Archive for the ‘不動産’ Category

管理組合の役員に対する誹謗中傷と共同の利益に反する行為

2019-01-07

 マンション等の区分所有者が複数存在する不動産では「区分所有者の共同の利益に反する行為」(区分所有法6条1項)について差止請求(同法57条)等が考えられるところ、管理組合の役員に対する誹謗中傷がこの「区分所有者の共同の利益に反する行為」にあたるかどうかが問題となったことがあります。

 最高裁平成24年1月17日判決は、「マンションの区分所有者が、業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し、マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為は、それが単なる特定の個人に対するひぼう中傷等の域を超えるもので、それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には、法6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある」と判示しています。



【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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不動産の利用と民法570条の瑕疵担保責任

2018-12-25

 購入したマンション等の不動産に瑕疵があった場合、民法570条の責任が問題になるところ、不動産の利用に関する迷惑行為が同条の「瑕疵」にあたるかどうかが問題になったケースがあります。


 マンションの区分所有者の関係者がマンションに出入りしていた事案につき、東京地裁平成9年7月7日判決は、「建物は継続的に生活する場であるから、その居住環境として通常人にとって平穏な生活を乱すべき環境が売買契約時において当該目的物に一時的ではない属性として備わっている場合には、同条にいう瑕疵にあたる」とした上で、関係者「を多数出入りさせ、更に夏には深夜にわたり大騒ぎし、管理費用を長期間にわたって滞納する等、通常人にとって明らかに住み心地の良さを欠く状態に至っているものと認められ、右状態は、管理組合の努力によっても現在までに解消されていないことに加え、本件売買契約締結前の経緯に照らし、右事情はもはや一時的な状態とはいえないから、本件事情は本件不動産の瑕疵である」と判示しています。



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不動産の管理業者とのトラブル

2018-12-17

 マンション等の不動産の管理を管理業者に依頼することがありますが、この管理業者との間でトラブルが生じることがあります。

 漏水事故について管理業者の債務不履行責任が問題になった事案について、 東京地裁平成5年1月28日判決は、給水管が「本件管理契約にいう共有部分ないし共用施設に当たらない」として管理会社の責任を否定しています。

 一方、管理組合が管理業者との間で締結されたエレベーターの保守契約を契約期間の途中に解除した事案について、東京地裁平成15年5月21日判決は、「本件解約に伴って発生した不利益は、事務処理とは別の報酬の喪失に外ならず・・・本件解約は「不利な時期」においてなされた場合に当たらない」として
管理業者の請求を否定しています。



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マンションの眺望の阻害

2018-10-01

 マンションの購入を決めるにあたって考慮した眺望に不都合が生じた場合の取り扱いが問題となることがあります。

 この問題に関する裁判例をみると、大阪高裁平成11年9月17日判決は、「売主は購入希望者に対し、その売買予定物の状況について、その実物を見聞できたのと同程度にまで説明する義務がある」「売主が説明したところが、その後に完成したマンションの状況と一致せず、かつそのような状況があったとすれば、買主において契約を締結しなかったと認められる場合には、買主はマンションの売買契約を解除することもでき、この場合には売主において、買主が契約が有効であると信頼したことによる損害の賠償をすべき義務がある」と判示しています。

 また、東京地裁平成18年12月8日判決は、「隅田川花火大会の花火の観望という価値を重視し、これを取引先の接待にも使えると考えて同室を購入し、被告においてもこれを知っていたこと」「隅田川花火大会を巡る状況からみてこれを室内から観賞できるということは、取引先の接待という観点からみると少なからぬ価値を有していたと認められることを考慮すると」、被告は、「花火の観望を妨げないよう配慮すべき義務を負っていた」とし、「損害の賠償をしなければならない」と判示しています。

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マンションの瑕疵と契約の解除

2018-09-24

 マンションを購入した後にさまざまな不都合が判明することがありますが、このような瑕疵がマンションの売買契約の解除原因となるかが問題となります。

 まず、マンション内で自殺があったことが判明した事案について、横浜地裁平成元年9月7日判決は、「売買の目的物に瑕疵があるというのは、その物が通常保有する性質を欠いていることをいうのであって、右目的物が建物である場合、建物として通常有すべき設備を有しない等の物理物欠陥としての瑕疵のほか、建物は、継続的に生活する場であるから、建物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景等に原因する心理的欠陥も瑕疵と解することができる」「解除をしうる瑕疵であるというためには、単に買主において右事由の存する建物の居住を好まないだけでは足らず、それが通常一般人において、買主の立場におかれた場合、右事由があれば、住み心地の良さを欠き、居住の用に適さないと感ずることに合理性があると判断される程度にいたったものであることを必要とする」とした上で、解除原因と認めています。

 また、シックハウスであることが判明した事案について、東京地裁平成17年12月5日判決は、「本件建物にはその品質につき当事者が前提としていた水準に到達していないという瑕疵が存在する」「当該瑕疵は取引上要求される一般的な注意を払っていても容易に発見し得ないものであるというべきである」として、解除原因と認めています。

