Archive for the ‘お知らせ’ Category
住宅等の建物に瑕疵がある場合における責任追及
住宅等の建物について漏水、有害物質の発生等といった不具合がある場合、契約関係にある当事者間においては瑕疵担保責任(売買契約であれば民法570条、請負契約であれば民法634条以下)を、契約関係にない当事者間においては不法行為責任(民法717条等)を追及することが考えられますが、当該不具合が条文でいうところの「瑕疵」にあたるかどうかが問題となります。
まず、売買契約における「瑕疵」に関する裁判例を見ると、大審院昭和8年1月14日判決が「売買ノ目的物ガアル性能ヲ有スルコトヲ売主ニオイテ特ニ保証シタルニカカワラズ之ヲ具備セザル場合ハ瑕疵ナルモノトスル」とし、最高裁平成22年6月1日判決が「売買契約の当事者間において目的物がどのような品質・性能を有することが予定されていたかについては、売買契約締結当時の取引観念をしんしゃくして判断すべき」と判示しています。
次に、請負契約における「瑕疵」に関する裁判例を見ると、最高裁平成15年10月10日判決が「本件請負契約においては、上告人及び被上告人間で、本件建物の耐震性を高め、耐震性の面でより安全性の高い建物にするため、南棟の主柱につき・・・を使用することが、特に約定され、これが契約の重要な内容になっていたものというべきである。そうすると、この約定に違反して、・・・を使用して施工された南棟の主柱の工事には、瑕疵がある」と判示しています。
最後に、民法717条の不法行為(土地工作物責任)における「瑕疵」に関する裁判例を見ると、最高裁平成19年7月6日判決が「建物は、その利用者や隣人、通行人等の生命、身体又は財産を危険にさらすことがないよう基本的な安全性を備えていなければならず」とし、最高裁平成23年7月21日判決が「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵とは、居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する」と判示しています。
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ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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2016年10月19日 公布された法令に関するお知らせ
- 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律(平成28年法律 第75号)
過去に公布された法令に関するお知らせ 取扱分野>>立法の動向>>会社法等
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当ウェブサイト内のサイトページ追加のお知らせについて
当ウェブサイト内の「取扱分野」のカテゴリー内の「裁判外」において、以下のサイトページを追加したのでお知らせします。
公害等紛争ADR(裁判外紛争解決手続)に関する悩み
URL: https://hirama-law.jp/service/pollution-dispute/
建設工事紛争ADR(裁判外紛争解決手続)に関する悩み
URL: https://hirama-law.jp/service/construction-dispute/
住宅紛争ADR(裁判外紛争解決手続)に関する悩み
URL: https://hirama-law.jp/service/housing-dispute/
保険紛争ADR(裁判外紛争解決手続)に関する悩み
URL: https://hirama-law.jp/service/insurance-dispute/
今後とも、本サイトをご愛嬌いただけますよう心からお願い申し上げます。
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単元株制度
単元株制度とは、定款で決めた一定数を1単元とし、1単元に満たない株式については株主権を制限する制度です。
単元未満株式には議決権などが認められません。株主に関する事務管理のコストを削減するという観点から株式の単位を調整するものです。
これと類似するものとして、平成13年に法が改正される前に単位株制度が存在しましたが、単位株制度は株式の単位を引き上げるためのものであるのに対し、単元株制度はそのようなものではないと説明されています。
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再入国の許可・みなし再入国の許可
日本に在留する外国人が再び日本に入国する予定で出国するときにあらかじめ再入国の許可を得るという再入国許可制度があります(出入国管理及び難民認定法26条)。そこで、日本に在留する外国人が再び日本に入国する予定で出国する場合、出国前に地方入国管理局に対し申請書、旅券等を提出して再入国許可を申請します。
また、平成24年7月から、有効な旅券、在留カードを有する中長期在留の外国人が再入国の意図を表明して出国すれば再入国許可を得たものとみなされるみなし再入国許可という制度の運用が開始されました(出入国管理及び難民認定法26条の2)。
ただし、「1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある」といった上陸拒否事由に該当する(出入国管理及び難民認定法5条1項4号)場合には、あらかじめ再入国許可を申請して許可を受けることが必要(上陸拒否の特例、出入国管理及び難民認定法5条の2)で、上陸拒否の特例に該当すると判断されるとこの特例に該当する旨の通知書が交付されます。
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労働者の健康診断
職場における労働者の健康と安全を確保し快適な職場環境の形成を促進することを目的とするものとして労働安全衛生法(労安衛法)が存在し、この法律は労働者の健康診断について規定していますが、健康診断の受診が労働契約上労働者の義務となるかという問題があります。
この点に関する裁判例を見ると、最高裁平成13年4月26日判決が地方公務員である公立学校の教員につき、教職員の保健のみならず児童生徒の保健にも大きな影響を与えることやその一内容であるエックス線検査が教職員個人の保護に加え学校の結核からの防衛を目的にしていることを理由として結核予防法(7条1項)及び労安衛法66条5項に基づく受診義務を認めています。
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日本に居住する外国人夫婦の離婚
日本に住んでいる外国人の夫婦が日本で離婚をしようとする場合、日本の裁判所を利用することが出来ますが、この場合に適用される法律(準拠法)が問題となります。
離婚の成立要件について適用される法律は、
① その夫婦の本国法が同じであるときはその本国法(共通本国法)
② 共通本国法は無いがその夫婦の常居所地法が同じであるときはその常居所地法(共通常居所地法)
③ 共通本国法、共通常居所地法のいずれも無いときはその夫婦と最も密接な関係のある地の法律(密接関連地法)となります(法の適用に関する通則法25条、27条)。
また、離婚の方式について適用される法律は、上記の離婚の成立要件について適用される法律か行為地法となります(法の適用に関する通則法34条)。
Divorce between foreign nationals in Japan – Applicable Law of Divorce
If one party is a Japanese residing in Japan, the Japanese civil code applies. How about a couple who are both foreign nationals? Article 27 applied the same provisions as in Article 25, regarding the effectiveness of marriage. According to article 25,
(1) If both party’s home country law is the same, then according that law applies.
