合に当たらない」として
管理業者の請求を否定しています。



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相続放棄の申述と意思表示の瑕疵

2018-12-10

 相続人は、相続を承認するか放棄するかを選ぶことができますが、この相続の放棄につき錯誤等があった場合にその効力が否定されるかどうかが問題となります。

 この点、最高裁昭和40年5月27日判決は、「相続放棄は家庭裁判所がその申述を受理することによりその効力を生ずるものであるが、その性質は私法上の財産法上の法律行為であるから、これにつき民法95条の規定の適用があることは当然である」と判示してその効力が否定される可能性を認め、また、福岡高裁平成10年8月26日判決は、「相続放棄の申述に動機の錯誤がある場合、当該動機が家庭裁判所において表明されていたり、相続の放棄により事実上および法律上の影響を受ける者に対して表明されているときは、法律行為の要素の錯誤として相続放棄は無効になる」として要素の錯誤があった場合は無効になると判示しています。



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成年被後見人が他人に損害を与えた場合における成年後見人の責任

2018-12-03

 責任無能力者が第三者に与えた損害について、責任無能力者を監督する義務を負う者が賠償責任を負う(民法714条1項)とされているところ、成年被後見人が第三者に損害を与えた場合に成年後見人がこの責任を負うかどうかが問題となります。

 そこで、この問題に関する裁判例を見ると、鉄道駅構内に立ち入って轢死した認知症高齢者の遺族に対し鉄道会社が損害賠償を請求した事案について、最高裁平成28年3月1日判決は、「保護者や成年後見人であることだけでは直ちに法定の監督義務者に該当するということはできない」とした上で、「法定の監督義務者に該当しない者であっても、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、衡平の見地から法定の監督義務を負う者と同視してその者に対し民法714条に基づく損害賠償責任を問うことができるとするのが相当であり、このような者については、法定の監督義務者に準ずべき者として、同条1項が類推適用される」と判示しています。

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