割増賃金の支払方法

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2025-02-10

 使用者が労働者に時間外・休日労働をさせた場合,割増賃金を支払うことになっているところ,この割増賃金に代えて一定額の手当を支給すること(手当制)や賃金に含めて定額払いとすること(定額給制)の適法性が問題となることがあります。

 この問題に関して,最高裁平成30年7月19日判決は,「労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される(最高裁昭和44年(行ツ)第26号同47年4月6日第一小法廷判決・民集26巻3号397頁,最 高裁平成28年(受)第222号同29年7月7日第二小法廷判決・裁判集民事256号31頁参照)。また,割増賃金の算定方法は,同条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下,これらの規定を「労働基準法37条等」という。)に具体的に定められているところ,同条は,労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され,労働者に支払われる基本給や諸手当にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うという方法自体が直ちに同条に反するものではなく(前掲最高裁第二小法廷判決参照),使用者は,労働者に対し,雇用契約に基づき,時間外労働等に対する対価として定額の手当を支払うことにより,同条の割増賃金の全部又は一部を支払うことができる。そして,雇用契約においてある手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされているか否かは,雇用契約に係る契約書等の記載内容のほか,具体的事案に応じ,使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容,労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべきである」と判示しています。


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