(2) If there is no such law, if the couple have a common place of domicile, the law of that country applies.
(3) If neither the above are applicable, then the law of the country the couple has the closest tie to shall apply.
Therefore, if for example, a couple of differing nationalities resides in Japan, even if neither one may be a Japanese national, the Japanese civil code will apply. In cases such as this where the Japanese civil code is applicable, divorce by consent can take place. *Kobori, S. 2008. Living with the Japanese Law A Guide for Foreign Nationals in Japan Q&A107 The 3er edition. Japan: T Sakai.
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株式譲渡の自由と従業員持株制度
従業員に対する福利厚生や愛社精神の育成などのために自社の株式を有利な条件で従業員に保有させる従業員持株制度を導入している企業がありますが、株式の自由な譲渡を制限し、退職時には株式を一定額で会社に譲渡すると定められているのが通常であるため、このような譲渡制限契約が株式会社において株式の譲渡は原則として自由(会社法127条)とされていることや公序良俗(民法90条)に違反しないかが問題となります。
この点につき裁判例を見ると、このような契約を有効としているものがほとんどのようです。従業員が制度の趣旨を了解し毎年8から30%の割合による配当を受けていた事案に関して最高裁平成7年4月25日判決は、退職の際には額面額で取得した株式を額面額で取締役会の指定する者に譲渡するとの合意は、商法204条1項(現会社法127条)や公序良俗に反しないとしています。
また、日刊新聞を発行する非公開会社の事案に関して最高裁平成21年2月17日判決は、株式の保有資格者を原則として現役の従業員等に限定し、個人的理由により株式を売却する必要が生じたときなどには持株会が額面額で買い戻すとの定めは、その内容に合理性がないとは言えないとして会社法127条や公序良俗に反しないとしています。
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消費者トラブルを救済するための消費者裁判手続特例法
消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(消費者裁判手続特例法)が平成28年10月1日から施行されます。
消費者庁によると、平成27年度の全国の消費生活センターなどに寄せられた消費者トラブルに関する相談件数は約93万件ありましたが、相談者の4割が被害回復のための行動に出ず、訴訟を提起した人は1%に満たなかったところ、この消費者裁判手続特例法により被害者に代わって国が認定する「特定適格消費者団体」が訴訟を提起して損害賠償を請求出来るようになります。
この裁判は、「共通義務確認訴訟」という第1段階と「対象債権の確定手続」という第2段階に分けて行われます。第1段階では、「特定適格消費者団体」が訴訟を提起して裁判所が企業に賠償義務があるかどうかを判断します。そして、「義務あり」と判断されると「特定適格消費者団体」が被害者に対しホームページなどで裁判への参加を呼びかけて裁判所がそれぞれに対する賠償額を決めます。
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就労可能な在留資格への変更
外国人の在留資格には、事業を行って収入を得たり報酬を得たりする就労が可能な「技術・人文知識・国際業務」などと就労が予定されていない「短期滞在」「留学」「家族滞在」などがありますが、就労が予定されていない在留資格から就労が可能な在留資格への変更が問題となることがあります。
この点、「短期滞在」という在留資格から他の在留資格への変更は、やむを得ない特別の事情がなければ許可しないということになっています(出入国管理及び難民認定法20条3項ただし書)。そのため、実務上、「短期滞在」から他の資格への変更は、ほとんど認められていないようです。
また、「短期滞在」以外の在留資格から他の在留資格への変更は、変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することが出来るとされています(出入国管理及び難民認定法20条3項)。そして、この判断に関するものとして「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」があります。
なお、在留資格の変更で就労することが出来ない場合でも、希望する在留資格の「在留資格認定証明書」(出入国管理及び難民認定法7条の2)を取得してから再来日して希望する就労をすることが考えられます。
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