出向命令と権利の濫用・労働者による同委の要否

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2024-11-11

 労働者が出向元との労働契約を維持しつつ,長期にわたって出向先の指揮命令に服して労働することを出向と言います。そして,労働契約法14条は,「使用者が労働者に出向を命ずことができる場合において,当該出向の命令が,その必要性,対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして,その権利を濫用したものと認められる場合には,当該命令は,無効とする」と規定しています。

 この出向命令が権利の濫用とならないかが問題となった最高裁平成15年4月18日判決は,出向命令に必要性が認められ,出向対象者の人種が合理的であり,労働者が生活関係や労働条件等において著しい不利益を受けるものではなく,命令に至る手続が不相当でもないとして出向命令権の濫用を否定し,また,就業規則に出向命令権の定めがあるうえ,出向期間や出向中の労働条件に関して詳細な定めをおく労働協約が締結されている事情の下では,たとえ出向期間が長期化するとしても,使用者は労働者の個別的同意なしに出向を命じることができると判示しています。

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