動機の錯誤における動機の表示
意思表示をする者が「法律行為の基礎とした事情」についてその「認識が真実に反する錯誤」(民法95条1項2号)を動機の錯誤と言いますが,この場合は「その事情が法律行為の基礎とされていること」が「表示されていたとき」でなければならない(同法同条2項)とされていることからその表示が問題となることがあります。
信用保証協会と金融機関との間の保証契約についての錯誤が問題となった最高裁平成28年12月19日判決は,「意思表示における動機の錯誤が法律行為の要素に錯誤があるものとしてその無効を来すためには,その動機が相手方に表示されて法律行為の内容となり,もし錯誤がなかったならば表意者がその意思表示をしなかったであろうと認められる場合であることを要する。そして,動機は,たとえそれが表示されても,当事者の意思解釈上,それが法律行為の内容とされたものと認められない限り,表意者の意思表示に要素の錯誤はないと解するのが相当である」「本件会社が中小企業者の実体を有することという被上告人の動機は,それが表示されていたとしても,当事者の意思解釈上,本件保証契約の内容となっていたとは認められず,被上告人の本件保証契約の意思表示に要素の錯誤はないというべきである」と判示して動機が表示されていてもそれが法律行為の内容になっていないとして要素の錯誤の成立を否定しています。
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