退職の意思表示の瑕疵と撤回
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2017-03-13
労働者の解雇についてはさまざまな法規制が存在するところ、解雇権の濫用に対する規制(労働契約法16条)を回避するために使用者が労働者に退職を勧奨することが少なくなく、退職の意思表示の瑕疵が問題となります。
退職の意思表示が詐欺・強迫(民法96条)や錯誤(民法95条)に基づくものであればその意思表示には瑕疵があることになります。そこで、東京地裁平成23年3月30日判決は、懲戒解雇の事由がないのに退職しなければ懲戒解雇になると誤信して退職を申し出たことを使用者が知っていた場合に要素の錯誤によってその退職の申し出は無効となるとしています。
また、一方的退職の場合はその意思表示が使用者に到達した時点で解約の効果が生ずるため撤回はできないと考えられますが、退職の意思表示が合意解約の申込みであれば、労働者は、一定期間中これを撤回することができる(大阪高裁平成16年3月30日決定)とされています。
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