時効の利益の放棄と時効の完成の事実の認識

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2020-08-24

 「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない」と規定する民法146条の反対解釈から時効完成後の時効の利益の放棄は認められるとされているところ、この時効の利益の放棄といえるには時効の完成の事実の認識が必要かどうかという問題があります。

 この問題に関する裁判例を見ると、大審院大正4年3月11日判決や最高裁昭和35年6月23日判決などは、時効の利益の放棄には時効の完成の事実の認識が必要とした上で、時効の主張は時効の完成の事実を知ってこれをしたものと推定すると判示していましたが、最高裁昭和41年4月20日判決は、「時効完成の事実を知らなかったときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されない」「けだし、時効の完成後、債務者が債務の承認をすることは、時効による債務消滅の主張と相容れない行為であり、相手方においても債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるであろうから、その後においては債務者に時効の援用を認めないものと解するのが、信義則に照らし、相当である」と判示しています。

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