会計帳簿の閲覧・謄写請求とその拒絶事由
2017-07-03
株主による経営監督にとって会計帳簿・会計資料が重要な意味を持つことから、会社法は、株主に対し、会計帳簿等の閲覧・謄写請求権を認めていますが、この権利が濫用されると会社や他の株主に損害を与えるおそれがあるため、この権利を少数株主権とし(同法433条1項)、また、会社が閲覧・謄写請求を拒否出来る場合を規定しています(同法433条2項)。
そこで、この拒絶事由が問題となった裁判例を見ると、最高裁平成16年7月1日判決は、株式譲渡を制限している会社における株式等を売却するためにその時価を算定するという目的での閲覧謄写請求につき、特段の事情の存しない限り拒絶事由(商法旧293条の7)に該当しないと判示し、東京地裁平成19年9月20日判決は、「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業」を営む場合(会社法433条2項3号)につき、現に競争関係にある場合の他、近い将来において競争関係に立つ蓋然性が高い場合もこれに含まれると判示しています。
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