前の遺言と後の遺言の抵触による遺言の撤回

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2021-11-08

 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従ってその遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。そして、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす(同法1023条1項)とされています。

 前の遺言と後の遺言が「抵触」するかどうかが問題となった裁判例を見ると、大審院昭和18年3月19日判決が、金1万円を与える旨の遺言をした後、遺言者が右遺贈に代えて生前に金5000円を受遺者に贈与することとし受遺者もその後金銭の要求をしない旨を約した場合について、抵触するとし、また、最高裁昭和56年11月13日判決が、終生扶養を受けることを前提として養子縁組をした上その所有する不動産の大半を養子に遺贈する旨の遺言をした者が、その後養子に対する不信の念を深くし協議離縁をした場合について、抵触するとしています。

 一方、最高裁昭和43年12月24日判決は、遺言による寄附行為に基づく財団設立行為がされて両者が競合する形式になった場合においても、右生前処分の寄附行為に基づく財団設立行為がいまだ主務官庁の許可を得ずその財団が設立されていない場合について、抵触しないとしています。

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