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マンションの建築による景観、日照の侵害

2018-09-17

 マンションの増加に伴い、周辺住民との間でマンションにより景観や日照が害されるというトラブルが生じることがあります。

 このようなトラブルに関する裁判例を見ると、景観の保護が問題になった最高裁平成18年3月30日判決は、「良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、良好な環境が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり、これらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益(以下「景観利益」という。)は、法律上保護に値する」としつつ、「もっとも、この景観利益の内容は、景観の性質、態様等によって異なり得るものであるし、社会の変化に伴って変化する可能性のあるものでもあるところ、現時点においては、私法上の権利といい得るような明確な実体を有するものとは認められず、景観利益を超えて「景観権」という権利性を有するものを認めることはできない」「本件建物の建築は、行為の態様その他の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くものとは認め難く、上告人らの景観利益を違法に侵害する行為に当たるということはできない」と判示しています。

 また、日照被害が問題になった広島地裁平成15年8月28日判決は、「受忍限度を超える侵害であるか否かについては、日影規制違反など公法規制違反の有無、日照阻害の程度、地域性、交渉経過等を総合的に考慮して判断すべきである」とした上で、「本件マンション建設は、社会観念上妥当な権利行使としての範囲を逸脱し」「違法性を帯びる」と判示しています。

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新しい民法(7)債権の消滅時効における時効期間と起算点

2018-06-25

 現行民法では、債権の消滅時効における時効期間と起算点について、「権利を行使することができる時から10年」としています(民法166条1項、167条1項)が、改正法では、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」か、「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」に時効によって消滅する(改正民法166条1項)としています。

 また、現行民法は、170条から174条で短期消滅時効について規定していますが、改正法は、これらの規定を削除しています。

 さらに、改正法は、定期金債権について、行使することができることを知ったときから10年間行使しないときか、これらの各債権を行使することができるときから20年間行使しないときは、時効によって消滅する(改正民法168条1項)とし、生命、身体の侵害による損害賠償請求権について、5年間と20年間のいずれかによって時効消滅する(改正民法167条、724条の2)としています。

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新しい民法(6)賃貸借における敷金と原状回復

2018-06-18

 現行法では、敷金という用語が使われています(民法316条、619条2項)がその意義などについての規定が存在しなかったところ、改正法は、敷金の意義等について規定しています。また、現行法では、内容が不明確であったところ、改正法は、原状回復義務の範囲などについて規定しています。

 まず、改正法は、敷金の意義について、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」としています。

 また、敷金返還債務について、

①賃貸借が終了し、かつ、目的物が返還されたとき、

②別段の合意がない限り、賃借人が適法に賃借権を譲渡したときに生ずるとしています。

 さらに、敷金の充当について、賃貸物の返還時または賃借権の適法な譲渡時において、賃貸借に基づく賃借人の賃貸人に対する金銭債務が残存するときは、敷金はその債務の弁済に当然に充当されるとし、また、敷金返還債務が生ずる前であっても、賃貸人の意思表示により敷金の充当ができるとしています(以上、改正民法622条の2)。

 次に、改正法は、賃借人の収去義務について、使用貸借の規定を準用し、

 ①賃借人が賃借物を受け取った後にこれに附属させたものについては賃借人が収去義務を負うとする一方、附属物を分離することができない場合や附属物の分離に過分の費用を要する場合には、賃借人は、収去義務を負わないとしています(改正民法622条、599条)。

 また、改正法は、原状回復義務について、賃借人は、賃借物に生じた通常損耗については原状回復義務を負わないとし、また、その他の損傷についても賃借人の帰責事由によらないものについては現状回復義務を負わないとしています(改正民法621条)。

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借家の明渡しと立退料の支払い

2018-04-23

 建物を賃貸している家主が借家契約を解約あるいはその更新を拒絶して借家人に対して家屋からの立退きを請求する場合に家主から借家人に対し立退料(移転料・明渡料)として金銭が支払われることがあります。

立退料は、
①移転費用の補償

②失う利益の補償

③消滅する利用権の補償を内容とするというのが一般的であり、

①としては梱包、運送、移転通知費用等の引越費用、敷金、不動産業者に対し支払う仲介料等の移転先取得のための費用、増加した賃料の差額の補償、

②としては移転先で同一の営業を開始するための費用、休業期間中の損失や減収分の補償、

③としては消滅する借家権の補償などが問題となります。

 なお、裁判例においても立退料は認められており、相当額の立退料を支払うことと引換えに家主からの明渡請求を認めています(最高裁昭和38年3月1日判決、最高裁昭和46年11月25日判決等)。

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共有者の一部による共有物の排他的使用

2018-04-09

 共有者は、共有物につきそれぞれ持分を有することになりますが、共有者の一部がその持分の割合を超えた使用をしている場合に他の共有者が共有物の明渡を請求できるのかという問題があります。

共同相続により共有となった建物を共同相続人のうちのひとりが単独で占有している場合に他の共同相続人がその建物の明渡を請求した事案につき、最高裁昭和41年5月19日判決は、少数持分権者は、「他の共有者の協議を経ないで当然に共有物(本件建物)を単独で占有する権限を有するものではない」が、多数持分権者は、「共有物を現に占有する前記少数持分権者に対し、当然にその明渡を請求することができるものではない」として明渡請求を否定していますが、長年にわたり平穏に占有していた者が実力で排除するに等しい方法で占有を取得した者に対しその建物の明渡を請求した事案につき、仙台高裁平成4年1月27日判決は、「建物の共有持分権があっても右は権利濫用と評価されてもやむを得ないものであって、このような事情が存在する場合においては多数持分権者・・・の少数持分権者・・・に対する同建物の明渡請求は許されると解するのが相当である」と判示して明渡請求を肯定しています。

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