事実上の取締役や登記簿上の取締役の責任
2016-06-06
株式会社の取締役になるには、株主総会の決議によって取締役に選任され登記簿に取締役として登記されることが必要ですが、株主総会の決議によって取締役に選任されておらず、また、登記簿に取締役として登記されていなくても、実質上、取締役として行動していた者を事実上の取締役としてその責任を認めるべきという説があり、裁判例においても、親会社の代表取締役として、また、会社の実質的所有者として会社の業務執行を事実上継続的に行い会社を支配していた者が事実上の取締役にあたるとして、第三者に対する責任を認めたもの(京都地裁平成4年2月5日判決)があります。
また、株主総会の決議によって取締役に選任されていないにもかかわらず登記簿に取締役として登記されている者や辞任していながら登記簿に登記されたままの者がその責任を問われることがあり、判例は、商法旧14条(現会社法908条2項)の類推適用によってこれらの者について第三者に対する責任(会社法429条1項)を認めています(最高裁昭和47年6月15日判決)。
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