再雇用社員と正社員の労働条件の相違

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2025-09-15

 定年後継続雇用制度によって定年退職した後に再雇用されることがありますが,この再雇用社員と正社員との間の労働条件の相違が問題となることがあります。

 基本給の相違が旧労働契約法20条にいう不合理と認められるかが問題となった最高裁令和5年7月20日判決は,「労働契約法20条は,有期労働契約を締結している労働者と無期労働契約を締結している労働者の労働条件の格差が問題となっていたこと等を踏まえ,有期労 働契約を締結している労働者の公正な処遇を図るため,その労働条件につき,期間の定めがあることにより不合理なものとすることを禁止したものであり,両者の間の労働条件の相違が基本給や賞与の支給に係るものであったとしても,それが同条にいう不合理と認められるものに当たる場合はあり得るものと考えられる。もっとも,その判断に当たっては,他の労働条件の相違と同様に,当該使用者における基本給及び賞与の性質やこれらを支給することとされた目的を踏まえて同条所定の諸事情を考慮することにより,当該労働条件の相違が不合理と評価することができる ものであるか否かを検討すべきものである」とした上で,「原審は,正職員の基本給につき,一部の者の勤続年数に応じた金額の推移から年功的性格を有するものであったとするにとどまり,他の性質の有無及び内容並びに支給の目的を検討せず,また,嘱託職員の基本給についても,その性質及び支給の目的を何ら検討していない」「また,労使交渉に関する事情を労働契約法20条にいう「その他の事情」として考慮するに当たっては,労働条件に係る合意の有無や内容といった労使交渉の結果のみならず,その具体的な経緯をも勘案すべきものと解される」「原審は,上記労使交渉につき,その結果に着目するにとどまり,上記見直しの要求等に対する上告人の回答やこれに対する上記労働組合等の反応の有無及び内容といった具体的な経緯を勘案していない」「被上告人らに支給された嘱託職員一時金は,正職員の賞与と異なる基準によってではあるが,同時期に支給されていたものであり,正職員の賞与に代替するものと位置付けられていたということができるところ,原審は,賞与及び嘱託職員一時金の性質及び支給の目的を何ら検討していない」「上告人は,被上告人X1の所属する労働組合等との間で,嘱託職員としての労働条件の見直しについて労使交渉を行っていたが,原審は,その結果に着目するにとどまり,その具体的な経緯を勘案していない。このように,上記相違について,賞与及び嘱託職員一時金の性質やこれらを支給することとされた目的を踏まえることなく,また,労使交渉に関する事情を適切に考慮しないまま,その一部が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原審の判断には,同条の解釈適用を誤った違法がある」と判示して原審の判断を破棄しています。


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