一人会社などにおける譲渡制限株式の譲渡

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2016-06-27

   株式は、自由に譲渡出来るのが原則(会社法127条)ですが、会社関係者が会社の閉鎖性の維持を希望することが少なくないため、譲渡による株式の取得につき会社の承認を要するとして株式の譲渡を制限することが認められています(会社法107条1項1号)。

   そして、このような会社では、譲渡承認機関が株式の譲渡を承認するかしないかを判断することになりますが、最高裁平成5年3月30日判決は、株主の譲渡制限の趣旨は、もっぱら会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、譲渡人以外の株主の利益を保護することにあるとして、株主がひとりだけの一人会社の株主がその保有する株式を他に譲渡した場合には、譲渡承認機関である取締役会の承認がなくても、その譲渡は、会社に対する関係においても有効としています。

   また、東京地裁平成23年1月26日判決は、譲渡制限は譲渡人以外の株主の利益を保護するものであるところ、株主が二人だけの会社の一方の株主がその保有する株式を他方の株主に譲渡した場合には、利益を保護される譲渡人以外の株主は当該株式を譲り受ける他方の株主であるとして、所定の承認がなくても、その譲渡は、会社に対する関係においても有効としています。


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