Archive for the ‘社会福祉’ Category

死亡生命保険金と特別受益

2015-09-28

   共同で相続する人達の中に亡くなった人から遺贈や生前贈与を受けた人がいるときにその遺贈や生前贈与を受けた人の相続分を減らして共同で相続する人達の公平を図る制度として民法903条が定める特別受益という制度があり、特別受益を遺産の中に回復させることを持戻しと言います。そして、死亡生命保険金がこの特別受益に当たるかどうかという問題があります。

   この点、死亡生命保険金は、保険金の受取人が保険契約に基づいて取得するもので相続財産に含まれないことから特別受益には該当しないと考えられますが、最高裁平成16年10月29日判決は、「保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率、保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて持戻しの対象となる」と判示して、上記のような特段の事情が存する場合には、特別受益に準じて持戻しの対象になるとしています。


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遺族年金の受給要件における男女差

2015-06-29

   公務員・民間の労働者が公務・業務が原因で死亡した場合にその公務員等の収入で生計を維持していた遺族に支給されるのが遺族補償年金ですが、その受給要件につき、妻については年齢を問わないにもかかわらず夫については55歳以上でなければならないとする地方公務員災害補償法の規定が法の下の平等を定めた憲法14条に違反しないかどうかが問題となった裁判につき、平成27年6月19日、大阪高等裁判所は、「夫に比べ、妻は独力で生計を維持出来ない可能性が高く、男女差規定には合理性がある」として、違憲・無効とした一審の大阪地裁判決を取り消しました。

   一審判決は、共働き世帯の数が専業主婦世帯の数を上回るなど社会情勢が変化していることを重視し、「性別で受給権を分けるのは不合理で差別的取り扱い」として上記規定を違憲と判断しましたが、控訴審判決である大阪高裁判決は、遺族補償年金について「働き手を亡くした利益の喪失を補い、遺族の生活を保護するのが目的」とした上で、「今日の社会情勢でも、妻は年齢を問わず独力で生計を維持するのは困難で、男女の受給要件を区別した規定は憲法に違反しない」と判断しました。地方公務員災害補償法の他、国家公務員災害補償法、労働者災害補償保険法、厚生年金保険法においても遺族年金の受給要件につき男女差がもうけられています。


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高齢者等に対する悪質ファンド詐欺

2015-05-11

   平成19年9月に金融商品取引法が施行されたのにあわせて機関投資家等から資金を集めるいわゆる「プロ向けファンド」が導入されましたが、平成27年5月4日付け新聞が「悪質ファンド詐欺ご用心」というタイトルでこの「プロ向けファンド」に関するトラブルについて伝えています。

   上記報道によると、「プロ向けファンド」の届出業者は今年2月末時点で3094業者であるところ、金融庁は、このうちの約2割の約600業者を、嘘を言って勧誘をしたり連絡が取れなくなったりする悪質業者とみています。また、国民生活センターによると、悪質業者は、「プロの投資家もお金を出しているから安心」などと電話や戸別訪問で言って、投資経験が少なく知識の乏しい高齢者に対しハイリスクで複雑な金融商品や架空の投資話などを持ち掛けるということで、平成21年度に154件だった相談件数は、ここ数年は年間1300件前後で推移しているそうです。

   刑事事件になったケースもあります。政府は、悪質業者の排除を目指して、金融商品取引法の改正案を国会に提出しています。


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有期雇用労働者の能力の活用

2015-05-04

   専門的な知識・技術・経験を有する有期雇用労働者と定年後引き続き雇用される有期雇用労働者がその能力を有効に発揮出来るようにすることなどを意図して、その特性に応じた雇用管理に関する特別の措置を講じることなどを定めた「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が平成26年11月21日に成立し、同月28日に公布されました。

   そして、この法律は、①厚生労働大臣が定める専門的知識等を有する有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する基本方針②事業主が作成して厚生大臣の認定を受ける雇用管理に関する措置についての計画③労働契約法18条による無期労働契約への転換の申込権の発生期間に関する特例④援助、指導及び助言、報告の徴収に関する定めなどをその内容としています。注目すべき労働関連の立法のうちのひとつと言えます。


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高齢者の消費者トラブル

2014-09-22

   高齢者の消費者トラブルが増加しています。特に認知症等によって判断能力が不十分な高齢者が被害に遭われています。

   そこで、家族やホームヘルパーが高齢者を見守り、高齢者が消費者トラブルに巻き込まれないようにすること、巻き込まれてしまった高齢者を救済することの重要さが増しています。高齢者の家族やホームヘルパーの方は、高齢者に関する些細な変化にも注意することが必要です。

