特別受益における具体的相続分
民法903条,904条は,共同相続人のなかに,被相続人から遺贈を受け,または婚姻,養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは,そのような特別受益の持戻しを行うとして相続開始の時に被相続人が有した財産の価格に特別受益財産の価格を加えたものを相続財産とみなし,このみなし相続財産について法定・指定相続分の割合によって算定した相続分から当該遺贈または贈与の価格を控除した残額をその相続人の相続分(具体的相続分)としているところ,この具体的相続分の法的性質という問題があります。
この法的性質との関係で,具体的相続分の価格または割合の確認の利益が問題となった最高裁平成12年2月24日判決は,「具体的相続分は,このように遺産分割手続における分配の前提となるべき計算上の価額又はその価額の遺産の総額に対する割合を意味するものであって,それ自体を実体法上の権利関係であるということはできず,遺産分割審判事件における遺産の分割や遺留分減殺請求に関する訴訟事件における遺留分の確定等のための前提問題として審理判断される事項であり,右のような事件を離れて,これのみを別個独立に判決によって確認することが紛争の直接かつ抜本的解決のため適切かつ必要であるということはできない」として「共同相続人間において具体的相続分についてその価額又は割合の確認を求める訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法である」と判示しています。
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