取引行為に関する使用者責任における「事業の執行について」

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2021-07-19

 ある事業のために他人を使用する者(使用者)または使用者に代わって他人を監督する者(代理監督者)は、その他人(被用者)が「その事業の執行について」第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(使用者責任、民法715条)とされているところ、その他人(被用者)の行為が「その事業の執行について」に当たるかどうかが問題となります。

 この他人(被用者)の行為が「事業の執行について」に当たるかどうかが取引行為に関して問題となった裁判例を見ると、銀行の支店長が不良貸付金の回収のために支店長名義で靴下を購入しこれを処分した場合(最高裁昭和32年3月5日判決)、かつて手形作成準備業務を担当していた者が会計係員として割引手形を銀行に使送などする職務に配転した後に手形を偽造した場合(最高裁昭和40年11月30日判決)に事業の執行に当たるとしています。

 一方、会社において通勤等に自家用車を利用することが禁止され、出張の際も許可が必要とされており、又、本件出張についても特急列車を利用すれば十分間に合ったのに会社の業務に関して平素自家用車を用いたこのない者が会社に届け出ることなく自家用車を用いて出張した場合(最高裁昭和52年9月22日判決)、郵便局に所属する保険外務員が詐欺により簡易保険の契約者を誤信させ、契約者貸付けの方法を教示するなどして郵便局から金員を借り入れさせた上、その金員の融資を受けた場合(最高裁平成15年3月25日)に事業の執行に当たらないとしています。

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