   内容のよくわからない請求書がきていたり、知らないうちに工事が行われていたりしてこれは怪しいと感じたら、迷わず弁護士等にご相談ください。


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相続トラブルを避けるための遺言書の活用

2014-08-25

   個人が亡くなるとその財産の承継が問題となりますが、被相続人となる人は、遺言書によって生前にその財産の承継について決めておくことが出来ます。

   そして、被相続人となる人が遺言書によってその財産の承継について決めておくことによって、①遺産の分割をめぐって相続人の間で争いとなることを防ぐことが可能になります。例えば、仲の良くない先妻の子供と後妻の子供や後妻と先妻の子供の間での財産の配分を遺言書によって決めておくようなケースが考えられます。また、②被相続人が財産を承継させたい人に財産を承継させることが可能となります。例えば、老後の世話になっているが相続権の無い長男の嫁に財産を遺贈するようなケースが考えられます。

   欧米に比べて我が国においてはその利用者が少ないと言われる遺言書ですが、この制度には上記のようなメリットがありますので、その利用を検討する価値はあると思います。


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中小企業における事業承継

2014-08-04

   高齢化が急激に進んでいる我が国においては経営者の高齢化も進んでいることから、今後、事業承継が大きな問題となってきます。

   2013年度版中小企業白書によると、経営者の平均引退年齢は小規模事業者においては70.5歳、中規模企業においては67.7歳であるところ、経営者の平均年齢は上昇し、60歳以上の経営者の割合が上昇傾向にあるようです。そのため、今後の10年間に約5割の中小企業や小規模事業者において事業承継が問題となってくると予想されます。

   事業承継の方法としては、①経営者の息子や娘といった親族が事業を承継する親族内承継、②親族でない役員・従業員などが事業を承継する親族外承継、③第三者に事業を売却等するM&Aがあります。

   直近の10年間をみると、親族内承継が約6割を占めていますが、少子化等の影響で親族外承継の割合が増加し、また、後継者のいない企業ではM&Aへの関心が高まっているようです。事業承継を実現するためには法律・税金などに関するさまざまな問題の処理が必要になりますので、弁護士、税理士などの専門家による支援をご検討ください。


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多種多様な消費者事件(消費者紛争)

2014-07-22

   消費者が紛争に巻き込まれて被害にあう消費者事件にはさまざまな類型が存在します。判断能力が衰えていたり相談相手がいなくて孤独である高齢者が狙われやすい類型として、建物が傷んでいるなどと言って補修工事に関する契約を締結させる点検商法、会場に人を集めて販売員が話術で商品を購入させる催眠商法、必ず儲かるなどと言って投資を勧誘する利殖商法、必要の無い商品等を次々と販売して過剰な契約を締結させる次々販売といったものがあります。

   また、社会経験に乏しい若者が狙われやすい類型として、アンケートなどと称して呼び止め喫茶店などに連れていって商品等を購入させるキャッチセールス、異性間の感情を利用してデートを装って勧誘するデート商法、電話などで景品を取りに来てくれと言って呼び出し契約をしないと帰れない状態にして契約を締結させるアポイントメントセールスといったものがあります。

   その他にも、在宅ビジネスで高収入が得られると言って高額な教材を売りつける内職商法、不安や恐怖をあおって印鑑などを売りつける霊感商法など多くの類型が存在します。消費者として消費者紛争に巻き込まれる可能性はほとんどの人に存在します。消費者事件に直面した場合、その適正な解決のために消費生活センターや弁護士などの専門家にご相談ください。


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離婚時における年金の分割

2014-07-14

   夫婦が離婚をする場合、慰謝料の支払いや未成年の子供に対する親権などが問題となる場合がありますが、年金の処理が問題となる場合もあります。

   この年金の処理に関して、①平成19年4月1日以後に離婚をして一定の条件に該当する場合に当事者の一方からの請求によって婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割する合意分割制度と、②平成20年5月1日以後に離婚をし、一定の条件に該当した場合に国民年金の第3号被保険者であった人からの請求によって平成20年4月1日以後の婚姻期間中の3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ当事者間で分割する3号分割制度があります。

   なお、年金分割と言われますが、厳密には年金そのものを分割するものではなく、上記のように年金記録を分割するという制度です。また、この制度を利用するには、離婚をした日の翌日から2年以内に請求しなければならないことに注意する必要があります。


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精神障害者の医療へのアクセスや社会復帰・地域生活の支援

2014-06-16

   平成26年4月1日に医療保護入院の見直しなどをした精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)の一部を改正する法律が施行されました。

   その主な内容は、①精神障害者に治療を受けさせる等の医療に関する義務、精神障害者の財産上の利益の保護義務、精神障害者の退院後の引取義務といった保護者に関する義務規定の削除②医療保護入院の要件の変更(保護者の同意要件の削除と家族等の同意要件の追加)③退院後生活環境相談員・医療保護入院者退院支援委員会の設置、地域援助事業者の紹介規定の導入④退院請求や委員等精神医療審査会、成年後見等の体制に関する見直しといったものです。

   うつ病や認知症などを含む精神疾患の患者数はこの10年間で倍以上に増加しています。また、精神科医療に関する問題は多様化しています。今後も、制度の在り方を絶えず検証していく必要があると思います。


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