限定承認の申述
2021-03-01
相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務および遺贈を弁済すべきことを留保して相続の承認をすることができ(限定承認、民法922条)、相続人が数人あるときは、共同相続人の全員が共同してのみ限定承認をすることができる(同法923条)とされています。また、限定承認をしようとするときは、同法915条1項の期間内に相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨の申述をしなければならない(同法924条)とされています。
この限定承認が問題となった裁判例を見ると、被相続人が設定した抵当権が限定承認の当時に未登記であった事案に関し、大審院昭和14年12月21日判決は、抵当権者は、相続人に対し、その設定登記を請求する利益を有せず、登記を請求できないとしています。
また、不動産の死因贈与の受贈者が贈与者の相続人であって限定承認がなされた事案に関し、最高裁平成10年2月13日判決は、死因贈与に基づく限定承認者への所有権移転登記が相続債権者による差押登記より先になされたとしても、信義則に照らし、限定承認者は、相続債権者に対し、不動産の所有権取得を対抗することができないとしています。
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
←「離婚原因としての悪意の遺棄・3年以上の生死不明」前の記事へ 次の記事へ「相続の放棄の熟慮期間の起算点とその期間の伸長」→