医師の診療と医療水準
医師が診察を行うときは医療水準に従わなければならないとされるところ,この医療水準をどのように考えるかが問題となります。
新しい治療法が医療水準にあるかが問題となった最高裁平成7年6月9日判決は,「当該疾病の専門的研究者の間でその有効性と安全性が是認された新規の治療法が普及するには一定の時間を要し,医療機関の性格,その所在する 地域の医療環境の特性,医師の専門分野等によってその普及に要する時間に差異があり,その知見の普及に要する時間と実施のための技術・設備等の普及に要する時間との間にも差異があるのが通例であり,また,当事者もこのような事情を前提にして診療契約の締結に至るのである。したがって,ある新規の治療法の存在を前提にして検査・診断・治療等に当たることが診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうかを決するについては,当該医療機関の性格,所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであり,右の事情を捨象して,すべての医療機関について診療契約に基づき要求される医療水準を一律に解するのは相当でない。そして,新規の治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており,当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には,特段の事情が存しない限り,右知見は右医療機関にとっての医療水準であるというべきである」と判示して医療水準は当該医療機関の特性等に応じて判断されるとしています。
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